F1参戦3年目の角田裕毅、開幕2戦を振り返って語る…「“強い戦い”はできていると思います」

#22 角田裕毅(2023年F1第1戦バーレーンGP)
#22 角田裕毅(2023年F1第1戦バーレーンGP)全 8 枚

3月29日、F1ドライバーの角田裕毅が今季第3戦オーストラリアGPを前に日本メディア向けのオンライン会見に臨んだ。開幕から2戦連続11位という状況だが、「順位はともあれ、“強い戦い”はできていると思います」と、自身の走りの内容には手応えを感じている様子だ。

◆連続11位、でも「ある程度満足のいく」戦いの中身

F1参戦3年目を迎えた角田裕毅(つのだ・ゆうき、5月で23歳)。今季2023年も実質的に“アルファタウリ・ホンダ”と呼ぶべきパッケージで参戦している(今季のアルファタウリの搭載パワーユニット名称は「ホンダRBPT」。RBPTはレッドブル・パワートレインズの略)。既に開幕から2戦を終えているが、2戦とも決勝11位と、10位入賞一歩手前の惜しい結果が続いている。

ただ、アルファタウリの今季型マシン「AT04」の現状の対他的戦闘力を考慮した場合、客観的には上出来の結果を残している、ともいえるところ。角田本人にもそうした手応えはあるようで、「ここ2戦はポイントに近いところで終わってしまっていますが、自分としては、ある程度満足のいく“強い戦い”はできていると思います」との旨を語る。

「開幕戦(バーレーンGP)は最初のプラクティス走行から決勝まで、ほとんどミスなく自分の100パーセントのパフォーマンスは出せましたし、第2戦(サウジアラビアGP)も決勝でクルマのボテンシャル(的に厳しい状況)のなかでポイント争いができたことは大きかったと思います。難しい状況でもあきらめずに戦う姿を見せられたことは、チームを活気づけるとも思いますので」

もちろん、ドライバー個人としての課題も認識している。角田は具体的に「安定して良いスタートを切ること」を挙げた(1周終了時の順位自体は開幕戦がグリッド位置から1ダウン、第2戦が2アップと、決してわるくはないが)。また、フィジカルの強化にも従来以上に力を入れている。新たなトレーナーをつけたり、シーズンオフにはドバイで2週間のトレーニング専念期間を設けたりと、かなり意欲的になっているようだ。

◆チームとともにマシン改良を。重要なのは自身のフィードバック

今季開幕2戦で、“マシンの戦闘力が思わしくない”ことは角田もチームも自覚しているという。一昨年、角田のデビュー年のアルファタウリは年間総合ランキングで全10チーム中6位につけ、角田も決勝最高4位という結果を得ていた。しかし昨季はチームが年間総合9位へと後退し、角田の最高位も7位にとどまった。その流れが今季序盤も続いてしまっているようだが、チームとしても巻き返しを強く意識している模様だ。

「去年は他チームに比べてマシンのアップグレード(改良)回数が少なかった。今年は少しでもいいから、コンスタントにアップグレードしていくことをチームも考えています」と角田。そのためには「毎セッション、自分がいいフィードバックをすることが大切です」と、ドライバーとしての役割の重要性を再認識してもいる。

「今年のスタート時点のマシン状態は良くないです。去年(のチーム成績)も良くなかったのでチームとして少しプレッシャーもあるなか、チーム全体が“覚悟の年”と思って取り組んでいます。(だからといって)焦らずに、少しずつでも前進できるようにしていきたい」

昨季までのチームメイト、アルファタウリで優勝も経験しているピエール・ガスリーがアルピーヌに移籍し、今季の角田の僚友は初のF1フル参戦になるニック・デ・フリース。F1レギュラーシート獲得は初めてながら、角田より年長でキャリア豊富、フォーミュラEのチャンピオンになった実績なども有する実力者だ。

「ニックとはもともと友人でもありますし、リスペクトし合って、フィードバックをシェアして、チーム一丸でクルマを良くしていくという同じ目標に向かっていい関係性だと思っています。2人ともポイント圏内(10位以内)でレースを終えたいですし、そういうレースをコンスタントにするためにいいクルマにしていきたい」

マシンの改善に関しては、「ダウンフォースを増して、ドラッグは増やさない(減らせる)ように」というフォーミュラカーの基本的な方向性での洗練を目指すという。同じパワーユニットを積む系列上位チーム、レッドブルが開幕2戦連続1-2フィニッシュと絶好調だが、「ストレートスピードがレッドブルと10km/hくらい違うので」という状況だけに、やはりドラッグは増やしたくない(減らしたい)。基本的かつ難しい方向性の徹底が肝要になるようだ。

◆鈴鹿は「ファンのみなさんと一緒に、楽しんでレースしたい」

そして、まだ先の話にはなるが、今年もシーズン後半には日本GP(鈴鹿サーキット)がある。角田にとっては2回目の母国レースだ。昨年の初凱旋時を「予想をはるかに超えるたくさんの人が足を運んでくださいましたし、想像を超える感動がありました」と振り返りつつ、角田は“2度目の鈴鹿”に意欲を燃やしている。

「今シーズンもいちばん楽しみなレースです。去年は(決勝レースが)雨でしたから、今年はファンのみなさんのためにも、自分の楽しみのためにも、晴れでやりたいですね。晴れ(ドライコンディション)の鈴鹿は本当に速いですし、攻め甲斐があるコースですから」

「それまでにチームとして、自分として、とにかくいいクルマをつくりあげて、ポイント圏内でゴールできるように、表彰台も目指せるように、頑張っていきます。鈴鹿では日本のファンのみなさんと一緒に、楽しんでレースしたいとも思っています」

今年のF1日本GPは9月22~24日に開催される予定だ(チケットは5月8日に先行販売がスタート)。

まずは今週末(3月31日~4月2日)のオーストラリアGPである。本拠とする欧州との時差が大きいため、早めの現地入りをして備えているという角田。「メルボルンのコースは中速コーナーが多い印象。好きなコースです。(連続11位のあと)今回こそポイントを獲りたいですね」。アップグレードも入る予定ということで、好結果を期待したいところだ。

2023年のF1世界選手権は史上最多となる全23戦の予定で進行中。角田とアルファタウリは開幕2戦を終えて無得点だが、第3戦オーストラリアGPで今季初入賞を目指し、そこからさらなる浮上を狙っていく。

《遠藤俊幸》

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