【ロイヤルエンフィールド ゲリラ450 試乗】免許区分は微妙? けど大型二輪を取得してでも乗る価値がある…小川勤

ロイヤルエンフィールド ゲリラ450
ロイヤルエンフィールド ゲリラ450全 25 枚

ロイヤルエンフイールド初の水冷エンジンを搭載した『ヒマラヤ』が登場したのは2023年の秋。日本では今夏から発売となるが、このタイミングで水冷エンジン搭載モデルの2機種目となる『ゲリラ450』が突如発表された。

僕(小川勤)は、ゲリラ450のワールドローンチが開催されるスペインのバルセロナへと飛んだ。

◆免許区分的には微妙? でも、個性的パッケージは魅力

スチール製タンクの容量は11L。写真はメインカラーのイエローリボン。大胆なカラーリングがロイヤルエンフィールドらしいスチール製タンクの容量は11L。写真はメインカラーのイエローリボン。大胆なカラーリングがロイヤルエンフィールドらしい

スクランブラーにもネイキッドにも映るゲリラ450は、ロイヤルエンフィールドが提唱する新たなロードスターの形だ。シェルパエンジンと呼ばれる452ccのDOHC水冷単気筒は日本の免許制度では絶妙な存在だが、出色特性は素晴らしく、オールマイティ。400cc+50ccのアドバンテージは、どんなシーンでも確実にライダーに恩恵をもたらしてくれる。そして、このクラスにしては少し大柄な車体は、存在感だけでなく安心感と安定感に直結。さらに良かったのは乗り味に安っぽさがないところだった。

ゲリラ450のファーストインパクトは、そのカラーだ。1970~80年代にインスピレーションを得たというカラーリングはオリジナリティ抜群。「凄い色のバイクだな~」と最初は驚いたが、試乗終盤にはすっかりその佇まいと走りのポテンシャルに惚れ込んでしまったほど。

ロイヤルエンフィールド ゲリラ450ロイヤルエンフィールド ゲリラ450

それはスペイン郊外のワインディングで理想的なコーナリングを披露してくれたことに敬意を抱いたことと、美しい欧州の街並みでしっかりと存在感をアピールするその姿がとても凛々しかったからである。

ゲリラ450のプラットフォームとなった同社のアドベンチャーモデルであるヒマラヤは、その名前の通りヒマラヤ山脈を走破するためのバイクとして誕生。海抜5000m以上でテストされ、そのタフさは折り紙つき。ゲリラ450にはヒマラヤの血が流れ、持ち前のタフさにカジュアルさとファッション性、さらに新規カスタマーを獲得するための万能性を追加している。

◆専用のディメンションと足まわりを与え、スポーツ性を大幅アップ

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)が跨った状態。ポジションは自然、足つき性も良好だ身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)が跨った状態。ポジションは自然、足つき性も良好だ

ゲリラ450はロード寄りの足まわりに合わせてヒマラヤよりもフレームのキャスターを立たせ、リヤのサブフレームとスイングアームも変更。エンジンの中身はヒマラヤと同様だが、燃調や点火時期を見直し、リヤのスプロケットの歯数(47T→45T)を変更し、独自のエンジンフィーリングとしている。

跨ってみるとポジションはこのクラスにしては少し大柄だが、身長165cmの僕でもフィット感は抜群。ハンドルもステップも理想的で、ポジションは誰もが馴染みやすさを感じるもの。シート高は780mmで足つき性も良好だ。

真夏のバルセロナの日中は灼熱。試乗が始まる8時30分にはすでに渋滞が始まっていたが、そんな中でもゲリラ450は快適。まずは「エコ」モードで走り出す。豊かな低速トルクがあり、スロットルを開けた時の心地よさは、これまでのロイヤルエンフィールドに通じるもの。

ロイヤルエンフィールドが初めて市販化した水冷エンジンは、シェルパエンジンと呼ばれる452ccのDOHC水冷単気筒ロイヤルエンフィールドが初めて市販化した水冷エンジンは、シェルパエンジンと呼ばれる452ccのDOHC水冷単気筒

水冷エンジンになってもスロットルを開ける楽しさに溢れるバイクであることに変わりはない。早めのシフトアップで低中速を繋ぐ走りも、少し回転を上げて元気に走るのもどちらも楽しい。

市街地を抜け、ワインディングに入ったところで、エンジンのモードを「パフォーマンス」に変更。するとエンジンが俄然元気に。特に3000rpm辺りからは唐突に加速する部分もあり、後でエンジニアに聞くとこれもあえての味付けとのこと。穏やかなヒマラヤと差をつけるようにちょっと元気な性格としているのだ。

◆スポーツライディングを楽しませてくれる車体と足まわりの絶妙さ

ロイヤルエンフィールド ゲリラ450ロイヤルエンフィールド ゲリラ450

ワインディングでアベレージを上げていった際の挙動や振る舞いを見ると、上手いなぁ~と思う。ハンドリングに鋭さはないが、ブレーキや旋回、立ち上がりといったすべてのスポーツ性がライダーに寄り添うようにフィット。コントロールしている実感がとても高い。

シャシーの設定は国産車にはないほどの剛性感と応答性の高さがあり、それは前後ショーワ製サスペンションも同様で、それがコントロール性に直結。ブレーキも優しい設定だが、握り込んでいくとしっかりと効力を強めてくれる。またゲリラ450専用のシアット製のタイヤは、ブロックパターンとは思えないほど高いグリップと乗り心地を披露。

足まわりに高級なパーツは使っていないのだが、乗り味に安っぽいところはないのである。バイク好きが作ったバイク、高バランスからそれが伝わってくる。

ゲリラ450はアナログ、ダッシュ、フラッシュの3種を用意。ダッシュとフラッシュはトリッパー内蔵のTFT液晶メーターを装備するゲリラ450はアナログ、ダッシュ、フラッシュの3種を用意。ダッシュとフラッシュはトリッパー内蔵のTFT液晶メーターを装備する

ロイヤルエンフィールドの開発陣は常に「アクセシビリティ(アクセスしやすいとっつきやすいバイク)」「ピュアモーターサイクリング(バイク本来の楽しさ)」といった言葉と使う。車名は過激だが、ゲリラ450にもそんなフィロソフィーがしっかりと込められ、走り込むほどに感じることができた。

ゲリラ450は、大型免許を取得してでも乗る価値のあるバイクだ。キャリアが浅い時に良いバイクや良いエンジンに出会えれば、バイク趣味は長く続くし、上手くなるのも早いからだ。

また、日本では良い物を見極められるベテランのダウンサイジングとしてもオススメしたい。イエローリボンはちょっと派手かもしれないが、ブラバブルーは爽やかだし、プラヤブラックやゴールドディップは、なんとなく一昔前の国産旧車を思わせるカラー。懐かしさにも浸りつつ、ロイヤルエンフィールドの最新ロードスターを堪能していただきたい。

ロイヤルエンフィールド ゲリラ450と筆者 小川勤ロイヤルエンフィールド ゲリラ450と筆者 小川勤

小川勤|モーターサイクルジャーナリスト
1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る