『グランツーリスモ』を制作するポリフォニー・デジタルのスタジオに入った!…25年の歴史を山内氏が紹介

ポリフォニー・デジタル代表取締役 プレジデント・山内一典氏
ポリフォニー・デジタル代表取締役 プレジデント・山内一典氏全 24 枚

全世界累計実売本数9000万本突破を突破し、2022年12月23日に25周年を迎える『グランツーリスモ』(以下、「GT」)シリーズ。その25周年を前に、ポリフォニー・デジタルのスタジオツアーがメディア向けに開催された。

スタジオツアーでは、「GT」シリーズ生みの親であり、ポリフォニー・デジタルの代表取締役 プレジデント・山内一典氏が登壇し、25年の間にいかに「GT」が進化したかのプレゼンテーションと、自によるスタジオの紹介が行われた。

ポリフォニー・デジタル代表取締役 プレジデント・山内一典氏ポリフォニー・デジタル代表取締役 プレジデント・山内一典氏

まずはじめに行われたプレゼンテーションでは、初代「GT」制作当時と、最新作『GT7』での技術の違いや、表現の違い、そしてどのどうにして「GT」が制作されているのかなどが語られた。例えばグラフィック、「GT1」では320×240ピクセルを30フレームで描写しているが、「GT7」は4K(3840×2160ピクセル)60フレームに進化している。言ってしまえば、「GT1」を108画面分描画しているのにあたるそうだ。

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こういった技術の進歩はユーザーに届くゲーム部分だけではなく、制作過程にも大いに影響がある。コースをひとつ作るにしても、車載レーザースキャンやドローン、固定スキャン、フォトグラメトリなど、非常にたくさんのカメラやセンサーを用いて、現実のコースと違わぬコースを表現しているわけだ。カーモデリングについても1台あたりおよそ270日をかけて、1人のカーモデラーが担当しているそう。車の選定から実物モデルのスキャン、センサーによる情報の取得、カーモデリングするマテリアルの選定など、制作の過程が多岐に渡って紹介されていた。

山内氏いわくポリフォニー・デジタルは1980年代のPCカルチャーがルーツで、コンピューター・テクノロジーへのロマンティズムやマイコンマインドが根幹にあるそうだ。『グランツーリスモ』という言葉はもともとイタリア語で"大旅行"を意味する言葉であり、貴族が子供に教養を学ばせるための大旅行に使われた馬車のことも指しているそう。ポリフォニー・デジタルという会社自体が、旅をする馬車でもあり、世界中を旅しながら「GT」シリーズを作っていると山内氏は語った。

プレゼンテーションの後は、制作スタジオの見学に。入ってきてすぐの一番大きなフロアには、12台のゲームプレイエリアがあり、実際に学生大会など公式戦でも使われているそうだ。

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山内氏の案内で、まずはレビューズダイナーと呼ばれるバーカウンターに。ここはニュルブルクリンクにあるカフェを模したコーナーだそうで、バーカウンターとしてだけでなく、フロアの照明を調整したりとイベント用のスペースとしての機能も備えている。壁には「グランツーリスモ ワールドシリーズ」ウィナーのネームプレートも飾られていた。

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続いて、「GT」を彩るサウンドを生み出す「サウンドルーム」へ。ポリフォニー・デジタルでは外注を行わず、すべて内製でサウンドを作っている。

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少し移動してスタジオ内部に入るが、スタジオ内には至るところに休憩スペースがあり、そのどれもが違う意匠となっていた。ある場所は和風でお茶がたてられるようになっていたり、ある場所はゲームの筐体が置いてあったりと様々だ。休憩スペースが至る所にあるのは山内氏の意向であり、休憩時間の雑談から生まれるものが非常に大事だと考えているからだそう。オンラインで常時福岡スタジオともつながっており、自然にコミュニケーションを取れるようにしている。

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他にもスタジオ内の変わったところとして、フロアの一角にはジムが併設されている。エンジニアが身体を動かさず運動不足になるので、「ジムは近ければ近いほどいい」という考えからスタジオ内に作ったとか。中に設置された機材は社内の要望も取り入れ、最近ではボルダリングがブームだそう。ジムには山内氏がニュルブルクリンク24時間レースに出場する際にトレーニングに使用していた機材も置かれていた。

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大量に今までの資料や貴重な品が展示されている“ライブラリー”スペースもあった。ここでは過去の制作時に使ったものから、ニュルブルクリンク24時間レースに出た時の『GT-R』のフェンダー、最新の情報雑誌など実に様々なものが展示されていた。スタジオの随所に貴重な品々が展示されており、目を見張るモノばかり。

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ツアーの後は、メディア合同で山内氏の囲みインタビューも実施された。その模様は別途インタビュー記事としてお届けするので、お楽しみに。

《二城利月》

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