「すねに傷持つ者同士」の統合とは、少し言い過ぎかもしれないが、エンジン認証不正問題で経営危機に追い込まれたトヨタ自動車グループの日野自動車が、自力による再建を断念した。

生き残るために経営統合することで基本合意した相手の三菱ふそうトラック・バスも、かつては三菱自動車工業の商用車部門だったが、今から20年前の“古傷”とはいえ、リコール隠し問題や大型トレーラーのタイヤ脱落事故など一連の不祥事が引き金となって経営不振に陥り、やむを得ず三菱自から分離し、独ダイムラートラックの傘下となったという経緯がある。
◆4社が共同で記者会見

ライバル同士の経営統合は、親会社のトヨタとダイムラーを含めた4社が都内のホテルで合同記者会見を開いて発表したもので、きょう各紙も大きく報じている。このうち、産経と日経は1面トップで取り上げており、産経が子会社の「日野自・三菱ふそう統合」としたのに対して、日経は親会社の「トヨタとダイムラー提携」をメインの見出しにしている。
各紙とも経済面などに関連記事を掲載しているが、読売は「商用車次世代備え、脱炭素や電動化競争力強化」として「国内の商用大手同士が手を組む異例の大型統合で、次世代の商用車競争に備える」と報じている。

朝日は「規模拡大商用車でも加速」として、「巨額の投資が必要になり、経営資源の拡大が急がれるなかで、三菱ふそうの親会社である独ダイムラートラック側からアプローチがあった」とも伝えている。
◆持株会社を設立、株式公開を予定
日経も「日野の再建を巡り、親会社のトヨタが外部資本の受け入れを決断した」として、トヨタの佐藤恒治社長が「我々が日野を支えることへの限界もある」と苦しい胸の内を明かしたことにもふれている。さらに、新設する持ち株会社は株式公開を予定しており、一般株主からも資本を入れることに着目。「トヨタにとってみれば出資比率が下がることで、連結業績への影響を抑えることができる」とも。
また、毎日は「グループ内で不祥事が相次ぐトヨタ自動車も抱えきれなくなり、『親離れ』を求めた事情も透ける」と指摘。合同会見でも、トヨタ出身の日野の小木曽聡社長が「今回の4社の枠組みを千載一遇のチャンスととらえている」と強調。その発言からも古巣との微妙な関係が読み取れる。
2023年5月31日付
●日野と三菱ふそう統合へ、トヨタ・ダイムラー提携(読売・1面)
●「1円スマホ」規制へ、総務省、セット割上限上げ4.4万円(毎日・3面)
●ドローンで災害拡大防げ、国交省、3時間連続飛行に成功(産経・23面)
●東京円相場140円台前半、政府・日銀が会合(東京・7面)
●JR東海道線の誤進入、直前の列車を検知せず(東京・25面)
●世界景気減速にシグナル(日経・3面)
●つながる車対象の保険、東京海上、サイバー攻撃に対応(日経・9面)
●パナHD「張るときは今だ」車載電池、中韓勢と決戦へ(日経・16面)
●日本車8社、4月世界生産15%増(日経・17面)