日本の宇宙開発戦略に大打撃、JAXAがH3打ち上げ失敗[新聞ウォッチ]

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巨額の国費を投じて進めていた国産初のジェット旅客機『スペースジェット』の開発からの撤退といい、日本の新たな主力ロケット「H3」1号機の打ち上げ失敗といい、日本企業の技術力を問われるニュースを伝えるのは辛くもあり、実に情けない。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、鹿児島県の種子島宇宙センターから鳴り物入りで打ち上げた次世代大型ロケット「H3」1号機が、第2段エンジンに着火できず、約14分後に指令破壊され、失敗に終わった。

きょうの各紙も「H3打ち上げ失敗」とのタイトルで、1面や総合面、さらに社説などに大きく掲載。大型主力ロケットの打ち上げ失敗は、今後の日本の宇宙開発戦略や人工衛星打ち上げの商業受注に大きな打撃となるようだ。

このうち、読売は「国産ロケット危機、失敗続き信頼回復に時間」との見出しで「H3は現在の主力ロケット『H2A』の後継機で、JAXAと三菱重工業が約2060億円をかけて共同開発。1号機には、災害の被害状況などを把握する政府の地球観測衛星『だいち3号』(開発費約280億円)を搭載。衛星が失われたことで、災害対応への影響が懸念される」とも伝えている。

日経は「宇宙の国際競争遅れ必至」として「低コストと高い信頼性が求められる衛星打ち上げサービスの国際競争でも日本は厳しい位置に立たされる」と指摘。産経も開発を進めた三菱重工業に焦点を当てながら、「国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)からの撤退に続く国産プロジェクトの失敗で、日本企業の技術力に対する信頼性そのものにも打撃を与えかねない」と厳しく糾弾した。

その三菱重工の株価にも言及。3月7日の東京株式市場で三菱重工の株価は急落。事業成功への期待感から打ち上げ直後には前日終値比89円高の5186円まで値上がりしたものの、第2段エンジンの着火を確認できず失敗したことが伝わると一転して売り注文が拡大。一時は163円安の4934円まで下落。終値も19円安の5078円だったという。

2023年3月8日付

●「米利上げ加速も」FRB議長(読売・9面)

●花見の季節返り咲き、イベント続々「にぎわいを」コロナ、マナー違反警戒も(読売・27面)

●BMW、25車種リコール申請(読売・31面)

●放送法文書総務省が作成、高市氏、改めて「捏造」主張(朝日・1面)

●H3打ち上げ失敗、日本の宇宙開発打撃(朝日・1面)

●いすゞ、初のEVトラック、国内で販売、海外展開も計画(朝日・8面)

●賃上げ3%超予測も、満額回答相次ぎ30年ぶり水準視野(毎日・7面)

●三菱重、相次ぐ計画失敗、株価急落、日本の技術信頼打撃(産経・3面)

●電池交換式のEV、ヤマダなど出資の新興、車改造、規制緩和も後押し(日経・1面)

●日本貨物航空を買収、ANAHD日本郵船から10月にも(日経・3面)

●日産格下げ「投機的水準」S&P、収益回復に遅れ(日経・17面)

《福田俊之》

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