スバル初の小型乗用車『スバル1000』は、独創性の塊のようなクルマだった【懐かしのカーカタログ】

スバル1000/ff-1 当時のカタログ
スバル1000/ff-1 当時のカタログ全 9 枚

今年2023年はSUBARU(スバル)創立70周年にあたる年だった。そんな同社にとって1958年発売の軽自動車『スバル360』に次いで、初の市販小型乗用車として誕生したのが『スバル1000』だった。

1965年10月、晴海で開催された第12回東京モーターショーで発表、翌1966年5月にまず4ドアセダンが発売、以降1967年2月2ドアセダン、同年9月4ドアバン、さらに同年11月にスポーツセダンがそれぞれ発売になっている。

スバル1000/ff-1 当時のカタログスバル1000/ff-1 当時のカタログ

このスバル1000は当時としては独創性の塊のようなクルマだった。小型車では国産他社に先駆けたFFの採用と、今でもスバルのシンボルのひとつとして受け継がれる水平対向エンジンの搭載はその筆頭。スバル360がRRとしたように、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)とすることで室内空間を広くとることができ、振動源のプロペラシャフトがなく、部品点数が少ない合理的な設計を可能とした。

さらに水平対向アルミ合金エンジンを採用し、デフを車体中心線上に置き、フロントオーバーハングを短縮化。加えてドライブシャフトの等速ジョイントに振動を抑えたダブルオフセットジョイントを開発するなどし、スバル1000のFFが実現された。

スバル1000/ff-1 当時のカタログスバル1000/ff-1 当時のカタログ

ほかに4輪独立サスペンションや、バネ下重量を軽くするインボードブレーキ、クロス配管ブレーキ、デュアルラジエター+電動ファン、センターピボット+ラック&ピニオンステアリングなど、先進技術もふんだんに盛り込まれた。

カタログでは「高速でのすばらしい走行安定性とシャープなコーナリングをぜひ一度おためしください。/FF車でしか味わうことのできないロードホールディングを発揮します。」と走りをアピール。一方で「FF方式を採用しているので、プロペラシャフトの出っぱりがなく、床面はまったくフラットです」と、1500cc級に匹敵するゆとりの室内も紹介。

スバル1000/ff-1 当時のカタログスバル1000/ff-1 当時のカタログ

ラインアップには標準エンジン(55ps/7.8kgm)に対し67ps/8.2kgmにパワーアップし、実用最高速が150km/h、0-400mが17.7秒というスポーツセダン、地面から荷室床面までの高さが39cmの低さのバンなどを揃えた。

モデル終盤の1969年3月には1088ccエンジン搭載の『ff-1』が登場するも、1970年2月には「ff-1 1300G」シリーズに移行した。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  2. 【フィアット 600ハイブリッド 新型試乗】意外にもBEV版よりスムースで快適! 価格にも「親近感」…島崎七生人
  3. スバル『フォレスター』に早くも「理想の姿」と話題の特別仕様、「最初から出してよ!」の声も
  4. 航続262kmの新型電動バイクが約10万円から、ビンファストが2モデル発表
  5. 今どき? ダウンサスが注目される理由とは…夏のカスタムHOW TOまとめ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
  5. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
ランキングをもっと見る