電動化や車載データの活用、自動車アフターマーケット世界最大規模の展示会で見た新たな潮流…アウトメカニカ フランクフルト2024

アウトメカニカフランクフルト2024
アウトメカニカフランクフルト2024全 30 枚

アウトメカニカ(Automechanika)は、世界14都市で開催されている自動車アフターマーケットに特化した国際見本市だ。自動車整備・診断・ボディ&ペイント・アクセサリーなどの製品やサービスのサプライヤーが世界中から集まる。

【画像全30枚】

なかでも本拠地となるフランクフルトでのイベントは世界最大規模を誇る。今年は9月10日から14日までメッセフランクフルトで開催され、出展社数は約4200社・80カ国、来場者数は10万8000人・172カ国となった。

今年のアウトメカニカ フランクフルトのスローガンは「Driving Transformation(変革の推進)」。それは見本市のいたるところで見受けられ、デジタル・トランスフォーメーション、持続可能なモビリティ、人工知能などのトピックに関するプレゼンテーションやトレーニングワークショップなどが広い会場の各所で開催された。

各所でセッションが開催された(アウトメカニカフランクフルト2024)各所でセッションが開催された(アウトメカニカフランクフルト2024)

◆新車市場よりも巨大な自動車アフターマーケット

自動車アフターマーケットの市場規模は新車市場よりも大きく、今回のアウトメカニカには、その市場を狙ってボッシュやZF、デンソーやアイシンほか世界のメガサプライヤーが競うように巨大なブースを構えた。

ボッシュブース(アウトメカニカフランクフルト2024)ボッシュブース(アウトメカニカフランクフルト2024)

彼らの狙いは、交換用の部品供給だけでなく、部品交換に使う特殊工具や装置、故障診断システム、また近年増加するEVに向けては、バッテリーの診断装置や内部の部品を交換するための検査装置など、多岐にわたっている。

その下に連なる専業メーカーは、それぞれの得意分野を活かした交換部品やアップグレードパーツ、あるいは整備・補修用の装置や診断システムなど、様々なソリューションをアピールした。

アウトメカニカフランクフルト2024アウトメカニカフランクフルト2024

◆電動化、車載データの活用、サステナビリティに注目

今回のアウトメカニカの活況ぶりについて、また自動車アフターマーケット全体のトレンドについて、アウトメカニカ フランクフルト ディレクターのオラフ・ムスホフ(Olaf Mußhoff)氏に聞いた。

アウトメカニカフランクフルト2024アウトメカニカフランクフルト2024

---:ヨーロッパにおける自動車アフターマーケットの規模感について教えてください。

オラフ・ムスホフ氏(以下敬称略):ヨーロッパ市場には約3億台もの自動車が存在しています。また車の所有年数が伸びていることもあり、修理やメンテナンスの需要が高まり、アフターマーケットにプラスの影響を及ぼしています。

---:電動化によってアフターマーケットの部品やサービスの需要が減少する可能性について、どう考えますか?

ムスホフ:電動化がアフターマーケットを縮小させるのか、逆に成長を促すのか、専門家の意見を交えて議論が行われていますが、予測としては今後10年間で市場は年間0.7%の成長が見込まれています。ただしこれは今後の電動化のスピードに影響を受けるでしょう。

また、電動化はアフターマーケットに大きな変化をもたらすとともに、新しいビジネスチャンスにもなり得ます。例えば診断ソリューションやソフトウェアアップデートなど、新たな技術に対応するためのサービスが必要となるはずです。

---:電動化のほかに、アフターマーケットにおける新たなビジネストレンドについて教えてください。

ムスホフ:注目すべきトレンドは、車載データの活用とサステナビリティです。多様化する車載データを利用した新たな診断システムやキャリブレーションツールを提案する企業が増えています。サステナビリティについては、特に中小企業に対して持続可能な事業を行うためのサポートやソリューションの提供が今後重要になってくるでしょう。

---:サステナビリティを強調する出展社が目立ちますが、これは欧州の市場のニーズによるものなのでしょうか。

ムスホフ:欧州の消費者はサステナビリティを重視する傾向があります。(開催地の)ドイツだけでなく、他の欧州諸国も近い価値観を持っており、持続可能なソリューションに対して、多少割高でも支払う意思を持つ消費者が増えています。

EVバッテリーのセル単位での交換ソリューションは、低コストと持続可能性の両方を満たす理想的な例だと思います。顧客にとって、セル単位での交換はバッテリーを丸ごと交換するよりも低コストですし、環境にも良いため、顧客と環境の両方にメリットがあります。

---:ソフトウェア定義車両(SDV)が増えるにつれて、OEMがアフターマーケットを囲い込む可能性が高まっていますが、どう考えますか。

ムスホフ:OEMがアフターマーケットのビジネスを強化しようとしているのは事実です。新しい車には多くのソフトウェアやデジタル技術が搭載されており、これによってOEMはその領域をカバーしようとするでしょう。このような可能性について、欧州連合では公正な競争を確保するためのルール作りの議論が進んでいます。


次稿では、アウトメカニカに出展されていた具体的なソリューションの紹介や、今回多くの出展があった中国系の自動車メーカーのホールについて紹介する。

<取材協力:メッセフランクフルト>

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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