エアロパーツ選びで大事なのはバランス! 前後の取り付け注意点とは?~カスタムHOW TO~

エアロパーツの例
エアロパーツの例全 3 枚

リップスポイラーやウイングなどのエアロパーツは見た目にも派手だが、どうせなら空力的な効果もあってほしい。いやむしろそれを狙って装着する人もいる。ではどんなパーツなら効くのだろうか。

エアロパーツとはその名の通り、空力的な効果を持つパーツのこと。しかし、実際はバンパーやサイドステップなど見た目のスポーティさを高めるためのパーツとしての役割が大きい。地面との隙間を埋めることでクルマをより低く見せることができる。しかし、もちろんエアロパーツとしての機能的な役割を目指して作られているものもある。

今現在日本国内で販売されているエアロパーツで、本格的な風洞実験を行って形状を決めているものはほとんどないに等しい。多くのメーカーではスタイリングをメインに形状を決めている。レースの実戦に投入し、そこでドライバーからの評価を確認。その上で何パターンかの形状の中から市販する形状を決めていたりすることもある。

実際風洞実験は実車が入れられる施設がほとんどなく、自動車メーカーと一部大学くらいにしかない。モータースポーツの世界でも実車が入れられるものは少ない。国内では三重大学にあるものが知られていてエアロパーツメーカーのVOLTEXでは幾度も形状のテストを行って来ている。そのため完全に結果から導き出された形状のものは数少ないというのが現状なのだ。しかし、その中でも本格的な実験を経て設計されたというのがGRパーツの86用リップスポイラーだ。

こちらは風洞でのテストを行ったとアナウンスされていて、実際にフロントのリップスポイラーによってダウンフォースの増加が確認されているという。同時にリアスポイラーも同様に設計されていて、セットで使用しないと車両バランスが崩れるほどだという。実際、86に取り付け、取り外しテストを富士スピードウェイで行った。

その結果はプロドライバーによると「効果の有無は体感できる。とくにフロントリップスポイラーだけを装着すると相対的にリアのグリップが足りなくなりかなりオーバーステアになる。リアにもスポイラーを付けたところバランスが取れた」という。それほどまでに大きな変化が現れたのだ。「アマチュアドライバーの皆さんは必ず前後同時に装着してもらいたいです。とくにフロントリップスポイラーだけ装着すると相当リアが滑りやすくなり、アマチュアには危険なレベルですね」というアドバイスももらったほどだった。

その結果から、リップスポイラーなどは形状によってダウンフォースが起きているのか、抵抗が増えてそれによって安定感が増していると感じるのかは難しいところだが、ある程度の効果は期待できるのである。そうなるとむやみにフロントだけ付けるとか、リアだけ付けるのはバランス的に危険であるという。フロントに空力効果が高めれば相対的にリアのグリップが不足していると感じやすい。それはすなわちリアが滑りやすいということ。

逆にリアにウイングだけ取り付けたらフロント荷重が足りなくなり、ふとした時にアンダーステアが出てしまうかもしれない。高速道路やワインディングレベルでも危険な挙動が現れかねないのがエアロパーツの効果なのだ。なので選ぶ際は前後のバランス重視して選びたい。サーキット走行での効果を狙うなら、サーキットやレースでの開発を謳っていたり、実際に使用されているメーカーのエアロパーツを選んでもらいたい。

そして、それらを活かすのに重要なのはきちんとした取り付けだ。リップスポイラーをつければバンパーは下方向に引っ張られることになる。その時にバンパーが外れないように、ダウンフォースをしっかりボディに伝えられるようにステーの追加などは欠かせない。間違ってもタイラップ留めではバンパーが簡単に外れてしまう可能性もある。

リアウイングもトランク内側に補強を入れるなど対策が必要になることもある。意外とトランク上面は簡単に凹んでしまい、ダウンフォースがボディに伝わっていないことも多い。タイムアタック車両ではトランク内にステーを追加してダウンフォースを直接フレームに伝える構造になっていることも多い。

ストリートカーの場合そこまでは不要だが、思っているよりもウイングは効果が高いことを認識した上で取り付けはプロショップで行ってもらいたい。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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