日本TI、最新のEV向けバッテリー制御システムを発表…より正確な航続距離の算出や温度管理に貢献

テキサス州リチャードソンにあるTIの製造施設(イメージ)
テキサス州リチャードソンにあるTIの製造施設(イメージ)全 5 枚

半導体製品メーカーの米テキサス・インスツルメンツ(以下、TI)の日本法人は1月17日、電気自動車(EV)向けバッテリー・マネージメント・システム(BMS)用の新製品に関する記者説明会を実施した。

バッテリー・セル・モニター「BQ79718」とバッテリー・パック・モニター「BQ79731」は、電流と電圧、温度の高精度な測定と監視を可能にする。従来よりも正確なデータが迅速に得られ、誤差の少ない航続距離の算出やバッテリーの温度管理などに貢献するという。量産開始は今年後半を予定している。

◆3倍の性能向上と安全性を両立

同社バッテリ・マネジメント・ソリューション事業部のサミュエル・ウォン ゼネラル・マネージャは、「新しいバッテリー・セル・モニターは、当社の現行品と比較しておよそ3倍の性能向上を実現しています」と説明する。同時に発表されたバッテリー・パック・モニターに最適化され、電圧と電流がほぼ同時に高精度で測定できるよう設計されているという。「充電残量以外にも、バッテリーの経年劣化状態を詳細に把握できるほか、バッテリーコアの温度測定にも使用できるメリットがあります」とウォン氏は話す。

安全性にも配慮して設計されており、最も厳しいASIL(自動車安全水準:Automotive Safety Integrity Level)Dを満たしている。BQ79718では、2つの測定パスが並行して最大で18チャネルすべての電圧を測定する冗長性を確保している。エラーが生じた際には、車両のシステムに警告を伝える機能も組み込まれており、EVに搭載するバッテリーの安全な充放電にも寄与するという。

◆正確なデータが求められるEV

EVに搭載されるリチウムイオンバッテリーは、使用する素材によっていくつかの種類がある。その中で、コストや資源確保の面で有利とされるLFP(リン酸鉄)バッテリーがシェアを拡大していくとの見方が強まっている。

メリットがある一方で、LFPはNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)系と呼ばれる畜電池に比べてエネルギー密度の点で劣る。また、放電曲線が緩やかで電圧変動が少ない特性をもつ。したがって、充電率(SOC:State of Charge)の計算には精度の高い電圧測定が求められる。


《石川徹》

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