「日本には1台入るかどうか」3億円超のハイパーカーが日本に上陸した理由とは

ピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエ
ピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエ全 19 枚

イタリアの名門カロッェリア、ピニンファリーナの子会社であるアウトモビリ・ピニンファリーナが手掛ける『バッティスタ』と『B95』が日本でローンチされた。

アウトモビリ・ピニンファリーナは2018年にピニンファリーナSpAの子会社として誕生し、ラグジャリーなBEVの開発と生産を行うメーカーである。

◆ピニンファリーナのハイパーカーが日本上陸

ピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエ

バッティスタは2019年のジュネーブショーでデビューした本格的ハイパーカーで、クロアチアのリーマックからバッテリーを含む基本コンポーネンツの供給を受けて生産されるモデル。そして今回日本デビューを果たしたのは、その名も「チンクァンタチンクエ」(55という意味)と呼ばれるモデル。

その由来は1955年に誕生したピニンファリーナの名作、ランチア『フロリダ』に因むもの。これまでもバッティスタには「エディツィオーネ・ニーノファリーナ」や「アニヴェルサリオ」など、それぞれに由緒ある名前が付けられていたが、このチンクァンタチンクエのワールドプレミアの場として選ばれたのは東京のイタリア大使館であった。

ピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエ

着想の元となったランチア・フロリダは僅か3台しか作られなかったモデルで、デザイナーで創業者でもあるバッティスタ・(ピニン)ファリーナ本人のプライベートカーでもあったという。そして「ブルーサヴォイアグロス」と「ビアンコセストリェーレグロス」というブルーメタリックとホワイトに塗り分けられたカラーリングや、インテリアの マハゴニと呼ばれるポルトローナフラウ製の本革シートなどは、いずれもランチア・フロリダにヒントを得たものだという。

もう1台のB95は世界初のオープンハイパーカーとして限定10台が生産されるモデル。基本メカニズムはバッティスタと共有だが、 コックピット前に装備される小さなスクリーンはヴィンテージ航空機から着想を得た調整可能なエアロスクリーンで、これについては世界初の特許を取得しているものだそうだ。

ピニンファリーナ B95ピニンファリーナ B95

◆価格は3億円超? 日本で取り扱う理由とは

このピニンファリーナを取り扱うのは現在すでに17ブランドの販売を日本で手掛けるスカイグループのムーブ株式会社。そのゼネラルマネージャーである柳原拓郎氏に話を聞くと、開発はミュンヘンで行われ、デザインとマーケティングはイタリアで行われているそうで、日本側がコンタクトを取るのはこの二つの拠点だという。因みにピニンファリーナ自体は現在インドのマヒンドラ傘下にある。

スカイグループがピニンファリーナを扱うきっかけは、たまたまピニファリーナ自身がアジアパシフィック地域の拠点を選定する中で、ピニンファリーナ側からスカイグループにアプローチがあって話が進んだものだそうだ。スカイグループとしてもこの種のハイパーカー市場に関して、これまではドバイやシンガポールといった場所が中心だったが、これからは日本がハブになっていくのではないかと感じている最中のことで、ある意味両社の思惑が一致したともいえる。

イタリア大使館で行われた発表会イタリア大使館で行われた発表会

しかしそうは言ってもB95の生産は合計で僅か10台。バッティスタにしても150台と少量のため、日本導入についてはまだまだ難しい側面がある。柳原氏もB95については「1台来てくれれば良いかな?」というレベルだと話してくれた。バッティスタも何十台という規模ではないとのことだが、導入計画等についてはこれからピニンファリーナ側との交渉になるそうだ。

価格についても未定で、バッティスタは200万USドル(約3億1157万円)から顧客の要望を取り入れて生産をするとのことで、こちらも決まってはいないそうだ。また、販売網の構築等もこれからの話。ただし販売は5月10日からすでに開始するとのことであった。台数が少ない故、手を挙げたユーザー順ということだろう。

ポルシェ、アストンマーチン、ベントレー、ランボルギーニ、マセラティ等々、いわゆる富裕層向けのモデルを多く取り扱うスカイグループだけに富裕層の顧客は多いはず。その動向に注目が集まる。

ピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエ(左)と B95(右)ピニンファリーナ バッティスタ チンクァンタチンクエ(左)と B95(右)

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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