今回テストしたのはヤマハの125ccの原2スクーター、『シグナスグリファス』。前モデルの「シグナスX」から新たに水冷エンジンを採用したほか、車体や外装デザインも一新したフルモデルチェンジとして昨年登場しました。
◆スポーティさを感じさせるライポジ

見た目はご覧のとおり、なかなかにスポーティ。車格は125ccとしては一般的なサイズで、狭い場所での小回りや取りまわしも抜群ながら、一方でベーシックなモデルより1つ上のような印象を受けます。
シート高は785mm。跨ってみると身長160cmの私では、シートの前の方に腰掛けないと両足がちょっと地面に届きにくかったですね。でも、そのままの着座位置で走ろうとするとハンドルまでの距離が狭くなってしまうので、スタート後にベストポジションまで腰を後ろに引いてあげる感じとなります。
ライポジとしては直立して乗るというより、少し気持ち的に前かがみになるような乗り方が似合うようで、このあたりはスポーティさを感じさせるような味付けにしたかったのでしょうか。身長が高い男性だと足を前に投げ出して乗る方が楽かもしれませんが、私の場合だとフロアボードに普通に足を下ろすだけでちょうどいい感じとなっていました。
◆パワフルでも扱いやすさ重視の乗り味

エンジンの最高出力は前モデルのXが出していた9.8psから約2割増しの12psを発揮。出だしのダッシュ感はちょっとやりすぎ?というくらいになかなか力強く、この部分もいかにもスポーツスクーターといった感じです。
そうして見るとデザインもそうですけど、このマシンは男性が好みそうなところで攻めているのかも。たしかに女性で乗っているというのはあまり聞いたことがないんですよね。しかし走り出してしまえば、あとは街中を走るコミューターとして、いわゆる普通の扱いやすい原2スクーターのエンジン。

そのなかで私がいいなと感じたのは、VVA=可変バルブを採用していることで、どの回転数からでもスロットルを開ければ同じようなトルク感が得られるということ。街中をいつもどおりに走っているぶんには回転域によって速度の伸びが鈍くなるといったようなことはまったく無く、不満を感じずに楽しむことができるのが良かったです。
サスペンションも硬めな方向に振ってゴツゴツしたり、逆に柔らかすぎてフニャフニャしたりすることもなく、至って普通の乗り味を提供。シートのクッション性も同じように普段使いのちょうどいい感じとなっていました。
◆スクーターとしての使いやすさは申し分ない

スクーターならではの実用装備面もシグナスグリファスはしっかり充実。フロントポケットにはそのままスマホとつなげるUSB電源ソケットが付き、コンビニフックには飛散防止のロックも装備。
驚いたのは容量28Lを誇るシート下のトランクで、なんとアゴにアクションカメラを取り付けた状態のフルフェイスヘルメットも入ってしまいます。これなら大きめのビジネスバッグでもちょっと折りたためば入りそう。なんならリュックサックでもいけそうな気がします。
メーターは反転液晶で、大きな速度計の下にバーグラフ式のタコメーター。他には燃料計や時計、オド&トリップメーターと欲しいものはひと通りのものが付いています。このタコメーターが三角形状となっていて、あまり見慣れたことのない珍しいデザインなのが印象的でした。

ガソリン給油口がフロントインナーパネルの左側にあるのも、給油のたびにシートを開けたりする必要がなく簡単なところに好感が持てました。ブレーキはABSでは無いものの前後連動システムを採用。ここはABSであった方が安心感では一枚上になるのですが、価格はグンと跳ね上がってしまうので仕方ないところかも。
総じて普段の便利な移動ツールとして、125スクーターに求められているものはすべて盛り込まれている、といった印象に仕上がっていたシグナスグリファス。通勤・通学のお供としても十分にオススメできるマシンとなっていました。原2スクーターが欲しい人は、選択肢のひとつとして検討してみてもいいのではないでしょうか。

■5つ星評価
シグナス グリファス
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★
小鳥遊レイラ|愛称:ことりちゃん
レースクイーンに憧れてモータースポーツ業界へ。しかしMOTOR STATION TVでの出演をきっかけに走る方に目覚めてしまい、いきなり大型二輪免許を取得。現在では2輪4輪共にサーキットを走り、一昨年に4輪のレース参戦のためJAF国内A級ライセンスを取得。先日、MFJロードレース国内ライセンスを取得して、今年は2輪でもレースに参戦予定。イベントMCから2&4輪の耐久レース参戦まで楽しむモータースポーツ女子。身長は160cm。