東日本旅客鉄道(JR東日本)は9月10日、新たに東京発着の中央線快速・青梅線に、2階建てグリーン車を2両連結し、2025年春からグリーン車サービスを開始すると発表した。具体的な導入時期については、別途発表する予定だ。
JR東日本では、乗客の着席ニーズに応えるため、首都圏近郊を結ぶ主な線区で、普通列車のグリーン車による着席サービスを提供している。中央線快速・青梅線への導入によって、東京駅を中心として、首都圏の各方面に向けたグリーン車サービスが拡充される。
サービス開始に先立ち、2024年10月13日以降、中央線快速・青梅線E233系電車の東京寄りから4・5両目に順次グリーン車を連結し、12両編成で運転する。2025年春のサービス開始までの間は、グリーン料金不要(普通車扱い)の「グリーン車お試し期間」として、乗り心地を体験できる。
●車両設備や車内サービス
中央線快速・青梅線の2階建てグリーン車は、東京駅など折り返し駅での車内整備時間短縮のため、スムーズな乗降が可能な両開きのドアや広いデッキ、自動回転式の座席を2階建てグリーン車として初めて採用した。座席定員はこれまでと同様に2両合計で180人を確保した。
座席は回転式リクライニングシートで、全席に電源コンセント・テーブル・ドリンクホルダーを備える。また、車内ではJR-EAST FREE Wi-Fi、トイレ、ゴミ箱などを利用できるほか、「グリーンアテンダント」がグリーン車に乗務し、案内など実施する予定。
グリーン車の運行区間および列車は、中央線快速(東京~大月間)E233系電車(オレンジ帯の電車)で運行する全ての列車と、青梅線(立川~青梅間)で中央線快速(東京方面)と直通運転する全ての列車だ。

●グリーン券は事前にSuicaで購入するとお得
2025年春のサービス開始後、グリーン車の利用には、乗車券(紙のきっぷ)、SuicaなどのICカード乗車券または定期券などのほか、「普通列車グリーン券」が必要となる。
料金は50kmまで1010円(東京・新宿~八王子・拝島、新宿~高尾・青梅など)、100kmまで1260円(東京~大月・青梅、新宿~大月など)、101km以上1810円(中央線快速・青梅線内に101km以上となる区間はない)。通年同額、おとな・こども同額。
グリーン券は乗車前に、モバイルSuicaやカードタイプのSuicaなどにグリーン券情報を記録し購入することで、通常料金と比較し260円おトクな「Suicaグリーン料金」が適用される。50kmまで750円、100kmまで1000円、101km以上1550円だ。モバイルSuicaやカードタイプのSuicaなどで「Suicaグリーン券」を乗車前に購入し、乗車後に座席上部のSuicaグリーン券システムに端末やカードをタッチすると、車内改札が省略される。
なお通路やデッキに立つ場合でも、グリーン券は必要だ。グリーン券を購入後にグリーン車が満席のため普通車に移動する場合は、グリーンアテンダントに申請すると払いもどしを案内される。

●グリーン車お試し期間
2024年10月13日以降のグリーン車の連結開始から、2025年春までは、12両編成(グリーン車あり)、10両編成(グリーン車なし)が混在する。2025年春のグリーン車サービス開始までの期間は、グリーン料金不要の「グリーン車お試し期間」として乗り心地を体験できる。
なお、お試し期間中は、JR-EAST FREE Wi-Fi、グリーン車のトイレ、ゴミ箱、アテンダントによる案内は利用できない。
グリーン車を連結した列車の運行情報は、利用日当日に駅の発車案内表示、案内放送、JR東日本アプリの列車走行位置で12両編成の列車を確認するとわかる。
●首都圏各線区への普通列車グリーン車連結時期
1969年5月:東海道線・横須賀線の1等車をグリーン車に変更
1980年10月:総武線快速で、横須賀線との直通運転を機にグリーン車を連結
1989年3月:東海道線に2階建てグリーン車連結
1990年3月:横須賀線・総武線快速に2階建てグリーン車連結
2004年7月:宇都宮線・高崎線に2階建てグリーン車連結(10月までは普通車あつかい)
2004年10月:湘南新宿ラインに2階建てグリーン車連結
2007年1月:常磐線中距離電車に2階建てグリーン車連結(3月までは普通車あつかい)
中央線快速・青梅線へのグリーン車導入は、首都圏主要路線では最後になる。他の線区と違い、中距離電車が都心まで乗り入れいない運行形態が導入が遅れた理由のひとつだろう。上記線区はいずれも中距離電車で、これらに並行する京浜東北線、中央・総武線各駅停車、埼京線、常磐線各駅停車にグリーン車は連結されていない。