ボルグワーナーが新中期目標を強調、電動化戦略はハイブリッド含め急拡大フェーズから収益や質の追求へ…オートモーティブワールド2024

「チャージングフォワード2027」として従来戦略を2030年よりも前倒しして加速させる
「チャージングフォワード2027」として従来戦略を2030年よりも前倒しして加速させる全 12 枚

オートモーティブワールド2024初日の1月24日、ボルグワーナーはラウンドテーブルを開催し、中期的な経営指針と、ブースにおける製品展示と併せて技術ポートフォリオを明らかにした。


ボルグワーナー ブース(オートモーティブワールド2024)

「チャージングフォワード2027」として従来戦略を前倒し

冒頭の挨拶と説明を行った、ボルグワーナー・モールシステムズ・ジャパンの代表取締役社長である三島邦彦氏によれば、従来も「チャージングフォワード」という戦略モットーを電動車製品の拡大フェイズにおいて使ってきたが、今回は「チャージングフォワード2027」として従来戦略を2030年よりも前倒しして加速させるという。

ボルグワーナー・モールシステムズ・ジャパン 代表取締役社長の三島邦彦氏

従来知見をコアとした製品開発と成長、EVに焦点を当てたM&A、そしてICEポートフォリオの最適化が、これまでの戦略の柱だった。これまで22億ドルの開発費を投じ、2023年のグローバル売上は集計中ながら23~26億ドル(約3400~3850億円)に達する見込みだ。そこで2027年に向かっての新しい目標は、電動車製品の売上を約4倍にあたる100億ドルに成長させ、同時にその利益率を7%に高めつつ、ICEポートフォリオのような既存ビジネス製品の利益率で2桁を維持すること、という。ボルグワーナーは近年、デルファイ・テクノロジーズやバッテリーシステムのアカソル、電気モーターのサントロール、ロンバス・エナジー・ソリューションズやECUのドライヴテックなどを買収統合する一方で、ICE事業は昨年夏にフィニアの名で分社化・整理している。

BEV製品一本足打法ではない電動化ポートフォリオの強化

ただし電動化ポートフォリオの強化は、ピュアEV用製品への一本足打法ではなく、そこにはPHEV向けの製品も含まれている。直近のIR説明会では、2027年における売上に占めるべき電動車製品の割合は49%で、うち42%がピュアEVで7%がハイブリッド関連、さらに2030年の電動車製品の割合は64%に伸長させるがピュアEVは59%と、わずかにシュリンクするものの依然としてハイブリッド関連の割合を5%見込んでいる。ピュアEVを核とする基本戦略は変化ないが、ボルグワーナーのようなグローバル規模のティア1サプライヤーが非BEVの電動車製品が占める割合を僅かながらとはいえ勘案している点に、潮目の変化を感じない訳にはいかないだろう。

実際、次世代の製品ポートフォリオについても冒険的に過ぎることはなく、電動車向けシステムとはいえ、従来知見の占める部分がとても大きい。大別して、熱管理システム、エネルギー貯蔵とマネージメントシステム、さらに統合ドライブモジュールを構成する電動推進システムだ。

ボルグワーナーの電動車システムポートフォリオ

《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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