ロールスロイス『ドロップテイル』、コーチビルドの伝統を反映…4台だけを生産へ

ロールスロイス・ドロップテイル
ロールスロイス・ドロップテイル全 10 枚

ロールスロイス(Rolls-Royce Motor Cars)は8月20日、新たなコーチビルドモデル『ドロップテイル』(Droptail)を4台生産すると発表した。

写真:ロールスロイス・ドロップテイル


◆過去の名車を研究したデザイン

コーチビルドは、オートクチュールに相当するロールスロイスの最高峰モデルを指す。ロールスロイスは4名の顧客とこの4年間、密接に協力してきた。合計4台のドロップテイルが生産される予定で、それぞれが顧客の個性を独自に表現しているという。

ドロップテイルは、2シーターのロードスターとなる。20世紀初頭の数十年間、ロールスロイスはコーチビルダーにシャシーを供給し、コーチビルダーは特別注文のボディを架装した。欧州の顧客は、運転手付きの4ドアサルーンを好んだが、米国の若い世代の顧客は、2ドアで2人乗りのロードスターボディを指定する場合が多かった。

ドロップテイルは、このような価値観を現代的な形で投影したものだ。ロールスロイスのコーチビルドデザイナーは、このスピリットを表現するために、1912年の『シルバーゴースト・スラッガード』、1930年の『ファントム・ブリュースター・ニューヨーク・ロードスター』、1925年の『シルバーゴースト・ピカデリー』を研究した。これらの過去の名車と同様に、ドロップテイルのデザインは大切な要素に絞ったアプローチが取られている。

◆ロールスロイスの2つのアイコンに手を加える

ドロップテイルは全長5300mm、全幅2000mmの大型オープンカーだ。ロールスロイスはドロップテイルのために、「パンテオングリル」と「バッジ・オブ・オナー」というブランドを象徴するアイコンに手を加えている。通常、パンテオングリルのベーンは直線的で直立型。ドロップテイルではロールスロイス史上初めて、ラジエターの上部に向かってねじれている。「テンプル・ブロウ」と呼ばれる張り出しを実現するために、緩やかな傾斜がつけられた。

ドロップテイルのリアには、2シーターであることを示す「セイル・カウル」が採用された。ヨットのジブに似ていることから、セイル・カウルの名前がついた鋭角フォルムは、ドアの後ろに立ち上がり、内側に緩やかにカーブしながら、さりげなく乗員に眼ざしを向けることを狙った。

また、セイル・カウルでは、乗員の間に位置するリアのデッキ部分が、車両が高速走行する際にダウンフォースを発生させ、安定性を向上させる空力的な機能を発揮する。この性能とドロップテイルが持つ「ドロップ・リア・エンド」の両立は、ウイングがない状態でダウンフォースを生み出すには不向きなデザインであり、難題という。ドロップテイルの後部デッキの最終的なフォルムは、デザイナーとエアロダイナミクスの専門家が、2年の歳月と20回におよぶ反復作業を行い完成した。

◆取り外し可能なハードトップを採用

ドロップテイルのパワートレインは、6.75リットルV型12気筒ガソリンツインターボだ。最大出力を30hp引き上げ、トルクを85.6kgmに向上させた。ロールスロイスのコーチビルドプロジェクトのために、エンジン出力を強化したのは、これが初めてという。

取り外し可能なハードトップを採用した。ルーフを開けたドロップテイルは、オープントップのロードスター。ルーフを取り付けると、クーペに変身する。ドロップテイルの低めな車体とポストボックス型のガラス張りは、その着想の一部を20世紀半ばの「ホットロッド」や「カスタム」スタイルの改造車から得ている。

ドロップテイルの脱着式ルーフは、カーボンファイバー製だ。ルーフには、ボタンひとつで室内への光量を変えるエレクトロクロミックガラスが組み込まれる。マウントポイントを通じて、ルーフ用の電気を接続するため、取り付けと取り外しは容易にできる、としている。

《森脇稔》

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