[カーオーディオ DIY講座]ドアを“ボックス化”して音の“打ち消し合い”を抑制!

「サービスホール」を塞ごうとしているところ。
「サービスホール」を塞ごうとしているところ。全 1 枚

カーDIYを楽しむドライバーが増えている。当連載では、そういった方々に向けてカーオーディオアイテムの取り付け方をレクチャーしている。現在は、DIYで行っても確かな効果を発揮する、つまりはやり甲斐の大きい「デッドニング」について解説している。

さてここまでは、ドアの内張りパネルの外し方、脱脂(下準備)の仕方、スピーカーの真裏に吸音材を貼り付ける意味、そしてアウターパネルへの制振(ビビリ止め)のやり方を説明してきた。今回はその次に行うべきメニューを紹介する。

続いて行うべきは、インナーパネルへの施行だ。なおインナーパネルに対しては、2つの作業を執り行いたい。1つが「サービスホールを塞ぐ」という作業で、もう1つは「インナーパネルの制振」だ。まずは前者について説明していく。

ところで「サービスホール」とは、ドア内部の鉄板に開けられているメンテナンス用の穴だ。で、この穴は、スピーカーの再生音のクオリティを下げる1つの要因となっている。スピーカーの裏側から放たれた音がこの穴を通過してしまい、2つの“悪さ”をしでかすこととなるからだ。

“悪さ”の1つは「キャンセリング(音の打ち消し合い)を引き起こすこと」で、もう1つは「内張りパネルを共振させること」だ。

これらについて詳しく説明していこう。スピーカーは裏側からも音を発する。その音は、表側にて再生される音と耳で聴く分には同じ音だ。しかし実は、音波としては真逆の関係にある。なぜなら、振動板の動き方が表裏で真逆だからだ。表側から見て振動板が前に出ているときそれを真裏から見ると、振動板は引っ込んだ状態となっている。

なお音は、静かな水面に石を投げ入れたときにできる波紋のように、空気中を上下しながら前に進む。で「音波として逆」というのは、この上下動が真逆の状態となっていることを指す。表側の音は0度のところをスタート地点として動き始めるのに対し、裏側の音は180度のところを出発地点として動き出す。

かくして耳で聴く分には同じなのに波形としては真逆の関係にある音同士は、同一空間で交わり合うとお互いを打ち消しあってしまうのだ。これが「キャンセリング」だ。

ちなみにドアには内張りパネルが装着されているので、裏側の音がダイレクトに表側へと回り込むわけではないが、しかしパネルはそれほど堅くないので、裏側の音を受けて振動し多少なりとも車室内へと音を伝えてしまうのだ。ゆえに、少なからず「キャンセリング」が発生してしまう。

しかしサービスホールを塞げば「キャンセリング」が起こるのを抑制できる。つまりはドア内部を“ボックス”の状態に近づけられるので、裏側の音をブロックできる。そして内張りパネルの共振も少なくできる。結果、音の厚みが増し、雑音も消えてすっきりする。

ただし、サービスホールを塞ぐ作業にもコツがある。それについては次回の記事にて詳しく解説していく予定だ。乞うご期待。

《太田祥三》

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