脱炭素社会の実現にはクリーンな電力がマスト…伊藤忠、ZFとパワーエックスが唱える方策と今後の課題

伊藤忠商事 電力・環境ソリューション部門長の安部泰宏氏、ZFジャパン 代表取締役社長の多田直純氏、パワーエックス 取締役 代表執行役社長CEOの伊藤正裕氏
伊藤忠商事 電力・環境ソリューション部門長の安部泰宏氏、ZFジャパン 代表取締役社長の多田直純氏、パワーエックス 取締役 代表執行役社長CEOの伊藤正裕氏全 24 枚

伊藤忠商事ZFジャパンパワーエックス(Power X)の3社が“Battery Ecosystem Event”と題したイベントを5月16日に開催した。

◆「物流脱炭素パートナーシップ」で連携

自動車部品サプライヤーのZFからは、電動の小型商用車(LCV)向けプラットフォームである『エナリティ』プラットフォームコンセプトの完成イメージがこのイベントで初公開された。同社と伊藤忠商事は合弁会社の設立も視野に入れながら、「バッテリーエコシステム」の構築を目指す。電気自動車(EV)の車載バッテリーを非稼働時に蓄電システム(ESS)として活用し、車載電池として退役した後はESS向けに再利用する仕組みの検討などを行う。蓄電池としての寿命が終わった後は適切なリサイクルを行い、電池が持つ経済価値の最大化を図るビジネスモデルの開発にも取り組むという。

蓄電池やEV用充電器を手がけるスタートアップ企業のパワーエックスもこの日、新製品の発表を行った。商用EV向け充電システムの「Hypercharger for Fleet(ハイパーチャージャー フォー フリート)」は、1台あたり358kWhのパワーユニット(蓄電池部分)を13台まで連結できる拡張性が売りだ。その場合、急速充電器は48台、普通充電器であれば120台まで接続が可能だという。

今後は、ZFジャパンと伊藤忠商事が設立する予定の新会社および伊藤忠商事グループ、そしてパワーエックスの3社が「物流脱炭素パートナーシップ」という連携体制でソリューション提供を行っていく計画だ。パワーエックスが充電システム、伊藤忠商事グループが再生可能エネルギーによる電力ソリューション、ZFらが車両プラットフォーム技術およびバッテリーと関連サービスをそれぞれ提供する。

◆クリーンな電源によるCO2削減効果

この日は新製品発表のほかに、各社の脱炭素に向けた取り組みの発表やパネルディスカッションも行われた。テーマの1つとなったのは、クリーンな電力の重要性だった。パワーエックスの伊藤正裕CEOは、「クルマがEVになっても、充電エネルギーをクリーンで安価にしなければ脱炭素にはつながらない」と強調する。


《石川徹》

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