【スバル インプレッサ 新型試乗】最近のスバル車が玄人をうならせる4つのポイント…中村孝仁

スバル インプレッサ ST-G 4WD 
スバル インプレッサ ST-G 4WD 全 37 枚

◆玄人をうならせる4つのポイント

モータージャーナリストという職業柄、友人知人から良く「クルマ買いたいんだけど…」という相談を受ける。勿論価格やサイズなど条件はあるだろうが、大抵の場合「今お勧めのクルマってある?」と聞かれることが多い。最近はそんな時はほとんど「スバル」と答える。

すると「へー、何がいいの?」となるのだが、そこからは長くなるので端折るとして、ここ最近スバルが投入する車はどれもこれも、出来が素晴らしく良い。まあ、正直なところは玄人をうならせるクルマであって、素人には伝わりにくい部分が凄く良くできている。そんなわけだから、スバルは良さを伝える手段として安全を前面に押し出しているのだろう。「ママ、水筒忘れた…」という言葉で始まるCMは個人的にとても印象的である。

スバル インプレッサ ST-G 4WD スバル インプレッサ ST-G 4WD 

玄人目で何が良いか、と言われると答えは4つ。まずは最新の骨格の強さである。他のメーカーも色々と骨格を強くすべくアプローチをしているが、スバルが一番成功しているように思う。次に足のしなやかさ。恐らくは骨格が強くなったことで足回りのファインチューニングもしやすくなっているのだと思う。ただ、この部分はタイヤによる影響も大きく、装着タイヤによってそのしなやかさはだいぶ影響を受ける。

3つ目はデュアルピニオンのステアリングシステム。これも難しいことはとにかく、ドライバーが入力したハンドル操作に対してアシストトルクが正確に遅滞なく伝わるから、とてもスムーズな操作を可能としている。設計の自由度も増えるそうで最近採用が増えているとか。4つ目は乗り心地の良さだが、これは誰が乗ってもわかる。

◆e-ボクサーと純ICEの違いは

スバル インプレッサ ST-G 4WD スバル インプレッサ ST-G 4WD 

とまぁ、とりあえず無事に走って目的地に着けばそれでいい…なんて言う人には無用の長物だろうし、詳しい人には釈迦に説法になるような話ではあるが、それを今回の『インプレッサ ST-G』の場合、ベース車両価格303万3000円ですべて盛り込んでいるのである。

おまけにスバルお得意のシンメトリカル4WDである。4WDの乗用車が出始めた頃、1輪あたり10万円程度なら買い…という話もあった。だから前輪駆動車なら260万円程度ということになる。今どき300万円でこれほど手のかかった内容のメカニズムを持ち、快適で乗り心地が良く、しかも安全ということになると、これほどお買い得な話はないわけで、だから聞かれればスバルを薦めるという話になるわけである。

スバル インプレッサ ST-G 4WD スバル インプレッサ ST-G 4WD 

ST-Gというグレードは素のSTの上級グレードとなり、ドライブトレーンにはアシストモーターが装備されるいわゆるe-ボクサー。即ちマイルドハイブリッド仕様である。エンジンは2リットルの直噴NAだから、純ICEを積むSTのそれと同じである。ただ、パワートルクに関しては純ICEの方が少し上回るが、モーターアシストを考慮するとまあほとんど変わらないかな?というのが印象であった。

e-ボクサーの場合、発進をモーターが司ることからスムーズであるというメリットがあるが、正直なところ性能的な優位性はないように感じられる。つまり、スバルの純ICE搭載車は意外な穴馬であるということだ。

◆燃費とスタイリングの好みがチョイスの分かれ目か

スバル インプレッサ ST-G 4WD スバル インプレッサ ST-G 4WD 

試乗車は本革シートまで含む43万4500円のオプションが追加された結果、価格は343万7500円となっているが、それでも非常にバリューフォーマネーである。勿論ナビは付いているし、最近のスバルにはwhat3words(ワット3ワーズ)という位置情報システムアプリが搭載されていて、こいつが無類の正確さで案内してくれるから実に便利。これもお勧めの一つである。

装着タイヤはダンロップのSP SPORTMAXX 050という215/50R17。以前にも17インチタイヤがお勧めである旨記したことがあるが、同じ17インチでも銘柄による違いなのか、僅かながら路面コンタクトに硬さが感じられた。

とはいうものの、走る、曲がる、止まるという3要素に加え、快適さや静粛さが加わり、総合的なバランスは極めて高いレベルでまとまっていると思う。まあ、燃費だけはいただけないが、あとはスタイリングの好みがチョイスの分かれ目になると思うのだが、とにかくよくできたクルマである。

スバル インプレッサ ST-G 4WD スバル インプレッサ ST-G 4WD 

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 「日本には1台入るかどうか」3億円超のハイパーカーが日本に上陸した理由とは
  2. そのホイール角度って意味あるの!? タイヤをハの字にする理由とは~カスタムHOW TO~
  3. 三菱 デリカD:5 が『D:6』に!?…土曜ニュースランキング
  4. ちょっと待った! 自動車税の支払い…キャンペーンやポイントがつく支払い方法で
  5. ホンダ『フリード』新型、6月発売へ デザイン・コンセプトを公開 2タイプで個性強調
  6. スズキ『ジムニー郵便車』ミニカー、限定500台で予約開始
  7. 【ホンダ フリード 新型】「クロスター」はSUV風のタフなデザインに進化!2列シート仕様で魅力倍増?
  8. トヨタ カムリ 新型、『プリウス』顔に変身…米国で生産開始
  9. 【マツダ2 新型試乗】おかずなどいらない、炊きたての白いご飯のようなクルマ…島崎七生人
  10. ポルシェなのに中身はアウディ? 開発テストをおこなう謎の『マカン』その正体は
ランキングをもっと見る