憧れの対象たり得る存在だった、90年登場のメルセデスベンツ『SL』【懐かしのカーカタログ】

メルセデス・ベンツ SL
メルセデス・ベンツ SL全 9 枚

初代『300SL』から70年を迎えた今年、最新モデルの『メルセデスAMG SL』が登場した。ところで“SL”というと思い出すのは、1990年登場のあのR129型……という人も多いのでは? 今回はその最初のモデルをカタログで振り返ってみたい。

【画像全9枚】

◆純粋に憧れの対象たり得る存在だった

1971年に登場し18年のロングライフを誇ったR107型のあとを受け1989年に登場。日本市場へは1990年から導入されたのがこのR129型4代目『SL』。カタログは1990年8月のもので、中綴じの比較的シンプルなものながら、ビニールコートされた表紙の上質なもので、表紙を開くと最初の見開きは、大型のスリー・ポインテッド・スターが収まるフロントグリルのアップから始まる。そのページはさらに左右に開くようになっており、開くと、そこにはオープンとハードトップの2態の『SL』の外観写真。アストラルシルバーとブルーブラックは、どちらもこの頃のメルセデス・ベンツを象徴するイメージカラーだ。

さらにページを捲っていくと、インパネや安全性と快適性を象徴した“エレクトリック・インテグラルシート”の大写しのカットが現れる。シートは、シートと3点支持イナーシャリール・シートベルトとアンカーを組み込んだシートフレーム一体構造を採用した。

さらに売りのひとつだった“オートマチック・ロールバー”もしっかりと見開きで紹介している。文面を引用すると“傾斜センサーと加速度センサーに連動し、ひとたび危険な状態に置かれると(走行中、ボデーが急激に26度以上傾いた時、またはボデーに4G以上の加速度が働いた時)わずか0.3秒で起き上がり、ドライバーとパッセンジャーを確実に保護します。”と書かれており、高品質U字型スチールチューブは5トンの荷重に耐えること、ボディ側も3層の高強度材が使われていることなども謳われている。一方で脱着式のハードトップは軽合金製で34kgの軽量設計だった。

搭載エンジンは4973ccのV8・DOHCで330 DIN ps、47.0 DIN kgm(カタログ記載の諸元表の表記より)を発揮。バリアブル・バルブタイミング機構の採用で、エンジン回転を問わず最適な性能が得られる設計。これに4速ATの組み合わせだった。クルマの世代、時代背景は今とはまったく違うが、純粋に憧れの対象たり得る存在だったような気がする。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  2. 「妄想が現実になった」トヨタがAE86のエンジン部品を発売へ…「復刻だけじゃない」その内容に驚きの声
  3. ヤマハの3輪スクーター『トリシティ』が進化! SNSでの注目は「デザイン」と「屋根が付くか」
  4. 「動画を観る」もっとも良い方法とは? トヨタ車純正ディスプレイオーディオ搭載車の場合は?[車内エンタメ最新事情]
  5. レクサス『IS』改良新型、米国はハイブリッドなし..V6ガソリンだけを設定
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る