ブレーキタッチ改善でもっと乗りやすく!!~カスタムHOW TO~

ブレーキタッチ改善でもっと乗りやすく!!~カスタムHOW TO~
ブレーキタッチ改善でもっと乗りやすく!!~カスタムHOW TO~全 3 枚

ブレーキが思うように効くのは乗りやすい。効き始めが曖昧だったり、一瞬遅れるだけでもドライバーはすごく乗りにくく感じる。慣れてしまって普通になっているからこそ、改善すると圧倒的に扱いやすくなる。

◆ペダルはカチッとしているとブレーキは扱い扱いやすくなる

ブレーキタッチは運転においてとても重要な項目。そんなの効けばなんでもいいという人もいるが、ペダルを踏んでなかなか効かなかったら冷や汗が出るものだし、踏んだ瞬間にカツンと効くのもまた乗りにくい。レースの世界では繊細なコントロールができたほうが有利なので、扱いやすさを重視してチューニングしていく。基本的にペダルタッチはカッチリとして、ペダルのストローク量は減る方向になる。

コントロール幅がたくさんあったほうが扱いやすいと思われがちだが、奥まで踏み込まないと効かないブレーキは不安に感じやすい。足も奥まで踏み込まないといけなくなるとカカトを床に付けたまま操作できなくなり、トラックやバスの運転のように浮かせた足で踏むことになる。こうなると細かいコントロールがしにくくなりやすい。

レーシングカーではわずか数センチのストロークしかないことがほとんど。しかし、軽く踏めば軽く効き、ギュッと踏めばブレーキもギュッと効く。そのペダルへ込める力と減速量がリンクしているからこそ、ABSをギリギリ介入させないようにブレーキとか、ABSなしなら一瞬ロックしても瞬時にタイヤをわずかに回転させるようなコントロールができる。

◆タッチを良くするには物理的改善と
油圧系統の改善の2種類がある

ではどうすればペダルタッチがよくなるのか。まず、現在ほとんどのクルマは油圧ブレーキ。ブレーキオイル(フルード)をブレーキペダルを踏み込むことでマスターシリンダーから圧送する。注射器のようなものでブレーキオイルを押すのだ。

すると車体側に付けられた金属配管を通り、タイヤハウスの中ではサスペンションと一緒に動いているブレーキキャリパーに油圧を伝えなくてはいけないのでゴムホースが油圧を伝える役割を持つ。キャリパーの中で油圧がピストンを押し出して、パッドをローターに押し付けている。ドラムブレーキでも基本的な理屈は同じで、油圧によってシューをドラムに押さえつけているのだ。

そこで登場するのがメッシュホースである。純正のブレーキホースはゴム製で、油圧が掛かるとホース自体が膨らむ。それによってブレーキタッチが柔らかくふわっと感じられる。アフターパーツに多いメッシュホースは、ゴムホースの周囲を金属製のメッシュで覆うことで膨張するのを防ぐ。ホースが膨らまないのでブレーキを踏んでも油圧が逃げずにそのままキャリパーに伝わる。ペダルタッチがカッチリとするのである。

またフルードも重要。スポーツフルードと呼ばれるものは耐熱性がアップしていて、沸騰してブレーキが効かなくなるベーパーロックが起きにくくなっているが、ペダルタッチも良くなる。ダイレクトに油圧を伝えるべく、粘度などが調整されていてペダルがカチッとする効果が高い。体感的な部分だがメッシュホースにするのと、スポーツフルードにするのでは同じくらいペダルタッチが改善する効果があるイメージだ。

ひと昔前のスポーツフルードは湿度を吸収して性能が劣化しやすかったが、近年のものは問題なし。車検ごとの交換でも十分大丈夫。さらにペダルタッチがソリッドになるレーシングフルードもあるが、そうなると毎年交換しておきたい。

また、フルードは熱によって劣化してペダルタッチが悪化する。サーキット走行後に「エア抜き」と言って、キャリパー内のフルードに発生した気泡を排出するために部分できなフルード交換をすることがある。「エア抜き」と呼ばれているが現代のスポーツフルードとブレーキの性能からだと実際に気泡が発生していることは少ない。熱で劣化したキャリパー内のフルードを交換するイメージなのだ。

◆パッドとローターを変えて物理的にタッチを変える

パッドもブレーキタッチに非常に重要な部分。ノーマルパッドは樹脂や繊維成分が多く、ペダルタッチが柔らかくなりやすい。スポーツパッドの方がペダルはカッチリする傾向にあるが、タッチのためだけにスポーツパッドにするのも考えもの。少なからずダストが増えたりする。街乗りメインのアフターパーツメーカーのノンアス系パッドなどにすると使い勝手は変わらず、ペダルタッチを改善できることが多い。ローターも同様。アフターパーツのローターではメーカーによって材質が異なるのでペダルタッチも変わる。基本的にはアフターパーツのローターは純正に比べてこちらもペダルタッチが改善される傾向にある。

そして最高峰はキャリパー交換だ。キャリパーには圧倒的な剛性がある。同時に専用メッシュホースがセットにされていて、スポーツフルードも入れるし、ローターも専用品に変えることが多い。一気にフルメニューになることもあって、ペダルタッチも圧倒的に変わる。レーシングカー並みのソリッドさが手に入れられる。最低でも数十万円の投資になるが、そのリターンは十分あるチューニングである。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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