180km/hだせるEVプロトタイプ制作・LLM実装、着実に駒を進めるチューリング…ジャパンモビリティショー2023

ジャパンモビリティショー:チューリングのブース
ジャパンモビリティショー:チューリングのブース全 9 枚

ジャパンモビリティショー2023の東8ホールには新興の自動車メーカーとして名乗りを上げている「チューリング」がスクラッチで開発したEVを展示する。

チューリング試作車の細部

この車は、道路車両運送法の保安基準を満たしているのでナンバーも取得可能。原理的には型式指定もとれる。ベースは日産『リーフ』(ZE1)だが、フレームや外装、一部を除く内装はチューリングのオリジナル設計だ。ベース車で利用したのはバッテリー(40kWh)とフロントアクスル、それに付随するBMS(バッテリー管理システム)他だ。充電ポートも流用しているのでAC普通充電とCHAdeMOのDC急速充電に対応する。

同社によれば、この車は市販する車両を開発する上での知見、技術を得ることが第一目的だそうだ。量産はまだ意識していなくて、製品として公道を走れる車を自分たちの手で作ることが重要だと考えている。そのため、たとえばボディシェルはFRPによる成形ボディだ。パッケージも無駄を省くためオープン2シーターとなっている。エアコンは搭載せず、バッテリー冷却も空冷のままだ。

ただし、チューリングのもうひとつの目標である自動運転については妥協はしていない。コンソールはエンタメ機能こそ実装されていないが、自動運転を支援するナビ機能、制御コンソールは独自開発で、地図のスクロールは非常になめらかだ。自動運転はテスラのAP(オートパイロット)のレベルはクリアしているという。

チューリングの自動運転技術は独特で、既存OEMがあまり採用しない車両の意思決定(運転操作の判断)にLLM(大規模言語モデル)の機械学習を適用している。大手OEMのADAS機能でも進路判定や車両操作にはルールベースのAIまでが多いところ、同社は先進的なアプローチをとっている。LLMを使う利点は、画像認識に視覚要素以外のコンテキストを加えることができることだ。たとえば、自動運転カーは、進入禁止の標識と「天下一」の看板(赤い丸に漢字の一の白い横棒)の区別がつかない。LLMを利用すれば、画像情報以外に「ラーメン」「麺」といった認知情報を加えることができる。これによって、標識と看板を見間違えるエラーを実用レベルまで下げることが可能になる。

チューリングでは、この研究を複雑な信号の判断にも拡張している。複雑な矢印表示、どれが自分の守る信号機かの判定を行うためだ。

この試作車両はテストコースでの走行試験も行っている。保安基準を満たしているので仮ナンバーもつけることができる。仮ナンバーでの公道走行も実施済みだ。ちなみにパワートレインはリーフだが、ボディが軽いため180km/hは難なくだせるスピードだという。それを意識してか、シートはセミバケットタイプのスポーツシートにサベルトの4点フルハーネスが両座席に装着されている。

ジャパンモビリティショーは、従来の東京モーターショーにモビリティの枠を超えて他産業やスタートアップなども加わり、装いを新たに開催するもの。会期は10月25日から(一般公開は28日から)11月5日まで、主催は日本自動車工業会。


ジャパンモビリティショー2023 特別編集
https://response.jp/special/recent/4115

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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