営業益5兆円超でも消えない、トヨタ佐藤社長の危機感

トヨタ自動車の佐藤恒治社長
トヨタ自動車の佐藤恒治社長全 5 枚

トヨタ自動車が5月8日に発表した2024年3月期連結決算は、営業利益が前期比96.4%増の5兆3529億円と過去最高を更新し、日本企業としては初めて5兆円を超えた。しかし、会見に臨んだ佐藤恒治社長からはほとんど笑顔が見られられなかった。


◆グローバル販売台数も1000万台超

売上高にあたる営業収益は前期比21.4%増の45兆0953億円、当期純利益は同101.7%増の4兆9449億円で、21年3月期にソフトバンクグループが叩き出した4兆9879億円に次ぐ数字だ。

円安が寄与したことはもちろんだが、グローバル販売台数についても、トヨタ車・レクサス車を合わせて1030万9000台と初めて1000万台を超えた。各国で電気自動車(BEV)への補助金が削減される中、ガソリン車よりも環境性能や燃費に優れ、BEVよりも価格が安いハイブリッド車(HEV)が人気を集めたためだ。

「今回の実績は、長年のたゆまぬ商品を軸とした経営と、積み上げてきた事業基盤が実を結んだ結果であると思う」と佐藤社長は話し、この経営基盤をもとに、さらなる成長戦略を描き、持続的な成長につなげていくとの考えを示した。

◆重点取り組みテーマはマルチパスウェイとSDV

そのうえで、2025年3月期の重点取り組みテーマとして、「マルチパスウェイ・ソリューション」の具体化と「トヨタらしいソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」に基盤づくりの2つを挙げた。SDVでは、生成AIなどの活用により、自動運転も含めてモビリティの進化を実現していきたいそうで、インフラや生活に寄り添ったアプリケーションやサービスなど、自動車産業を超えた「戦略的パートナーシップ」の構築に取り組んでいくという。

◆足場固めに取り組む

とは言うものの、トヨタグループを見渡すと、不祥事が続出しており、トヨタの企業統治力が問われている。そこで、佐藤社長は「トヨタの余力不足の課題に正面から向き合って、足場固めに取り組むことが、将来の成長に向けた最重要事項である。今期は意思を持って、足場固めに必要なお金と時間を使っていく」と話す。


《山田清志》

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