[プロセッサー活用]「スロープ」を変えると位相が回る!?

「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。
「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。全 1 枚

カーオーディオでは、サウンドチューニング機能を搭載したメカである「プロセッサー」が活躍する。車内には音響的な不利要因がいくつかあり、それらへの対処が良い音を得るための鍵の1つとなるからだ。当連載では、その設定方法を解説している。

現在は、複数のスピーカーユニットで音楽を再生しようとするときに、それらの役割分担を設定する機能である「クロスオーバー」の扱い方を解説している。そしてここ数回にわたっては、「位相」の合わせ方を紹介している。今回は、その“微調整”の仕方を説明する。

さて、ツイーターとミッドウーファーに対して「クロスオーバー」をかけるとき、「クロスポイント」付近の帯域の音はツイーターからもミッドウーファーからも聴こえてくる。このように同じ音が複数のスピーカーから聴こえてくるときには、それらの音の「位相(音波のタイミング)」が揃わないとサウンドが上手く繫がらない。で、それを合わせるためには「位相切替スイッチ」を操作し、その「正・逆」を切り替えてサウンドの一体感が高い方を選択すれば良いのだが……。

しかしながら、「正・逆」を切り替えても聴こえ方に大きな変化が現れないこともある。そんなときには「スロープ」を変えてみると、状況を変えられる場合が多い。

ちなみに「位相切替スイッチ」の「正・逆」を切り替えると、「音波のタイミング」が180度入れ替わる。つまり「音波のタイミング」がひっくり返るというわけだ。しかしそもそも「位相」がどっち付かずの状態である場合には、ひっくり返したところでもどっち付かずの状態からは脱却できない。

なのでそんなときには「スロープ」を1段階変えてみよう。そうすると「音波のタイミング」が90度変化する。例えば仮設定でツイーターの「スロープ」を「マイナス12dB/oct」に設定していたら、それを「マイナス18dB/oct」へと1段階進めるとツイーターの位相が90度回るので、その状態にて「正・逆」を切り替えてみると音の迫って来る感じに明らかな違いが現れることがある。そうなったらしめたものだ。音の迫って来る感じが強い方に設定すれば「位相合わせ」を完了できる。

または、ツイーターの「スロープ」を「マイナス18dB/oct」に仮設定してあった場合には、それを「マイナス12dB/oct」に戻してみよう。その上で音を聴きながら「位相切替スイッチ」の「正・逆」を切り替えてみよう。

なお「スロープ」の変更は、ツイーターかミッドウーファーのどちらかで行えばOKだ。そこのところはお忘れなきように。

今回は以上だ。次回は「位相」が合ったあとの「クロスオーバー」の整え方を説明していく。お楽しみに。

《太田祥三》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 世界最強の2Lターボ、最終モデル発表に驚きと嘆きの声「これが最後のAMG45系か…」
  2. マセラティが新型車を世界初公開へ、「トライデント」ロゴ誕生100周年を祝う…グッドウッド2025
  3. BMWの電動スクーター『CE 04』、3つの新デザインバリエーション発表
  4. 真夏のダッシュボードが20度以上低下!? 驚きの遮熱サンシェード新時代[特選カーアクセサリー名鑑]
  5. 「これは欲しくなる!」ランチア『イプシロン』のスポーツグレード登場に日本のファンも注目
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
  5. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
ランキングをもっと見る