「日本のファンの期待を超えていく」アルファロメオCEOが宣言、電動化時代のアルファの価値とは

アルファロメオのジャン・フィリップ・インパラートCEO
アルファロメオのジャン・フィリップ・インパラートCEO全 8 枚

アルファロメオは2023年、約7万台の販売台数を達成した。たった7万台と思われるかもしれないが、これはグローバルでは前年比+30%の伸びで、欧州市場では+46%、中東とアフリカでは+74%。対して日本市場を含むアジアでの伸びは+7%と、少ないように見えるが、それは立役者となった『トナーレ』が2023年後半に投入されたからでもある。しかも昨年半ばには、北米におけるJDパワーの初期品質調査において、並いるプレミアムブランドを抑えてアルファロメオは首位に輝いたのだ。

今回、アルファロメオのCEOを務めるジャン・フィリップ・インパラート氏が来日して港区のステランティス・ジャパンのオフィスでプレス・ミーティングを開いた。その理由を、「毎年、年初に行う主要な各市場巡り」の一環であると説明する。好調だった2023年の結果を携えて再来日できた喜びをも、隠さない。

「社内KPIではなく第三者機関の評価で、レクサスやポルシェと肩を並べられたことは大きいです。そして今朝は日本でのワランティコスト、つまり販売後の保証でかかったコストを確認しましたが、大きな問題はありませんでした。これは重要です。JDパワーに評価されたのは、工場での適合性とサプライヤ部品の品質、そして顧客の好み通りかどうか。工場では毎月、フルレビューのチェックを行っており、サプライヤの代表も一緒になって問題を潰しています。これは競合他社のやっていることを真似して採り入れたことです。顧客から声が届くパスウェイができると、問題が早く解決します。この午後にも予定されていますが、納車後の顧客に、どこが良くなかったか、気に入らないか、訊くのです。不具合以外にもコンセプトのレベルから聞く。それをしつこく解決します。3年間で問題は1/5に減りましたが、品質がよくなったというのはそういうことで、コンスタントに現場で一貫して取り組むこと。工場とディーラー、顧客とエンジニアリングの繋がりが、必要だと考えています」

かくして3年前に約束した通り、品質を向上させながら1年に1台づつ、ニューモデルをローンチできる体制となり、グローバルに収益性を伸ばしつつ、成長できるブランドへ変貌を遂げたと、インパラート氏は自画自賛する。

◆3億円も完売、ブランド強化するスーパースポーツ

こうした地道な取り組みを進める一方で、「フォーリセリエ」という通常のレギュラー・ラインナップとは別枠の生産車プロジェクトを立ち上げたのも、氏の差配によるものだ。昨年秋に発表した『33ストラダーレ』は、アルファロメオ・ブランドを強く示すためのプロジェクトで、33台が7週間で完売した。BEVかV6の3リットルかというドライブトレーンの選択まで含め、オーナーは仕様決定に関わることができ、約3億円の価格設定となる。

「購入を決断したオーナーの80%がICEを選び、10%がEV、もう10%がまだ悩んでいます。グローバルな33ストラダーレの販売先は様々ですが、EV版を買われる中東の方はEVを買う必要がないながらも、法人なのでステートメントとして先駆者でありたいというメッセージ、意図で選ばれたと思います。それ以外の方は完全に好みで決めていますね。ICE版は今、音作りをしていて周波数のデザインをしています。3月には完成するでしょう」

33ストラダーレが実際のオーナーの手元に届くのはまだ先、2024年12月17日に1台目の納車デリバリーが行われると、インパラート氏は述べる。

「この33ストラダーレのクラブと協力して行ったプロジェクトは、私の誇りです。私のボス(ステランティス・グループ会長のカルロス・タヴァレス氏のこと)はクラブには入っていませんよ(笑)。2024年12月を皮切りに、ひと月あたり2台づつ納車を進めます。次(のフォーリセリエ)はどんなプロジェクトにして、何台をローンチするか。ウェイティングリストは50名ほどいて、リクエストも入ってきています。デュエットとかディスコヴォランテとか、次のアイデアも沢山あります」

「次のチャプターとなるスーパースポーツをどうするかは、アレーゼ・ミュージアムとも話し合って最終的に決めます。やるのであれば、2027年ぐらいのローンチになるでしょうね。とはいえ今回のストラダーレをキチンと時間をかけて仕上げて、次に進みます。スーパーカーの品質、信頼性が皆無であることは周知の通りですが、33ストラダーレは毎日のように使い倒せ、信頼性のベンチマークとなることでしょう。つねに完全なイタリアンとして歴史に敬意を表し、様々な開発に取り組めています」

◆2024年は「ミラノ」の年

またレギュラー・ラインナップについては、2024年は4月にアンヴェールされるモデル、『ミラノ』の年と位置づけている。

「トナーレの生産当初はサプライチェーンの問題もありましたが、それを克服して工場もよくやってくれました。今年、バロッコ工場で生産を開始するミラノは、従来の『ジュリエッタ』や『ミト』のオーナー、またはそうした車を望む方々へのオファーです。初のBEVとなるアルファロメオで、MHEVも展開させますが、ドライビングの楽しさ、ハンドリングの素晴らしさを、どうぞ競合他車種と比べていただいて、私に印象をフィードバックしていただきたい。3年前はICEが100%だったアルファロメオが、EVとハイブリッドへの電動化を通じ、3年で収益性の高いブランドとなったのです」

エントリーモデルのBEV化のみならず、氏はDセグメント以上のBEV展開にも言及した。

「2025年と2026年には、Dセグのローンチが控えています。つまり『ジュリア』と『ステルヴィオ』を次世代に進化させる必要があるのです。100%EVで、18分ほどで充電が完了するよう、700kwの出力に対応します。それ以上は具体的には話せませんが、新型はステラ・ラージプラットフォームで、ステラ・ブレーンも搭載し、カッシーノ工場で生産します。5年前から約束していた、インフォテイメントの新しい可能性、OTAを含むコネクティヴィティをも備えたまったく新しいエレクトロニクス・アーキテクチャが開発中です。ここまではDセグの話ですが、2027年にはさらに上、Eセグメントにも行きたい。アルファロメオは上を目指すべきで、アメリカや中国、日本といった市場ではそうした車種が必要です」


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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