レゾナックは7月3日、電気自動車(EV)に搭載する電動ブレーキシステム向けのノンアスベスト系摩擦材(NAO材)を使用した高性能ディスクブレーキパッドを開発したと発表した。
このブレーキパッドは、ガソリン車と比較して車体重量が重いEVにおいて、高い制動力と耐摩耗性を発揮する。2026年の量産化を目指し、現在欧州のTier1ブレーキシステムメーカーにサンプルを提供し、適合性評価を進めている。
この新しいブレーキパッドは、アスベストや鉄を含まず、ブレーキ時の摩耗が少ないため環境負荷が低く、静粛性にも優れている。素材の特性を生かした配合により、欧州で主流のロースチール系ブレーキパッドと同等レベルの高いブレーキ性能を実現した。
自動車業界では、カーボンニュートラルなどの環境問題への対応としてEV化が急速に進んでいる。2035年には世界の新車販売のうちEVが占める割合が50%に達すると予想されており、EV向けのブレーキパッドは、車体重量の増加によりブレーキへの負荷が高くなることに加え、回生協調ブレーキとの適合性も重要な要素だ。さらに、2028年以降に欧州で適用される新環境規制「EURO-7」では、ブレーキの摩耗による粉塵も規制対象となるため、制動力に優れ、かつ摩耗の少ないブレーキパッドが求められている。