【ホンダ ZR-V 新型試乗】“自称ちっちゃめ”のSUVは女性ニーズを満たしてくれるのか?…岩貞るみこ

ホンダ ZR-V e:HEV
ホンダ ZR-V e:HEV全 16 枚

今回のワンポイント確認は、「自称ちっちゃめのSUVは女性ニーズを満たしてくれるのか」である。

もうくどいほど書いているけれど、私はSUVが好きだ。あの野性味あふれる懐の深そうな雰囲気がたまらなく好きなのである。とはいえ、街乗りをするには、アクセルやハンドルの軽快さは捨てがたい。では、ホンダ『ZR-V』はどうまとめてくれたのかが、今回のチェックポイントである。

ZR-Vはガソリンエンジンもあるが、今回の試乗はもちろんハイブリッド(以下HV)。ホンダ自慢のe:HEVというシステムは、以前、搭載されている『シビック』に試乗したときもスムーズさがかなり好印象だった。

◆ぎくしゃくせず、すっと前に出る上品さ

ホンダ ZR-V e:HEVホンダ ZR-V e:HEV

運転席では、背もたれが上手に腰から背中にかけてサポートしてくれる心地よさに満足しつつ、そのままアクセルを踏むと、電気モーターがアシストする“つかえ”のまったくない加速に、さすがe:HEVと二度三度とうなずいてしまう。

ただ、このスムーズさは単なる軽さや速さではない。手応えというか、クルマを押し出す力強さが、いい感じに伝わってくるのだ。アクセルを踏んだときに右足にかかる重さと、ぐっと前に進んでいくときの押し出し感が、1mmのずれもコンマ数秒の遅れもないシンクロ具合なのである。

気持ちいいのは、5km/hくらいでじわじわしつつ、そこからぐっと加速するとき。ぎくしゃくせず、すっと前に出る上品さ。街乗りでは、この微妙な加速を何度となく繰り返すことになるけれど、この滑らかさ&反応のよさのおかげでストレスが本当に少ない。

ハンドル操作も同じような印象で操作できるのも興味深い。ハンドルをきると、クルマが向きを変えていく様子がシンクロしているのはもちろん、アクセルとハンドルの感覚が似ているのである。四肢が同じ感覚で操作できると、考えることがひとつ減るような気分になり、気持ちがふわっと楽になる。なんだこの気楽さは?

ホンダ ZR-V e:HEVホンダ ZR-V e:HEV

◆下り坂を安心して走れる

もうひとつ、女性に苦手意識を持たせるものとして、下り坂のエンジンブレーキがある。シフトダウンをさせると、エンジン回転数がぎゃん!と上がり、エンジンが壊れるんじゃないの?という恐怖に包まれる。ゆえに、「エンジンブレーキを使え」と言われても使えないのだ。

ところが、e:HEVときたら、ハンドルわきのパドルシフト(両側に羽根みたいに出ていてシフト操作ができるやつ)でシフトダウンさせると、わずかなエンジン音は聞こえてくるものの脅すようなエンジン音はせず、ボディがゆれることもなく、いたって落ち着いた様子で減速していく。つまり、下り坂を安心して走れる。これ、ものすごくいい。せっかくのSUV、遠出もぜひしてもらい、下り坂を走る機会に活用してほしい。

◆このクルマは買いだ。と思いつつ…

最近のホンダのインテリアは、おもちゃ的なケバさがなくなってきたのも好印象。このクルマは買いだ。と思いつつ、唯一、ケチをつけるとしたら、全幅1840mmってのは、やっぱりデブだと思うのよ、街乗り重視なレディースにとってはね。

ホンダ ZR-V e:HEVホンダ ZR-V e:HEV

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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