市販モデル7台を一挙初公開!バイクファンの期待に応えたカワサキの「伝統と革新」…ジャパンモビリティショー2023

カワサキブースの目玉として世界初公開されたメグロS1(ジャパンモビリティショー2023)
カワサキブースの目玉として世界初公開されたメグロS1(ジャパンモビリティショー2023)全 48 枚

カワサキモータースは、東京ビッグサイトで開幕した「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開:2023年10月28日~11月5日)において、新旧様々なモデルを展示。国内2輪4メーカー最多の出展数によって、バイクファンの期待に応えた。

◆70周年のカワサキ、伝統と革新のブランドに

カワサキ(ジャパンモビリティショー2023)カワサキ(ジャパンモビリティショー2023)

今回、カワサキが特徴的だったのは、コンセプトモデルが1機種もなかったところだ。5台のワールドプレミア、2台のジャパンプレミアの他、6台の市販モデルと3台の歴史的モデルをブースに持ち込み、そのいずれもが過去から現在にかけて発売、もしくは近い将来の発売が決まっているものばかりだった。

2023年は、カワサキがモーターサイクル事業に進出してから70周年にあたる。同社の伊藤浩社長は、プレスカンファレンスにて、そのブランドロゴを新しくしたことをアピール。これまでの「伝統」と今後の「革新」をブランドコアとし、カワサキに関わるすべての人の喜びと幸せのため、チャレンジを続けていくと語った。

ステージに登壇した伊藤社長の両横に置かれたモデルが、2台のメグロだ。メグロは、大正時代に創業した目黒製作所を基盤に持ち、戦前から戦後にかけて様々なモデルを送り出していた2輪メーカーである。後に川崎重工業と合併し、その名は表舞台から消えていたものの、2020年にカワサキのブランドとして復活。今回のショーでは、ワールドプレミアの1台を担うことになった。

◆230ccエンジン搭載か?『メグロS1』世界初公開

メグロS1(ジャパンモビリティショー2023)メグロS1(ジャパンモビリティショー2023)

ステージ上の2台のメグロの内、1台は1964年から69年まで生産された当時のシングルスポーツ「カワサキ250メグロSG」だ。そして、もう1台が世界初公開となったニューモデル『メグロS1』である。

現時点で、そのスペックは発表されていない。外観からは、ダブルクレードルフレームに230cc前後の空冷単気筒を少し前傾させて搭載している他、マフラーにはキャブトンタイプを採用し、フロントに18インチ、リアに17インチのワイヤースポークホイールを装備。リアショックにプリロード調整機構が備わっていることがわかる。

質感に影響する部分としては、パイピングが入ったシート、クラシカルなロゴ、クロームメッキが施された燃料タンク、丸みを帯びたクランクケースカバーなどだ。カワサキ250メグロSGの雰囲気を現代的にアレンジしつつ、その後継車として違和感のないスタイリングで復刻。気軽に乗れる、軽量コンパクトな軽2輪モデルとして、幅広く支持されそうだ。

カワサキ W230(ジャパンモビリティショー2023)カワサキ W230(ジャパンモビリティショー2023)

排気量が230cc前後と書いたのは、このエンジンを共有するモデルが、同時発表されたからだ。それがカワサキ『W230』であり、こちらもまた今回がワールドプレミアとなった。現行の『メグロK3』とカワサキ『W800』がそうであるように、メグロS1とW230もまた、兄弟関係にある。コンポーネントの主たる部分はそのままに、塗装やバッジ、シートなどの意匠を変更することで差別化。重厚さならメグロS1を、軽やかさならW230を選択することになるだろう。

W230のスペックも未発表ながら、2022年までラインナップされていた『KLX230』の排気量が232ccであったことを踏まえると、それと同等レベルにあると考えるの自然であり、そのエンジンをベースに(しかし、外観はかなり異なる)、環境規制へ対応させたと思われる。

今回、そんなKLX230にもモデルチェンジが施され、こちらもまたワールドプレミアの1台を担った。従来モデルに対し、ヘッドライトまわりのデザインがグッとシャープになった新型は、格段にスポーティさを増しながらもフレームとサスペンションの最適化で、足つき性が向上。オフロードの走破性と、日常の快適性を両立しているというから、日本の林道や街中でも扱いやすそうだ。

◆カワサキの気概を感じるニューモデル群

カワサキ Ninja ZX-10R 40thアニバーサリーエディション(ジャパンモビリティショー2023)カワサキ Ninja ZX-10R 40thアニバーサリーエディション(ジャパンモビリティショー2023)

このように、日本で開催されるショーらしく、軽2輪クラスに3台ものニューモデルを投入し、それをワールドプレミアとして披露したところにカワサキの気概を感じる。他には、ニンジャ40周年の記念カラーを施した『Ninja ZX-10R』と『Ninja ZX-4RR』が発表され、ネオクラシック、オフロード、スーパースポーツを網羅する幅広さをみせた。

伊藤社長のスピーチにあった「伝統」が、こうしたモデルだとすると、「革新」はなにか。その象徴が、日本初公開となった『Ninja 7 Hybrid』と『Ninja e-1』だ。いずれもEV時代を見据えたモデルであり、ニンジャ7ハイブリッドは、451ccの並列2気筒エンジンとモーターを組み合わせたストロングハイブリッドモデルとして、国内導入を予定。フル電動のニンジャe-1は未定ながら、欧州での発売は決定している。

これらの他に、ビモータの『KB4』や『TESI H2 CARBON』、北米で人気のレジャービークル『TERYX KRX4 1000』などが会場に彩りを添え、来場者を楽しませていた。近年、次々と新しいマーケットを開拓しているカワサキの勢いを、ジャパンモビリティショーの会場でも体感できるに違いない。

カワサキ Ninja 7 HybridとNinja e-1(ジャパンモビリティショー2023)カワサキ Ninja 7 HybridとNinja e-1(ジャパンモビリティショー2023)

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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