エンジン冷却水の選択肢! スポーツクーラントが注目を呼ぶ理由

スポーツクーラントで冷却性能向上、冷却水を変えたほうが良い理由
スポーツクーラントで冷却性能向上、冷却水を変えたほうが良い理由全 8 枚

エンジン冷却水はロングライフクーラントが充填されている。純正のクーラントでも定期的な交換が必要だし、どうせ変えるならスポーツクーラントにすれば冷却性能を高めることができる。

エンジンはオイルで潤滑と冷却をしているが、クーラントと呼ばれる冷却水で主に冷却している。このクーラントは不凍液とも呼ばれるもので、水に凍りにくくなる成分が混ぜられている。水はマイナス温度になると凍ってしまうが、そのときに膨張する特徴がある。この膨張するときの力はとても強く、エンジン内部の冷却水がもし凍ってしまうとエンジンブロックが割れたり、ヒビが入ったりすることがあるそれを防ぐためにクルマにはクーラントが入れられているのだ。

◆クーラントは定期的な交換がオススメ

そのクーラントには不凍の効果とほかにも防錆の効果もある。ひと昔前までエンジンは鉄製が多かった。チューニングベースにされる日産『スカイラインGT-R』の「RB26」や、トヨタ『スープラ』の「2J」、三菱『ランサーエボリューション』の「4G63」なども鋳鉄ブロックだ。そういった鉄製エンジンに真水を入れると内部が錆びてしまう。そこで防錆剤が含まれているクーラントを入れる必要があるのだ。

現在はほぼすべてがロングライフクーラント(LLC)が使われている。その名の通り長く使えるのだが、それでも定期的な交換がオススメ。その理由は防錆効果が弱まることになる。冷却水の冷却効果としては変わらないが、防錆効果は徐々に落ちていく。錆と反応して徐々にその効果が失われてしまうのだ。ちなみにアルミブロックのエンジンでも、その内部の腐食を防ぐために防錆剤が必要だ。なのでクーラントを入れっぱなしにして長期間乗ると、いつのまにかエンジンが腐食するなどのダメージをうけることがあるのだ。その意味でクーラントは定期的に交換がオススメなのだ。

◆冷却効果アップ! スポーツクーラントをすすめる理由

そして、交換するならスポーツクーラントにするという手がある。スポーツクーラントとは純正クーラントに対して冷却効果をアップしている。

通常のLLCでは不凍効果を持たせるためにエチレングリコールが使われている。スポーツクーラントではポリプロピレングリコールが使われる。このポリプロピレングリコールがポイントで、エチレングリコールに比べて熱しやすく冷めやすい特徴を持つ。エンジン内部を循環する時に素早く温まり、ラジエーターでは素早く放熱できる。そのためエンジン内部の温度を下げやすく冷却効果をアップしやすい。エンジン内部を通過する時に素早く温まるので、エンジン出口の水温を測ると純正クーラントに比べて温度が高くなっていることも多い。それでもラジエーターで冷却効果も大きいので、ラジエーター出口の温度も低くなっているのだ。

「クーラントを変えたら冷却水の温度が上がった」ということになるのだが、水温センサーの位置によってはそれは冷却効率がアップしている証明であることもある。このスポーツクーラントではさまざまな性能のものがある。純正クーラント並みの不凍性能があり、普通に使えるものもあれば、もっと冷却効率アップに性能をふることで−5度までの不凍性能しかない製品もある。そういったものは本格的な冬場には危険だが、春から秋までは問題なく使えるので、季節限定で使う人もいる。

◆交換ついでに内部洗浄で、冷却効率を回復

せっかくスポーツクーラントに交換するなら内部の洗浄も行いたい。特に新車から10年以上経過したクルマでは、ラジエーターなどに徐々に汚れが詰まってきている。それを洗い流してやるだけでも冷却効率は回復できる。

クーラントメーカーのケミテックではそういった洗浄用にフラッシング水も発売している。この水を充填してエンジンを回して温めてから排出を繰り返すことで、汚れを取る。そして、そのフラッシング水がエンジン内部にどうしてもある程度残るが、ケミテックではこのフラッシング水にポリプロピレングリコールを混ぜたものがスポーツクーラントとしては販売しているものなので、残っても問題がないのだ。

温まりやすい冷却水は素早くエンジン内部で温度が上がるので、冬場に暖房が早く効く効果もある。そのため雪国の通勤ユーザーから支持されているという側面もある。そういった意味でスポーツクーラントを使う人もいるのだ。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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