プレミアムな快適性とスポーティな走り、ブリヂストン『レグノGR-XIII』が紡ぐ理想のバランス

プレミアムな快適性とスポーティな走り、ブリヂストン『レグノGR-XIII』が紡ぐ理想のバランス
プレミアムな快適性とスポーティな走り、ブリヂストン『レグノGR-XIII』が紡ぐ理想のバランス全 11 枚

ブリヂストンのプレミアムコンフォート系タイヤの頂点に君臨するレグノシリーズの最新モデル、「レグノGR-XIII(ジーアール・クロススリー)」をブリヂストンのテストコースで試乗する機会に恵まれた。

ブリヂストン レグノGR-XIIIブリヂストン レグノGR-XIII

初代レグノが登場した1981年当時は、日本のクルマがどんどんパフォーマンスアップしてきた時代。エンジンのパワーが高まるととももに、ラグジュアリー性能も向上。タイヤにもグリップだけでなく、乗り心地や静粛性など、じつに多様な性能が求められるようになってきており、レグノはそうした総合性能を重視したタイヤとしてデビューしている。

時代の流れとともにさらにクルマの性能は飛躍的に向上。そして圧倒的高トルクを誇りながらも、高い静粛性要求されるEVの台頭もあり、タイヤに求められる性能はますます厳しいものとなっている。そうしたなか40年以上の歴史を誇るレグノは新しい一歩を踏み出した。

ブリヂストン レグノGR-XIIIブリヂストン レグノGR-XIII

今回のレグノより「ENLITEN(エンライトン)」と呼ばれる新しいタイヤ設計基盤技術が導入された。タイヤの性能には相反するものが多い。たとえば、タイヤのゴムを厚くすると静粛性や乗り心地は向上するものの、タイヤが重くなることによって低燃費性能が悪化する。また材料が増えるので資源循環性も低くなり、コストも増えてしまう。「ENLITEN」では、そうした1つの性能を高くするだけではなく、総合的な性能向上を実現するという思想だ。

「ENLITEN」を使ったタイヤ設計はちょっと変わっている。従来のタイヤ設計はドライグリップや乗り心地といった目標性能を向上すること注力していたが、「ENLITEN」ではまずすべての性能をある程度引き上げるという手法。そこからターゲットとなる特徴的な性能を目一杯引き上げていく、すると当然背反性能はダウンするが、最初に引き上げていた分があるためダウンしてもある程度の性能は確保でき結果として総合性能をアップしつつ、目標性能をより突き進めた尖った性格のタイヤを作れるという考えだ。

詳しい技術的背景はさておき、試乗フィーリングに話を移そう。今回の試乗はブリヂストンが栃木県内に所有するテストコースで行われた。試乗車はレクサス『ES300h』とメルセデスベンツ『EQE』の2種。それぞれに先代モデルであるGR-XIIと新型のGR-XIIIを履いた試乗車が2車用意され、比較試乗を行う。装着サイズはレクサスS300hが235/45R18、メルセデスベンツEQEが255/45R19。

前モデルGR-XIIを装着したレクサス ES300h前モデルGR-XIIを装着したレクサス ES300h

はじめにレクサスES300hで“空間品質コース”と名付けられたステージを試乗した。“空間品質”とは騒音や振動、ハーシュネスなどに該当する部分をチェックするステージだ。このコースには、異なるタイプの荒れた路面や平滑な路面、ひび割れ路面などと、段差乗り越えが設定されていた。まず先代のGR-XIIで状態をチェックした。GR-XIIであっても快適な乗り心地は十分に確保されていて、さすがレグノは上質な乗り心地だなと関心させられるフィールである。

新モデルGR-XIIlを装着したレクサス ES300h新モデルGR-XIIlを装着したレクサス ES300h

そして新型となるGR-XIIIに乗り換えた。路面違いに関してのフィール差は新旧でそれほど大きく感じなかったが、段差乗り越えでの差は大きかった。段差乗り越えは大きな段差だけでなく、凸部高が比較的低いものの連続する段差が用意れていて、そこでの乗り越え時の収まりがよかった。先代モデルのGR-XIIでは連続した振動が入力したあと、若干振動が残るような状態であったのが、新型のGR-XIIIでは振動が見事に消しきっていた。

タイヤの乗り心地を左右する大きな要素は、サスペンションと同じようにバネの成分とダンパーの成分に分けて考えられる。バネの成分が強いとしっかりした乗り心地になる。逆にバネが弱いとソフトな乗り心地になるが、弱すぎるとぐにゃぐにゃとした乗り心地となってしまう。一方、ダンパー成分は入力した力を減衰させる働きで、これが十分確保されていると揺れが早く収まる。GR-XIIIはダンパー成分が十分に効いているのだろう、吸収した力を即座に減衰させいなしている印象がある。

新モデルGR-XIIlを装着したメルセデス・ベンツ EQE新モデルGR-XIIlを装着したメルセデス・ベンツ EQE

次に試乗したのはメルセデスベンツEQE。“走行性能コース”と呼ばれるステージで、その名のとおり試乗内容の走りに関する部分。まずは低速で転がりはじめの抵抗感が先代のGR-XIIよりも少ない感じを受ける。スルスルっと加速していく。微少舵角での反応もちょうどいい具合だ。この部分、遅れを感じるような立ち上がりだと不安感があり、機敏すぎるとチョロチョロと落ちつきのないフィーリングとなるが、さすが上手に味付けられている。周回路を使っての高速走行は最近増えてきた120km/hの最高速を想定した走行となっていた。この状況ではバツグンの直進安定性を誇るとともに、高速レーンチェンジでの安定性を確認した。もちろんGR-XIIでも十分に安定したレーンチェンジするが、GRX-IIIのほうがステアリング操作開始からクルマの動き出しまでがリニアで、よりリヤの安定感を感じる。

前モデルGR-XIIを装着したメルセデス・ベンツ EQE前モデルGR-XIIを装着したメルセデス・ベンツ EQE

これは左右に連続してハンドルを切るスラローム走行でも感じられたこと。スラローム走行では切り返した時に反対方向に横グリップを発生させル必要があるので、タイヤにとっては厳しい条件となる。GRX-IIではステアリングを切り返した際に若干の遅れがあってから向きを変えるのだが、GRX-IIIではかなりリニアにクルマのノーズがインを向く。また、リヤの安定感も高く、安心してスラロームを続けられる。

新モデルGR-XIIlを装着したメルセデス・ベンツ EQE新モデルGR-XIIlを装着したメルセデス・ベンツ EQE

全体を通して感じたのは今回のレグノは乗り心地がいいだけでなく、スポーティな走りにも十分に対応するタイヤになったという印象。現代のプレミアムクラスは、走りのポテンシャルもかなり高くなっているので、まさに時代に即した進化だと言える。快適性も走りのポテンシャルも十分に高く100点満点を付けたいところだが、若干気になる部分もあった。それはタイヤがまきあげる小石などの量だ。Sタイヤなどのハイグリップタイヤを履くと、タイヤのグリップが高いため路面に点在する小さな石などを拾ってそれがタイヤハウスに当たるので「パラパラパラ」という音が気になる。GRX-IIではそうした音があまり感じられなかったが、GRX-IIIではそうした音が少し気になった。言ってみればグリップが高い証拠なのだが、プレミアムクラスに乗るオーナーだと気になる部分と言えるかもしれない。まあ、それくらい細かい部分に気付いてしまうくらい出来のいいタイヤだということの裏返しとも言える。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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