EV化で増えるアルミ部品、水平循環が低価格に繋がる理由とは

初代ホンダNSXのオールアルミボディの実現は、膨大な試行錯誤の成果だった。最終的には車体の部位に応じて5種類のアルミ合金材を使い分けた。
初代ホンダNSXのオールアルミボディの実現は、膨大な試行錯誤の成果だった。最終的には車体の部位に応じて5種類のアルミ合金材を使い分けた。全 4 枚

アルミニウムは、アルミホイールが一般的になってクルマに新車装着されるようになってから、消費者にとっても身近な素材となっている。

目に届きにくい部位でも、たとえばエンジンのシリンダーブロックにアルミを採用することも特別なことではなくなった。特に最近では、高級車などのハイエンドモデルで車体の外板やサスペンションなどにもアルミニウムが採用されており、その利用範囲は広がっている。

電動化でアルミニウムの使用量は大幅に拡大

アルミニウムは、ガソリン自動車が発明されてからそれほど時間が経過しない20世紀初頭に使われはじめた。たとえばドイツのアウグスト・ホルヒ(アウディの前身の創業者)は技術革新にこだわりを持ち、1901年にエンジンの構造部にアルミニウムを使っている。そしてアウディは、1985年に鋼板の車体に替えてアルミニウムを使ったアウディ100を開発した。

日本でも1990年のホンダ『NSX』はオールアルミボディの車体だ。1999年のホンダ初のハイブリッド車(HV)である『インサイト』は、NSXとは別の構造となる押し出し材を骨格に使ったアルミニウム車体であった。

1990年の初代ホンダNSXでは、オールアルミボディの採用により、鋼板ボディと比べてボディ単体で約140kg、車体全体で約200kgの軽量化を実現した。

なぜ、アルミニウムを使うのか。

アルミニウムは、鉄と比較して比重が約3分の1という軽さに魅力がある。また、錆びにくくもある。一方で引張り強さは大きくないが、マグネシウム、マンガン、銅、ケイ素、亜鉛などを混ぜて合金化することで、強度を高めることができる。


《御堀直嗣》

御堀直嗣

御堀直嗣|フリーランス・ライター 玉川大学工学部卒業。1988~89年FL500参戦。90~91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。

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