【アバルト 500e 新型試乗】ちょっと昔っぽいハンドリングにワクワクする…諸星陽一

アバルト500e
アバルト500e全 12 枚

アバルトはかつてはフィアット車用のチューニングパーツやコンプリートマシンを製造していた会社。現在はステランティスブランドのひとつとなっている。

【画像全12枚】

アバルト『500e』はフィアット500eをベースとしたバッテリーEV。フィアット500e同様にクローズド2ドアとオープン2ドアの2タイプのボディを持つ。フィアット500eではクローズドをアイコン、オープンをオープンのグレード名としているが、アバルト500eではそれぞれがハッチバック、カブリオレの名で呼ばれる。ボディサイズもフィアット500eとほぼ同じで、全長×全幅×全高は3675×1685×1520(mm)、ホイールベースは2320mm。

搭載されるモーターは155馬力、235Nm。バッテリーはリチウムイオンで42kWhで前輪駆動。サスペンションはフロントがストラット、リヤがトーションビームとなっている。

アバルト500eアバルト500e

◆サウンドと回生の調整が…

試乗車を渡されたときには「サウンドジェネレーター」と呼ばれる疑似排気音を発生する装置がオンの状態であった。システムを起動すると、アイドリングのような音を発生。アクセルを踏み込むとそれに合わせて排気音が上昇するような音を発する。最初はおもしろい印象だが音量が大きく、疲れてしまう印象。音量の調節もできないところが残念だ。10分ほど楽しんだが、そこで飽きてしまった。

基本的にはフィアット500eと同じモデルだが、アバルト500eの場合はタイヤは18インチ40%扁平となる。またフィアットではリヤはドラムブレーキだが、アバルトの場合は前後ともにディスクブレーキとなる。

もともと軽快でキビキビと走るフィアット500eだが、アバルトになるとそれがさらに強調される。加速も減速もフィアットよりも鋭さを増したイメージだ。アバルト500eにはeモードと呼ばれるモードセレクターが用意されている。

3つの走行モードが用意されている3つの走行モードが用意されている

通常の走行は「TURISMO(ツーリズモ)」、少しスポーティな走行は「SCORPION STREET(スコーピオンストリート)」、もっともスポーティな走行が「SCORPION TRACK(スコーピオントラック)」を選ぶことになる。ツーリズモとスコーピオンストリートは、アクセル操作がワンペダルとなる。ツーリズモに比べて、スコーピオンストリートは加速力、回生力ともに強い印象。

eモードをスコーピオントラックにすると加速力には大きな違いがないが、回生は弱くなる。これがちょっと疑問符である。トラック、つまりサーキットを走るのであればアクセルを緩めたときに回生力が強いほうがフットブレーキの負担が少なく、全体としての減速Gを上げられる。つまり、コーナーの奥まで突っ込むことができるはず。ならば、回生が強いモードがスコーピオントラックではないかと思うのである。

ステアリングスポーク左右の裏にスイッチが備えられているので、回生量の調整ができるかと思ったのだが、これはオーディオ関係のスイッチで回生量の調整はできない設定であった。

◆ちょっと昔っぽいハンドリングにワクワクする

タイヤはブリヂストンのポテンザスポーツを履くタイヤはブリヂストンのポテンザスポーツを履く

サスペンションも締め上げられている印象。ステアリングを切った瞬間からクルマがビシッと向きを変える。ちょっと昔っぽいハンドリングなのだが、なんともワクワクする感じを受ける。ボーイズレーサーとかホットハッチとか、そういう呼ばれ方をするクルマってこんなハンドリングだったよなー、とちょっと懐かしんだりする自分がいた。ブレーキはリヤがディスクになったことで絶対的な制動力はアップしているはず。また、ディスクブレーキにはセルフサーボ(ドラムブレーキはその特性によって踏力が一定でも徐々にブレーキシューが押しつけられていく)が効かないので、微妙な調整もしやすい。

今回はワインディングで試乗していないが、ワインディングで乗ったら絶対に楽しいタイプのクルマに仕上げられている。試乗車はカブリオレで、オープンエアモータリングの楽しさも十分だ。

だが、残念な点もある。クルーズコントロールは追従型ではなく、速度を一定に保つだけのもの。フィアット500e登場時には完成していなかったCHAdeMOアダプターも付属しているので、CHAdeMOでの急速充電も可能なのだが、アダプターのサイズがあまりに大きく、ラゲッジスペースを圧迫するのはもちろん、重量も重いので装着時に手間が掛かる。これはもはやアダプターではなく、充電装置の一部を取り付けるという感覚。でも考えてみれば、CHAdeMOに対応している輸入車はこの程度の機構を内蔵している(もちろん取り除かれる部分もあるのだろうが)のだからなかなかびっくりでもある。

アバルト500eラゲッジスペース。リヤシートは5対5分割でフォールディング可能アバルト500eラゲッジスペース。リヤシートは5対5分割でフォールディング可能

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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