三菱が誇るPHEV技術と4WD技術が結集した『エクリプス クロスPHEV』
駐車場に停まっているだけで、今にも走り出しそうな躍動感にあふれたスタイリッシュなデザイン。それでいて、タフなSUVらしさと安心感がしっかり伝わってくるのが、三菱では2モデル目となったプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの『エクリプス クロスPHEV』だ。
兄貴分はもちろん、世界的にPHEV市場をリードしている『アウトランダーPHEV』。そこで培った技術を惜しみなく注ぎ、ツインモーター4WD方式のPHEVシステムを搭載したエクリプス クロスPHEVは、ボディサイズが少しコンパクトで運転しやすさを手に入れながら、オンロードだけでなく雪道やオフロードでの安定した走りまでも叶えるSUVとなっている。

そのシステムは、アウトランダーPHEVで実績のある小型・軽量・高出力のモーターをフロントとリヤに1基ずつと、13.8kWhの駆動用バッテリー、2.4リットル直列4気筒のMIVECエンジンで構成される。基本的には、駆動用バッテリーの電力を使ってモーターだけで走る「EV走行モード」を優先的に使うよう設計されており、必要に応じてエンジンで発電をしながらモーターで走る「シリーズ走行モード」に自動で切り替わる。
高速道路を走るような場合には、エンジンをメインにモーターがアシストしながら走る「パラレル走行モード」も自動で選択してくれるので、走行状況によって最も効率よく快適に走れるモードが自動的に適用されるのがすごいところだ。
さらに、ラリー参戦経験などで三菱は早くから、安定感がありながら速く気持ちよく走れる4WDを研究し続けてきた経緯がある。それが結実している三菱独自の統合制御技術「S-AWC」をエクリプス クロスPHEVにも採用。そのおかげで市街地から高速道路、ワインディングまで爽快なドライブを楽しむことができる。そんなエクリプス クロスPHEVで、今回は早い春を探しにプチロングドライブに出かけることにした。
走り出せばわかる安心感と、ずっと走りたくなる爽快感

自宅周辺は狭い道が多く、初めてのクルマは取り回しに緊張することが多いのだが、エクリプス クロスPHEVはアイポイントが高めで、ボンネットフードがしっかり見えるよう配慮され、車両感覚がつかみやすい視界でまったく緊張することがなかった。ドアミラーの取り付け位置を工夫することで、左右の視認性を高めていたり、リアガラスも面積を大きくとっており、後方視界がスッキリと広がっているのも安心できるポイントだ。
一般道ではなめらかで静かなEV走行をしてくれるため、信号などでストップ&ゴーが連続しても、スムーズな加減速でとても気持ちよく走ることができる。メーターには今どんなモードで走っているのかがわかる、エネルギーフローが表示されているが、上り坂で強くアクセルを踏み込んだ時など、電力では効率が悪いと判断した場合には、エンジンがかかってサポートしているよう。でも、室内にはかすかにエンジン音が響いてくるくらいで、シームレスな切り替えが見事だ。メーターを見ていなければ気が付かないことの方が多いかもしれない。

ふっくらとしたクッション性がありながら、ほどよく身体にフィットしてサポートしてくれるシートや、スイッチなどをスッキリと配置して使いやすいインパネで、室内はとても快適。スマートフォンと連携していつものお気に入りの音楽を聴きながら、鼻歌まじりに高速道路のゲートを目指す。ETCゲートをくぐり、短い合流区間でグイグイと余裕たっぷりの加速フィールはさすがモーター走行だ。
そのままあざやかに本線へと移り、安定感抜群のままクルージングに入る。エクリプス クロスPHEVでは、ガソリンモデルの電子制御4WDよりもさらに緻密な制御が可能なツインモーター4WDをベースに、どんな路面でも走行状況に合わせて最適な状態を保ってくれるから、ずっと走っていたい気持ちになる。乗り心地もよく、もし天気が急変して雨や雪になろうとも大丈夫だという安心感があるのもまた、そう思わせる理由だろう。
「しなくてもいいけど、してもいい」PHEVのフレンドリーさ

