曲面ガラス、セラミックタービン、レンタカーの無人配送など、AGCの技術展開…人とくるまのテクノロジー展2023名古屋

AGCの「車載ディスプレイ用3D複雑成形カバーガラス」
AGCの「車載ディスプレイ用3D複雑成形カバーガラス」全 26 枚

人とくるまのテクノロジー展2023名古屋」が、7月5日に愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で開幕。AGCのブースには、オートモーティブ関連の製品、ソリューションが多数展示されていた。その中から気になったものをいくつか紹介する。

インパネで需要が高まる曲面ガラス

自動車においてウィンドシールド以外のガラス製品で浮かぶのは、カーナビなどのディスプレイのカバーだ。最初に紹介するのは曲面ディスプレイに対応したガラス。カーナビのディスプレイは、フラットなものが多かった。しかし、コネクテッドカーの時代になるとインパネと一体化したり、助手席まで一体化したディスプレイの採用が広がってきた。これに伴いディスプレイ表面が異形になったり曲面になったりしている。

曲面ディスプレイに対応可能な「車載ディスプレイ用3D複雑成形カバーガラス」(手前)

AGCはスマートフォン向けに曲面ガラスの技術・製品を持っている。これを応用してカーブしたカバーガラスやスロープ状の段差がついたガラスなどを供給している。輸入車では採用実績もあり、国産車向けにも提供していく予定だ。湾曲したガラス自体は珍しいものではない。曲面なら研磨で出すことができるし、1mm以下の薄いガラスならたわませて(応力をかけて)曲面にすることも可能だ。だが、研磨はコストがかかる。薄いガラスや素材に応力をかけた状態では、車載部品、内装部品としての安全基準を満たすことはできない。

AGCのディスプレイ用曲面カバーガラスは、成形の型で曲面を出している。また、インパネやコンソール画面は、太陽光の映り込み対策、タッチパネル対応もスマホやPCモニタよりも要件が厳しい。映り込み対策のアンチグレア技術、タッチ対応の静電容量フィルム加工、指紋などの汚れ防止のマット処理についても、曲面ガラスに施す技術を持っている。加えて、コネクテッドカーのコンソールはエンタメ画質も求められるので、高コントラストでガラスの質感を保ちつつ、防舷性能に優れ汚れも目立たないものが必要だ。これに対応するAGCの「SWARTフィルム」も曲面ガラスに適用可能という。

低反射・高防眩のSWARTフィルムによって見やすいインパネを実現

軽量で耐久性に優れたセラミック素材

AGCはセラミック素材やその成形技術にも強い。展示されていたのは鋳物の型、ベアリング、小型のインペラーだ。鋳物の型(セラミック製)は、3Dプリンタで生成されたもの。3Dプリンタの利点は、複雑な形状型が作りやすいことだ。セラミック製のベアリングやフィンは、金属よりも軽くて耐久性や強度の高い部品とすることができる。

セラミック材料

ベアリングやインペラーは「特殊スラリー成形」を用いて作られる。簡単にいえば泥状のセラミック素材を型で固める製法だ。セラミックなので強度や耐熱性に優れている。高温・高回転などより過酷な状況にも適用できる。また金属と違って絶縁体なので、たとえば大きいベアリングは落雷のリスクなども考慮しなければならない風力発電の部品にも利用されている。セラミックタービンは高温・高回転の用途に向いている。AGCでは、小型セラミックタービンをFC(水素燃料電池)や、インバーターの冷却ポンプへ応用できないか考えている。

LiDAR構成部品としてのAGC製品

LiDARを構成する部品にもAGCの技術・製品が利用されている。LiDARの肝といえる近赤外線LDのチップを構成するパッケージを手がけている(ガラスセラミック基板)。LDが発した赤外線をビーム状に照射したい場合はコリメート用のレンズを利用する。ここには非球面のレンズが用いられるが、AGCは精度の高いモールド製法でこれに対応する。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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