AEyeのLiDAR技術をコンチネンタルが採用、アイシンと協議も

ソフトウェアを組み合わせ柔軟性向上

コンチネンタルが乗用車向けLiDARを量産

スマートシティにおけるLiDAR活用

AEyeのLiDAR技術プラットフォーム「4SIGHT(フォーサイト)」
AEyeのLiDAR技術プラットフォーム「4SIGHT(フォーサイト)」全 10 枚

LiDAR技術ライセンスビジネスを展開するアメリカのAEye(エーアイ)は12月5日、都内でメディア説明会を開催した。CEOのブレア・ラコルテ氏をはじめとする同社のエグゼクティブが来日し、同社の事業戦略や今後の展望、日本市場での取り組みなどについて説明した。

AEyeは、GMやスバル、アイシンなど多数のOEMやティア1が資本参加するアメリカのLiDAR技術ライセンサーで、米国ナスダック市場に上場する企業だ。自社の生産設備を持たないいわゆるファブレスで、特許に基づく技術ライセンス提供によるビジネスを展開している。

AEye 説明会資料よりAEye 説明会資料より

今回の来日は、日本における取り組みの紹介のほか、パートナー企業であるアイシンや鉄道車両メーカー、商社などとのビジネスミーティングも予定しているとのことだ。

◆ソフトウェアを組み合わせ柔軟性向上

同社のLiDAR技術プラットフォーム「4SIGHT(フォーサイト)」によって開発されるLiDARは、ソフトウェア定義センサーと呼んでおり、カメラやレーダー、GPSなど他のセンサーとの連携や、OTAによる機能のアップデートも可能となるなど、SDVとの親和性が高いとアピールする。

CEOのブレア・ラコルテ氏は以下のように強調する。「当社のLiDARはこれまでハードウェア的な性能を向上させてきたが、現在はソフトウェアを組み合わせ、柔軟に利用することができることで新たな価値を提供する段階にある。当社の技術はもともと軍事用テクノロジーだったものを、世界を安全により良くする目的で使うために進化させてきた。このような技術を人類の進化に役立てるよう、日本にいる重要なパートナー企業と議論をするために来日した」

◆コンチネンタルが乗用車向けLiDARを量産

コンチネンタルは、同社の4SIGHTプラットフォームを利用した「HRL131」ソリッドステート型LiDARを開発し、量産を開始した。4SIGHTによるAIサブシステムも組み込んだセンサー構成とのことで、現在OEMからのRFQの段階にあり、最も高性能だというフィードバックが得られているという。

コンチネンタルのHRL131ソリッドステートLiDARコンチネンタルのHRL131ソリッドステートLiDAR

また乗用車だけではなく、同社のLiDARはトラックなどの商用車からのニーズが強いという。共同創業者・GMオートモーティブのジョーダン・グリーン氏は「トラック業界はドライバー不足という構造的な問題もあり、ハイウェイオートパイロットに必要な当社のセンサーは非常に引き合いが強い。他のセンサーは、ハイウェイオートパイロットに必要な性能を満たしていない。我々のセンサーはごく小さなものを遠くから検知することができるだけの解像度がある。予測が難しい物体やカモフラージュ的なものを見分けるためには、高い解像度が必要だ。また悪天候や霧雨の中でも、自分で光を照射し見分けることができる」と語る。

パートナー企業であるアイシンともLiDARのプロジェクトを検討しているとのことだ。

AEye 説明会資料よりAEye 説明会資料より

◆スマートシティにおけるLiDAR活用

GMインダストリアルのブレント・ブランチャード氏は、車載だけでなくスマートシティにおけるLiDARセンサーの付加価値について説明した。

歩行者を守るためのセンサーとしてLiDARが活用できるとし、「交通事故死者の半数は歩行者だ。人は移動しているが、歩行者の安全を守るためのセンサーは解像度が足りない。カメラは暗いところや悪天候では不十分であり、レーダは長距離が見えるが解像度が低すぎる。当社のLiDARはAIを搭載し、必要な分解能精度によって歩行者の安全を確保する」と話す。

そのほか、スマートシティにおけるスマートセンサーの役割については、「当社はソフトウェア定義型の唯一のLiDARセンサーであり、様々な用途に柔軟に活用できる。例えば自動料金収受システムへの利用が可能だ。5つレーンを通過する車両を100%検知することができる。こういったアプリケーションは行政の売上につながるものだ。また、事故や何らかのトラブルを検知し、通知することもできる。これによって行政はセキュリティコストを下げることができる」とする。

このような性能をアピールするため、横浜で撮影したLiDARの点群表示(ポイントクラウド)が提示された。「単にオブジェクトとしてではなく、それが歩行者なのか、自転車なのかスクーターなのか識別できるほどの解像度がある。これが他社製品との違いだ」とアピールした。

AEye 説明会資料よりAEye 説明会資料より

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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