どこまでも青い空の中を駆け抜けて海を渡り、ちょっとブレイクタイム。エクリプス クロスPHEVは、バッテリーが満タン状態から最大57km(WLTCモード)のEV走行ができ、もしバッテリーがなくなってもエンジンで発電して走ることができるから、充電しなければいけないという義務感はない。でも、ちょうど駐車場には急速充電器があり、空いているので休憩の間だけ充電することにした。
この、「しなくてもいいけど、してもいい」という気持ちの余裕がPHEVのフレンドリーなところ。しかも三菱のPHEVなら、普通充電だけでなく急速充電器にも対応しており、何もなければエンジンで発電することもできる3way。「三菱自動車 電動車両サポート」に加入していれば、充電カードで全国約6600基の急速充電器もキャッシュレスで使えて便利だ。
さらに、エクリプス クロスPHEVには外部給電ができる100V/1500Wのコンセントがあるところも大きな魅力。電子レンジや電気ポット、ホットプレートといった家庭用の電化製品がそのまま使えるから、景色のいいところで淹れたてのコーヒーが飲めたり、本格的なアウトドアレジャーが手軽に楽しめるようになる。

我が家は娘がスイミング教室に通っているので、エクリプス クロスPHEVでお迎えに行けば、混雑する更衣室で順番待ちをしなくてもマイカーでドライヤーが使えるのだと想像すると、これまでできなかったことが色々とできるようになるのがPHEVなのだろう。
加えて「V2H(Vehicle to Home)」のシステムを使えば、バッテリーの電力を住宅へ供給することも可能。満充電の状態で、エアコンや冷蔵庫、照明といった一般家庭の最大約10日分の電力がまかなえる(エンジンでの発電を組み合わせた場合)。災害がいつ起こるかわからない日本で、この安心感は心強いはずだ。
もし自宅に普通充電器の設置が叶うならば、近所の走行ならずっと電気だけでOKになる。充電設備の設置コストは約3万円~10万円とひと昔前に比べて安価になっており、思ったよりトライしやすいと感じる。我が家は賃貸住宅なので設置は難しいが、今はショッピングモールやコンビニをはじめ、高速道路のSA・PA、道の駅など、日常的に利用するスポットにも充電器の設置が増えている。出かけた先でちょこちょこと充電したり、発電もできるので電気の恩恵は十分に受けられるはずだ。
新しい毎日に踏み出せる「今の時代、最強の1台」

海辺ですっかりリフレッシュした帰り道の高速道路は、ACC(レーダークルーズコントロールシステム)とLKA(車線維持支援機能)で、足をペダルから離していても追従走行してくれる「マイパイロット」をオンにした。緊張感をすこしほどき、ラクに安全に走行することができるだけで、帰宅後の疲労感がぜんぜん違う。このほかにも後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)やオートマチックハイビームなど、先進の安全運転支援技術が満載なのが、エクリプス クロスPHEVだ。
そして、市街地から高速道路、郊外の道とさまざまなシーンを走ってみて、その時その時でどう走ればいちばん効率がいいのか、気持ちよく安心して走れるのか、自分で工夫することができるのもエクリプス クロスPHEVの面白さだと感じた。
たとえば減速時のエネルギーを電力に換えることができる回生ブレーキ機能は、ステアリングに付いているパドルシフトの操作で6段階に変えることができる。強くすればするほど充電量がアップし、エンジンブレーキと同じくらいの減速効果が得られ、慣れてくればほとんどブレーキペダルに踏み換えることなく、アクセルペダルの調整だけで走行することも可能だ。

また、バッテリー残量をキープしながら走れる「バッテリーセーブモード」や、エンジンが作動して発電する「バッテリーチャージモード」を、ドライバーが任意で切り替えられるスイッチもある。もし深夜の住宅街を走るなど周囲に配慮して走りたい時には、「EVプライオリティモード」を押しておけばエンジンを作動させずにモーターだけで静かに走行することもできる。
環境のためになるべくCO2を出さずに走りたいと思う反面、市街地用と長距離用の2台を持つことが難しい場合や、移動中に充電のために時間を割く余裕が持てない場合。そんな時にこそ、エクリプス クロスPHEVは「最強の1台」となる。今なら国からの補助金55万円に加え、自治体によってさらに補助金が受けられる(※2023年度の場合)。ほとんどガソリンモデルに近い価格で、PHEVにしかないプラスアルファの魅力を手にすることができる。
できなかったことができるようになる、新しい毎日にエクリプス クロスPHEVで踏み出してみてはどうだろう。

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌、ウェブサイト、ラジオ、トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。