通信機器メーカー大手のファーウェイ(華為技術)は、上海モーターショー2023の開幕に先駆け、「Advanced intelligent driving system;ADS 2.0」(Huawei ADS 2.0)をローンチした。
新世代となる「Huawei ADS 2.0」は、運転支援システムの技術的な向上だけでなく、スマートキャビン、スマート車載レーダー、スマート自動車デジタルプラットフォームなどの総合的なインテリジェント・ドライビング・システムを目指す。
ファーウェイの常務董事(役員)で、端末ビジネスグループCEO、スマートカーソリューション・ビジネスユニットCEOの余承東氏は、「Huawei ADS 2.0は、新興ブランドのAITO『WENJIE M5』スマート・ドライブ版で登場し、続いて、『AVATR 11』『ARCFOX αS』もアップグレードする。将来的にはさらに多くの車種に搭載される見通し」という。さらに、「Huawei ADSがより多くの車種に搭載され、街中を走り、距離を重ねることで、このシステムはまずます洗練される。技術の特徴の1つは、高精度な地図は全国をカバーするのが難しく、また、中国の道路はほぼリアルタイムで変化しているため、高精度地図に依存しないシステムが実用的な価値がある」と製品の特長を語っている。

今回の上海モーターショーでは、Huawei ADS 2.0とHarmonyOSスマートコックピット3.0を搭載した初のモデルとしてAITO『WENJIE M5』を展示した。その特徴は、スマート車載レーダーとして、レーザーレーダー1基、ミリ波レーダー3基、ハイビジョンカメラ11基、超音波レーダー12基を搭載し、新たな通信技術を構築することで、自動運転レベル3に近いスマート運転をもたらすという。これは、BEV(Bird Eye View、鳥瞰図)の知覚能力を融合させることで、異形物を識別し、道路トポロジーの推理ネットワークと結合して、マップがなくても運転できるようになるというもの。

同じく新興ブランドのAVATRはモーターショーの会場で、ファーウェイと戦略的協力関係をさらに深化させると発表した。AVATRも同じく、Huawei ADS 2.0+HarmonyOSを搭載し、車両のスマート化により地図に頼らないスマート運転を実現する予定。今年下半期には新型2モデルを発表し、来年には3~4モデルを発表していく計画だという。
こうした新興ブランドに共通した狙いは、ユーザーにとって「自分を喜ばせる」というエモーショナルな訴求により潜在顧客を吸引し、新たな体験の機会を提供することにある。AVATRの董事長兼首執行官の譚本宏氏は、「全てのAVATRの製品が、ユーザーにリアルで楽しい友人となることで共感が生まれ、それが絆になっていくことを望んでいる」と述べている。
