Suica始まって以来の革命、クラウド型Suica…エリア間をシームレスに利用 北東北で5月27日から

JR東日本横浜駅のIC専用改札。
JR東日本横浜駅のIC専用改札。全 4 枚

JR東日本は4月4日、クラウド型のSuicaを5月27日から導入すると発表した。

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Suicaは2021年11月、鉄道事業者初のICカードシステムとして首都圏424駅でサービスが開始されたが、1987年の開発着手当時は、将来の通信速度向上を見越して改札通過時にセンターサーバーとやりとして運賃計算などを処理する構想が考えられたこともあったが、首都圏では1日1500万人分もの利用が想定され、処理のもたつきが懸念されたことから、個別の改札に処理機能を持たせる現在のシステムが開発された。

しかし、Suica誕生から20年ほどが経過した近年では、QRコード決済やクレジットカードのタッチ決済による実証実験が進んでいることから、近い将来、Suicaを脅かす存在になることが予想され、エリア拡大などが命題になりつつあった。ただ、エリア拡大においては、従来のように個別の改札機に処理機能を持たせる方式では、高額な改札機が費用対効果の上で障壁となっていた。

そこで考え出されたのが、開発当初に先祖返りするようなクラウド型システムで、改札通過時にセンターサーバーへ主要な処理を任せることで、改札機の大幅なコスト削減を図ることができるようになった。処理スピードの面でも、20年前には考えらなかった高速なサーバーやネットワークの出現によりハードルが低くなり、今回、全面的な導入の運びとなった。

このSuica始まって以来の革命とも言える抜本的なシステム変更により、一層の高速化や複雑な処理の対応を図れるようになるほか、地域完結だったSuicaサービスをシームレスに活用できるようになるという。また、Suicaと切符情報を組み合わせた処理も可能になるため、会員向けサービスへの対応や業態を跨いだ柔軟な商品設定などもできるという。

反面、センターサーバーに依存するため、システムダウンなどの異常時に備え、サーバー分散やバックアップなどをどのように対応するのかが新たな課題となりそうだ。

このクラウド型Suicaが最初に導入されるのは、青森・盛岡・秋田の北東北エリア45駅で、2023年夏以降には既存の首都圏・仙台・新潟エリアにも導入されるスケジュールとなっている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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