注目・人気のSUVを徹底比較:CX-5、ZR-V、ハリアーそれぞれの特徴とおすすめユーザーは?

(上から)CX-5、ZR-V、ハリアー
(上から)CX-5、ZR-V、ハリアー全 63 枚

ここで取り上げる車種は、各メーカーの売れ筋SUVだ。CX-5とZR-Vはボディがミドルサイズになり、ハリアーは少し長いLサイズだが、いずれも街中で多く見かける人気車だ。

【画像全63枚】

◆外観デザイン&ボディサイズ比較

CX-5のフロントマスクは、マツダ車の典型的なデザインで、スポーティな雰囲気を感じさせる。ZR-Vのフロントグリルは、縦方向にスリットが入り、独特の個性的な顔立ちに仕上げた。ハリアーの外観は、装飾類も多く、上質で都会的だ。

全長はCX-5が4575mm、ZR-Vは4570mmで、1800mmを超える全幅も同程度だ。ハリアーは全長が4740mmと長いが、全幅は1855mmだから、ほかの2車ほぼ同じになる。

◆インテリア&居住性比較

CX-5のインパネは水平基調のデザインでシンプルに仕上げた。前輪駆動のプラットフォームを使ったSUVとしては、ATレバーが収まるセンターコンソールが少し高く設定され、適度な囲まれ感がある。後輪駆動車のような造りとした。

ZR-Vは共通のプラットフォームを使うシビックに似たデザインで、細部までていねいに造り込んだ。
CX-5とZR-Vの内装は、少し抑制を利かせた欧州車風だが、ハリアーは純日本的だ。インパネに使われる素材は合成皮革だが、艶っぽくて質感も高い。かつてのクラウンで表現したような分かりやすい高級感が備わる。

居住空間は3車種ともに広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、CX-5が握りコブシ2つ分、ZR-Vとハリアーは2つ半になる。

◆荷室などの使い勝手比較

CX-5は、ほかの2車に比べて後席の足元空間が少し狭いが、荷室長は950mmだからZR-Vの890mmを上まわる。つまりCX-5は後席と荷室のバランスを重視しており、ZR-Vは4名乗車時の居住性に重点を置いた。ハリアーは全長が長いため、後席の足元空間が広く、なおかつ荷室容量にも余裕がある。

◆運転のしやすさ比較

ZR-Vを運転すると、ボディが比較的コンパクトに感じる。最小回転半径は5.5mだから、小回りの利きも悪くない。

CX-5はボディにボリュームを感じるが、最小回転半径は5.5mでZR-Vと同じだ。

ハリアーはボディが大きく、最小回転半径も5.5~5.7mになり、Lサイズの運転感覚だ。購入する時は、縦列駐車などを行って、取りまわし性を確認したい。

◆走行性能&乗り心地比較

CX-5のパワーユニットは、直列4気筒2Lと2.5Lのガソリン、2.2Lクリーンディーゼルターボになる。注目すべきはディーゼルで、4.5Lのガソリンエンジンに匹敵する駆動力を実用回転域で発生させる。操舵に対する反応も正確で、ディーゼルの個性が好みなら、走りの満足度も高い。

ZR-Vは1.5Lターボと、2Lエンジンを主に発電に使うハイブリッドのe:HEVを用意する。主力はe:HEVで、駆動はモーターが中心に行うから加速感が機敏で滑らかだ。ノイズも小さい。乗り心地はSUVでは硬めだが、走行安定性が優れ、ステアリングは小さな操舵角から正確に反応する。

ハリアーには2Lのノーマルエンジン、2.5Lのハイブリッドとプラグインハイブリッドがある。主力はハイブリッドで、動力性能はさほど高くないが、ノイズは小さく加速も滑らかだ。乗り心地も快適で、幅広いユーザーに適する。

◆燃費性能比較

WLTCモード燃費を販売の主力になる2WDのAT車で比べると、CX-5のクリーンディーゼルターボは17.4km/Lだ。ZR-Vのe:HEVは22~22.1km/Lで、ハリアーのハイブリッドは22.3km/Lになる。

CX-5の数値は下がるが、ディーゼルの軽油価格は、レギュラーガソリンに比べて1L当たり約20円安い。燃料代という見方をすると、CX-5のディーゼルは、ほかの2車のハイブリッドに近い金額に収まる。

◆おすすめのユーザー

いずれの車種も、4名乗車時の居住性が快適で荷室も広いから、ファミリーカーとして使いやすい。その上で比べると、CX-5はディーゼルエンジンの運転感覚を好むユーザーにピッタリだ。高速道路を使った長距離移動の用途に適する。

ZR-Vはスポーティな運転感覚が特徴で、峠道を含めて、機敏な走りを楽しみたいユーザーに向いている。車両の性格はSUVというより5ドアハッチバックに近い。

ハリアーは、上質感を重視するユーザーに適する。カテゴリーはSUVに属するが、車両の性格は、都会的なステーションワゴンに似ている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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