ミシュランの次世代タイヤがもたらす驚きの走行体験と環境への貢献

ミシュラン サスティナブル試乗会
ミシュラン サスティナブル試乗会全 14 枚

パッと見ると、どれも「黒くて丸いモノ」だが、その中身は最先端テクノロジーの塊と言っていい。そんな中、ミシュランがサスティナブル試乗会を開催。「タイヤを変えると『走り』だけでなく『環境』も変わる」と言うが、それは一体どういう事なのか? 実際に体感してきた。


◆ミシュランが挑む矛盾な世界、環境性能を考えたタイヤの未来とは

ミシュラン サスティナブル試乗会ミシュラン サスティナブル試乗会

現在、自動車業界は大変革期と言われ、カーボンニュートラル/サーキュラーエコノミー(循環型経済)が求められているが、その中でもタイヤは難易度が高い。なぜなら、原材料(天然素材やリサイクル素材への置換)、性能(グリップ性能、転がり性能、耐摩耗性を高次元でバランス)、CO2排出削減(生産や輸送)など、クリアする課題は多い。

ミシュランはこれらの課題を最先端の技術で解決しつつあるが、その中でも面白いのは「タイヤを売る事」が生業なのに、「たくさん売るのではなく、なるべく少ないタイヤで済むビジネス」を考えている事だろう。

現在、ミシュランのタイヤラインアップは「スポーツ」、「コンフォート」、「スタンダード」の3つに分類されるが、他社のそれと大きく異なるのはミシュランとして必要な総合性能を盛り込んだ上で「より注力したい性能を高める」と言う考え方でタイヤづくりを行なっている。要するに「トータルパフォーマンス」は全てのミシュランタイヤにデフォルトと言うわけだ。ちなみに将来的には一つのタイヤで全てを賄う事をミシュランは本気で考えているようである。

◆ミシュラン eプライマシー

MercedesBenz A180×eプライマシーMercedesBenz A180×eプライマシー

eプライマシーは電動車向けだが、ミシュランタイヤの“懐の深さ”を体感するためにメルセデスベンツ『A180』との組み合わせで試乗。ハンドリングは低燃費タイヤと言うよりも穏やかな特性のスポーツタイヤのようで、応答性の高さ、狙い通りのクルマの動きなど、とにかく骨太。グリップは張り付くような感じはないものの路面をネットリ捉えており、低燃費タイヤとは思えないほど安心感が高い。

MercedesBenz A180×eプライマシーMercedesBenz A180×eプライマシー

それでいながら、アクセルOFFでは面白いほど転がるからまさに驚きである。乗り心地は路面からの入力の優しさやスッとショックを収める吸収性の高さなどはコンフォートタイヤの名にふさわしい性能を備える。静粛性はウエット路面だったが、むしろロードノイズよりエンジンノイズのほうが気になってしまうくらい高いレベルだった。

◆ミシュラン プライマシーSUV+

NISSAN エクストレイル×プライマシーSUV+NISSAN エクストレイル×プライマシーSUV+

SUVのセンターに位置する日産『エクストレイル』との組み合わせで試乗。ハンドリングはコンフォートタイヤとは思えないシッカリ感とグリップの高さで、ウエットでも不安な印象はゼロ。むしろ四輪駆動力制御(e4orce)はノーマルタイヤよりも実感しやすいと感じた。快適性/静粛性はプレミアムの領域に足を踏み入れたレベルに引き上げられ、逆に静か過ぎてEV走行→エンジン始動が解りやすくなってしまったくらい(汗)。

NISSAN エクストレイル×プライマシーSUV+NISSAN エクストレイル×プライマシーSUV+

70km/h→0km/hのフルブレーキングもテストしたが、初期制動から安定した減速Gで低燃費タイヤを感じさせない安心感だ。今回は残り溝を2mmまで減らした状態でもテストを実施。距離は約20~25%伸びたが、他社のタイヤだと30%以上の差……。性能の落ち幅の少なさも実感できた。

◆ミシュラン パイロットスポーツ4 SUV

LEXUS RX500h×パイロットSPORTS4SUVLEXUS RX500h×パイロットSPORTS4SUV

レクサス『RX』のトップモデル「RX500h Fスポーツパフォーマンス」にOE装着されるタイヤを、RX350h(ノーマルグレード)に装着して試乗。RX350hはどちらかと言うとはゆったり系のフットワークが特徴だが、パイロットスポーツ4SUV装着で、車線変更時のレスポンス良い動きやロールのおさまりの良さ、粘りあるグリップの高さなど、スポーツグレードに乗り換えたかのような一体感と骨太さを実感。

LEXUS RX500h×パイロットSPORTS4SUVLEXUS RX500h×パイロットSPORTS4SUV

その一方で、不正路面対しても懐の深い直進安定性の高さや、速度が上げるにつれてフラットさが増していくスッキリとしたバネ上の挙動などは、コンフォートタイヤと疑ってしまうくらい優しさを備えている事にもビックリ。安心して、楽に、気持ちいい走りを実現させる“可変ダンパー”のような特性を持ったタイヤと言えるだろう。

◆ミシュラン パイロットスポーツ5

Tesla モデル3×パイロットスポーツ5Tesla モデル3×パイロットスポーツ5

テスラ『モデル3』との組み合わせで試乗。ウエット路面ながらも明確に伝わるインフォメーションと路面を離さないグリップ力の高さは「さすがスポーツタイヤ」と思う一方で、ノーマルでは機敏すぎる特性に対して、より自然、より素直なフィーリングと操作に対するクルマの動きの連続性が増すなど、いい意味で扱いやすくなっているのだ。

Tesla モデル3×パイロットスポーツ5Tesla モデル3×パイロットスポーツ5

静粛性もコンフォートタイヤよりは劣るものの、スポーツタイヤのようなゴーッと言う音は少なめだ。更にコーナリング時は粘りのグリップにも関わらず、直線でアクセルをOFFするとスーッと綺麗に転がるころがり抵抗の小ささ(ラベリング性能:A)はまるでエコタイヤと錯覚するレベル。状況に応じてスポーツにもエコにもなれる……、まさに万能なスポーツタイヤと言ってもいい。

《山本シンヤ》

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