ダミー人形に装着するセンサーや精度を保つキャリブレーション …人とくるまのテクノロジー展2023

エフ・アイ・ティー パシフィックブース(人とくるまのテクノロジー展2023)
エフ・アイ・ティー パシフィックブース(人とくるまのテクノロジー展2023)全 9 枚

5月24日から3日間の会期で開催された「人とくるまのテクノロジー展2023」にエフ・アイ・ティー パシフィックが出展し、衝突安全試験用の各種センサーや、センサーのキャリブレーションツールなどを展示した。

エフ・アイ・ティー・パシフィックは、自動車の衝突安全試験に使用するセンサーを中心に取り扱う商社だ。車両搭載用および人体ダミー用の加速度センサーや腹部圧力センサー、加速度センサーをキャリブレーションするための加振・校正システム、衝突を再現するための加速式/減速式スレッド試験機、衝突用のハニカムバリア、撮影用の高速度カメラや照明システムなどを揃える。

ブース中央には様々なセンサーが並べられていた。もちろん、「これらの製品は、主に自動車メーカーや自動車部品メーカー向けに提供している」ものだと担当者は説明する。

加速度センサー、ジャイロセンサー、電流クランプセンサー、2軸チルトセンサー、3軸ジャイロセンサーなどが並ぶなか、液体の入った10cmほどの細長いバッグのようなものがある。「これは、ダミー人形の腹部に設置して、衝突時の圧力を計測するためのものです」とのことだ。触ってみると、ちょうど人体の腹部に近い柔らかさで、シートベルトからどの程度の圧力がかかるかを計測することができる。

それらのセンサー類に付随して、センサーの精度をキャリブレーションするための機器も取り扱う。センサーは、使用の際に強い衝撃を受けたりすると、基準値がずれてしまい正確な計測ができなくなるため、基準値を正しい値に校正(キャリブレーション)する必要がある。そのための加振・構成システムだ。

展示されていたのはモバイルキャリブレータ―というもので、持ち運びを可能としながら、最大周波数10KHz、加速度200m/s2、重量900gまでの過振動試験を行える。センサーを取り付ける部分が震えるように動作する様子を見ることができた。

このシステムについて、「それぞれのセンサーは時間の経過とともに劣化するため、定期的に設定された値が正しく反映されているかを確認するチェック作業が必要です。それを実施するために用いるのがキャリブレーター」と担当者は話す。

またブースの反対側では、車両テスト等で使われるホース類の展示が目立った。パネルには、エンジンベンチ用耐熱ホース、排ガス分析用シリコンチューブという説明がある。

担当者の説明によると、「ホースは耐熱・耐摩耗など、特殊な機能を持つものを取り扱っています。高温の流体を流すことができるものや、粗い材質のものを流しても大丈夫なように耐摩耗性が高く、クランプなどで強化したホースもあります」とのことだ。

材質も様々で、排ガス分析に使うシリコン製のホースや、金属製で耐熱・防爆・難燃の機能を持つホース、耐熱・難燃のアラミド製のホース、耐熱繊維を用いたホースなどが展示されていた。

これらの製品群は、特殊な用途で使われるものが多いが、開発過程や安全性の確認においていずれも欠かせないものだろう。同社は今後も輸入商社として専門的な知識とともにクライアントをサポートするとしている。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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