輸入車ディーラーが提供するサブスク洗車サービス「くるペット」とは?

ディーラーのスタッフが手洗いで洗車を行う
ディーラーのスタッフが手洗いで洗車を行う全 6 枚

アウディ・シトロエン・ルノーをはじめとした輸入車正規ディーラー運営会社「株式会社ビジョナグループ(本社:東京都立川市高松町2-39-20、代表取締役社長:鷲尾潤二)」は、月額980円でプロの手洗い洗車などを利用できるサブスクリプションサービス「くるペット」の提供を2024年4月より開始した。

「くるペット」は、洗車サービス、カーシェアサービス、グッズ割引サービスの3つのサービスから構成されている。

洗車サービスでは、平日の手洗い洗車が月1回無料(日曜・祝日は追加料金あり)となり、2回目以降も会員特別料金にて洗車サービスが受けられるほか、オゾン消臭やフロント油膜取りブレーキダスト除去などのオプションも会員価格で利用が可能である。

カーシェアサービスは、「わ」ナンバーではないほぼ新品の状態の試乗車や展示車が特別価格で利用可能なサービスである。店頭での試乗とは異なり長時間の利用ができる点と、ディーラー管理の車なので常にベストコンディションで利用ができる点が特徴で、正規ディーラーでなければ実現が難しいサービスと言えるだろう。

最後にグッズ割引サービスは、メーカーオフィシャルグッズが特別価格で購入可能となるサービスである。


輸入車ディーラーを複数店舗手掛ける同社が、なぜ手洗い洗車などのサブスクサービス「くるペット」を始めたのか、その経緯について鷲尾潤二代表取締役社長に伺うと

「そもそも、輸入車とか国産車といった括りでくるペットを始めたわけではありません。もちろん、顧客との接点を増やすことで販売に繋げていくシナジー効果を期待する面が無い訳ではありませんが、それが主たる目的ではありません。国産・輸入車問わずディーラーのビジネスにおいて、新車・中古車販売は外的要因による浮き沈みが大きいため、大なり小なりアフターサービスの収益で販売管理費を賄っています。それは当社においても同様です。しかしながら、車の電動化が進むことでアフターサービスの収益の減少が予測される状況において、それを補う手立てを早いうちから考えておくことが重要だと考えて、どんな車においても行われる洗車サービスに注目をしました」

と、車の販売ではないアフターサービスの分野での新たな収益源を目的としたものだと説明された。

そのため同サービスは、同社で車を購入したユーザーでなくても利用が可能である。宣伝・広告を積極的に行ってはおらず、受入のリソースに合わせて育てていく方針のため、現時点では自社の顧客が多いそうだが、それ以外のユーザーもすでにいるという。

一方で、月額980円という同サービスの価格設定について伺うと、

「世の中のサブスクリプションの価格で個人が負担に感じない価格設定はいくらなのか? という視点で、NETFLIXやタイムズカーシェアなど他業種の成功例を調べ、試験的に設定しています」

と、“小さく始めて大きく育てる”ために、今はまだ課題を顕在化させサービスのクオリティを上げていくプロトタイプの段階だと話す。自社顧客へのサービスと言う意味合いでの安い価格設定であればよく聞く話であるが、同社の考えは事業をスケールさせるための価格設定だというから面白い。


高級な輸入車を扱う同社だからこそ、車の電動化や自動運転化を身近に感じることができ、その影響で整備や鈑金塗装の収益が減るという危機感から、新たなビジネスを創造することの重要性を感じているのだろう。

自動車が進化し、それに伴い様々なルールが変化している状況において、自動車アフターマーケットに携わる事業者は否応なしに変化を求められる。そして上流工程にいる自動車ディーラーは、すでにその為の準備を進めているようだ。

《カーケアプラス編集部@市川直哉》

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