中国吉利、ZEEKRで安かろう悪かろうからの脱却へ…7.5億ドル資金調達

広州モーターショー2022のZEEKRブース全景
広州モーターショー2022のZEEKRブース全景全 5 枚

中国民間OEM大手の吉利汽車(Geely)によるBEVハイエンドブランド極氪(ジーカー、ZEEKR)は2月13日、資金調達Aラウンドで7.5億ドルを調達、これにより評価額が130億ドル(約1.7兆円)に達したと発表。日産の時価総額約2兆円に近づいた。

出資者は自動運転および運転支援技術企業モービルアイ社長兼最高経営責任者(CEO)のアムノン・シャシュア氏、世界最大のバッテリーメーカー寧徳時代(CATL)、他は中国地場のファンドとなる。今回調達した資金は、同社製品及び技術の開発研究、グローバル事業への展開、ユーザーの体験向上に用いられる。

CATLとの協業深化、ZEEKRの商品ラインナップや売れ行き

CATLとは創業以来の重要パートナーで、今回は追加出資となる。動力バッテリーのサプライヤーであるばかりでなく、両者で共同で研究開発も行う。

ZEEKRはCATL最先端の、標準化されたモジュールをスキップして直接電池セルを電池パックに統合し、電池パックの空間利用率とエネルギー密度を効果的に高めうるCTP(Cell to Pack)、いわゆるCTP3.0「麒麟電池」を採用している数少ないOEMでもある。「麒麟電池」は性能等の評判こそは高いが、高額すぎて中国ですら普及していないものの、ZEEKRはそれをあえて使用。他社との差別化の一つと位置付けている。

ZEEKRの安聡慧CEOは、「ZEEKRをグローバルに影響力のあるラグジュアリー・インテリジェントBEVブランドとして打ち出していく予定で、今回各業界トップの出資やサポートを得ることができ非常に嬉しい」とした。

また、「共に創り、共に投資するがZEEKRのタグラインであり、ZEEKRはユーザー及びグローバルの良質なエコシステム・パトナーとともに共創、共同でラグジュアリー・インテリジェントBEV領域のイノベーション的な探索を推進する。ユーザーに極めて素晴らしい体験を伴うモビリティ・ライフを提供する」と語る。

吉利の36年における業界での蓄積を背景に、ZEEKRは産業のエコシステムの中でも最も価値あるリソースを統合。純粋にユーザーの考えに立ったモデル展開により、インテリジェントBEV市場のバリューにおいて新たな手本となった、とした。

2023年になって何の前触れもなく突然発表された『ZEEKR X』。車名が数字ではない第3弾のモデルを投入

2023年1月31日までに、ZEEKRの累計の納車台数は8万台を超え、新興勢力としては最短記録を樹立している。現在までにシューティングブレーク・スタイルのEV『001』、電動MPV『009』をリリースしており、更にコンパクトSUV『ZEEKR X』を発表しているが、2023年中にはさらにもう1車種、発表する予定だという。ボディタイプのラインナップから言って、次はセダンの可能性がある。商品ラインナップを拡充し、2023年は前年比倍増の販売を計画している。

中国の「安かろう悪かろう」イメージ払拭となるか

中国自動車メディア「蓋世汽車」は2022年12月25日、このZEEKRが米NY証券取引所でIPO(新規株式公開)を目指していると報じ、ZEEKR含む中国従来OEMの新エネルギー車(NEV)新ブランドの資金調達状況とその時点での評価額を一覧にまとめていた。


《有田直矢@インサイツ》

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