南海電気鉄道では9月17日から、電車運転士が色覚に影響を及ぼさない保護メガネ(偏光サングラス) を試験的に着用し、各種検証を実施する。太陽光線の眩しさを和らげるサングラスは、電車やバスの運転士が着用した場合、信号の色が正確に認識できない恐れがある。
南海電鉄では一部の運転士および運転士の指導・監督・管理者が色覚に影響を及ぼさない保護メガネ(偏光サングラス) を使用し、運転業務を行なう。検証内容は、直射日光および反射光のまぶしさ軽減による、運転中における前方や車両機器類などの視認性向上の度合いと、直射日光および反射光のカットによる疲労軽減効果。期間は9月17日から30日まで。
着用する保護メガネ(偏光サングラス)はタレックス製で、レンズカラーはトゥルービュー。色覚に影響を及ぼさない特許を取得しており、疲労軽減関するエビデンスを得ている。「フリップアップ」タイプと「クリップオン」タイプが用意される。
タレックスの偏光サングラスは、全国の鉄道各社の運転士向けにすでに多数が導入されている。2020年にJR西日本が、2023年にJR東海が導入したほか、2024年だけでも近江鉄道、伊勢鉄道、JR九州、江ノ島電鉄、長崎電気軌道、筑豊電気鉄道、秩父鉄道、東葉高速鉄道が導入した。また2024年3月下旬から約1か月間、名古屋鉄道が試験導入している。
バス運転士向けには、両備バスカンパニー、中国バス、瀬戸内しまなみリーディング、秋葉バスサービスが2023年に、産交バス、九州産交バス、宇部市交通局が2024年にそれぞれ導入している。さらに首都高パトロールが2023年に採用している。
タレックスの偏光サングラスの特徴がフリップアップ=「跳ね上げ機構」だ。トンネルや地下駐車場といった明るい場所から暗い場所への侵入時や、ワンマンバスの停車時の接客など、瞬時に片手で偏光レンズのON/OFFが可能だ。外したサングラスを持ったままのハンドル操作や、置き場所を探すために前方から視線を逸らすことがない。クリップオンは、既存のメガネの上に偏光レンズを取り付けるタイプだ。