【BMW R18B 試乗】スタイルからは全く想像できない小回り性能に驚いた…西村直人

BMW R18B
BMW R18B全 24 枚

1801ccの空・油冷水平対向2気筒。直径10cm以上のピストンが2つ、足元で左右に10cmも動く。よってアイドリング時からドコドコと存在感を主張するわけだが、不思議と粗々しさがない。スロットルをゆっくり捻れば車体はグラッと左右に傾くものの、振動に角がなく実にマイルドで肩透かしを食らったようだ。

いくら車両重量410kgといったって、シート高は原付スクーター並の720mmだから乗ってしまえば楽勝だろう……、そんな思いで跨がった。まぁ720mmといっても車体の幅がうんと広く、身長170cmの筆者では両足がべったりとはいかない。腹に力を込めて『R18B』を引き起こし、ツリそうな左足のつま先でサイドスタンドを払う。……重い。心して1速へシフトする。ちなみに後退ギヤも備えるので取り回りはまずまず。

◆動き出せば最新、かつ“いつもの”BMW

BMW R18BBMW R18B

試乗当日はライディング用のレザージャケットに同じくライディング用に膝カップの入ったGパン、そして足元は踝をがっちりガードするロングブーツ、そして胸部プロテクターのフル装備で臨んでいた。よってスポーツモデルのライディングポジションにはピッタリだが、正反対のアップライトモデルには足元がやや苦しい。とりわけR18Bは大きなシリンダーヘッドが張り出しているので、左足で何度もシフトチェンジペダルを探ってしまった。

動き出せば、そこは最新のBMW。スペックからくる小難しさはどこにもない。シフト操作にしても、ペダルが左シリンダーヘッド下に位置することさえ忘れなければ、操作フィールはいつものBMW。アップもダウンもギヤはスコッと入って気持ちいい。

BMW R18BBMW R18B

91ps/4750回転、16.1kgf・m/3000回転のビックツインは高回転こそ得意としないが5000回転弱までぶわーっと盛大に吹け上がる。スロットルをワイドオープンにした際には鼓動を全身で感じることになるが、強靱なダブルクレードルスチールフレームによって捩れなどは一切感じない。

◆スタイルからまったく想像できない驚きの小回り性能

一番の驚きはこのスタイルからまったく想像できない小回り性能だ。撮影のため占有の試乗コース内では右に左に何度もフルロックUターンを行なったが、ステップのバンクセンサーさえ気をつけていれば、自分でもビックリするくらいクルクル回れた。

BMW R18BBMW R18B

スロットルオン&リヤブレーキ作動状態(前後連動ブレーキシステムを搭載)で小回りしてみても、左右で特性に違いがない。筆者は過去の愛車としてBMWの4気筒モデル『K100RS』の2バルブと4バルブモデルに17年乗っていたが、直列4気筒エンジンを90度横に寝かせた特異な配置であっても癖が少なく乗りやすかったことを思い出した。

高速道路では前走車を追従する「ACC/アダプティブ・クルーズ・コントロール」(BOSCH製)も試した。BOSCHではACC含めた先進安全技術を「ARAS」と呼ぶ。以前、開発陣に詳しく取材&テストコース試乗を行なっていたので機能は熟知していたが、ヘリテージモデルにして大型クルーザーのR18Bとの相性もすこぶる高かった。

価格は314万1500円から。

BMW R18BBMW R18B

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★

西村直人|交通コメンテーター
クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員。日本イラストレーション協会(JILLA)監事。

《西村直人@NAC》

西村直人@NAC

クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員。日本イラストレーション協会(JILLA)監事。

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