【プジョー リフター ロング 新型試乗】おいおい、だいぶ違うぜ、リフターとベルランゴ…中村孝仁

プジョー リフター ロング GT
プジョー リフター ロング GT全 46 枚

つい先日、シトロエン『ベルランゴ ロング』に試乗したのに続き、同じ骨格を持つプジョー『リフター ロング』にも試乗した。その結果であるが、この2台、かなり大きく異なることが分かった。

写真:プジョー リフター ロングとシトロエン ベルランゴ ロング

◆タイヤ、インテリア、シート、値段が違う

アナウンスされているの違いは脚のセッティングに関してだけ。それは単に少しだけダンパーやスプリングレートなどをいじっているのかと思いきや、まずタイヤが違う。ベルランゴが、ミシュランのプライマシー4を装着しているのに対し、リフターはグッドイヤーエフィシェントグリップだ。

ところが何故かリフターのスペアタイヤはミシュランのラティチュードである。それだけではない。そもそも、シトロエンの方はスペアタイヤを装備していない。つまりタイヤ一つ分、シトロエンが軽い。違いはまだある。そもそもサイズが違う。シトロエンは205/60/R16を装着するのに対し、リフターは215/60R17である。ここまで違えば乗り味に変化が表れて当然である。

インテリアもかなり違う。一番大きな違いはリフターがプジョー独自のiコックピットを採用して、かなり小径のステアリングホイールを採用している点。そしてメータークラスターがだいぶ上方にあることなど。値段の違いに響くのはプジョーにアドバンスドグリップコントロールが装備されること。さらにヒルディセントコントロールが付くことなど、オフロードや雪道を想定した場合はかなりプジョーが有利になる。

これ以外の装備に大きな違いはないが、実はシートも違っていた。「GT」を名乗る(リフター)だけのことがあり、シトロエンよりもサイドサポートの抉りの深いものが装備されている。だからほんのりしたベルランゴに対してシャキっとしたリフター的な違いが出てくる。

シートレイアウトや取り外しなどの方法は全く同じ。つまりリフターかベルランゴかという点は、もっぱらその走りの違いとデザインでチョイスが決まる。もちろん価格差もそれなりにあって、リフターロングのGTは455万円から。一方のシトロエンはロングのシャインというグレードが443.3万円からとなる。装備だけを考慮するなら、10万円程度の違いならグリップコントロールやヒルディセントコントロールが付くリフターの方がお得な印象も受けるが、ここから先はテイストの問題となってくる。

◆「質」で選ぶならプジョーがオススメ

では走りの違いはどうか。エンジンとトランスミッションのメカニカルトレーンは両車全く同じ。車重はリフターの方が40kgほど重い。もっとも日常的な走りでは重量差による違いを発見することはできないと思う。つまり加速感などに差はないということだ。

誰もが一番気になるのは果たしてベルランゴとリフターで走りのどこに違いがあるかという点だと思うが、その差はまあ表現するなら蕎麦に唐辛子を入れるか入れないかレベル。普通に乗るには正直大きな違いはない。突き詰めた話をすると、ステアリングが小さなプジョーはやはり動きが少しだけ機敏になる。タイヤ差もそれなりに感じられて、シャープにステアリングを動かした時などの、ボディの追従性はプジョーの方が良い。

一方でサイズの大きなタイヤゆえの不利さはほとんど感じられず、むしろプジョーのピシッとした乗り心地に好感が持て、フワッとして快適ではあるけれど、つかみどころのないシトロエンよりもクルマとしての動きはプジョーの方が好ましい。

あとはデザイン(と言っても前から見た時の顔だけだが)の好き嫌い。それとインテリアの差程度である。インテリアに関して言えば使っている素材は変わらないけれど、色使いなどで、プジョーの方が少しだけ高級感がある。自動車に乗って走りの質の差を敏感の感じ取れるユーザーなら、その走りという部分ではプジョーの方がお勧めである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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