メルセデス・ベンツの成功事例から学ぶ日本型共創モデル、PoCを産み出す仕組みとは…Plug and Play Japan 岡本大志氏[インタビュー]

メルセデス・ベンツの成功事例から学ぶ日本型共創モデル、PoCを産み出す仕組みとは…Plug and Play Japan 岡本大志氏[インタビュー]
メルセデス・ベンツの成功事例から学ぶ日本型共創モデル、PoCを産み出す仕組みとは…Plug and Play Japan 岡本大志氏[インタビュー]全 3 枚

来たる2月5日、オンラインセミナー「メルセデス/ボルボ/ジャガー Plug and Play Japanが加速する自動車業界のイノベーション~Mobilityのコンソーシアム、企業やスタートアップとの共創の場づくり~」が開催される。セミナーに登壇するのは、Plug and Play Japan株式会社 Mobility Director の岡本大志氏。

岡本氏は、Plug and Play Japan にジョインする以前に、トヨタ系サプライヤーや、コンチネンタルのHMI営業代表などのポジションで活動しており、日本の自動車業界の商慣習に精通した人物だ。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1. Plug and Playの紹介
2. Plug and Play Japanが目指すもの
3. モビリティ領域での協業事例
4. パートナーになることで得られるもの
5. 対談・質疑応答

講演の後には、本セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表の鈴木万治氏を交えて、参加者からの質疑応答やディスカッションの時間が用意されている。

セミナーの見どころを岡本氏に聞いた。

企業間の共創ネットワークを日本でも構築

Plug and Play は、シリコンバレーに本社を置きながらも、グローバル規模で急速に成長を遂げている企業である。同社は主に「ベンチャーキャピタル投資」「アクセラレーションプログラムの運営」「スタートアップと大企業のコネクション構築」の3本柱を中心に展開しており、PayPalやDropboxなどの有力企業を含む34社のユニコーン企業をグローバルで輩出した実績を誇る。

岡本氏は、同社が持つユニークな取り組みについてこう語る。「スタートアップと大企業のアセットを掛け合わせることで、新たな事業や価値を生み出したり、あるいは大企業同士が協力してお互いのアセットを活用した事業を立ち上げるケースもあります。また最近では、企業・自治体・大学などが交わる三者間コンソーシアムを支援するケースもあります。」

Plug and Playは、世界600社以上のリーディングカンパニーとパートナー契約を結び、彼らの事業創出機会を支援するプログラムを展開している。

「マクドナルドやアディダスなどといった名だたる企業と連携し、それぞれの企業の強みを生かしながら、新しい価値を創出しています。」岡本氏はこう述べ、同社が持つネットワークを強調した。

そして同社の活動は日本国内にも広がっている。2017年の日本進出以来、日本企業との連携を進め、現在では約50社が同社のプログラムに参加しているという。同時にPlug and Play の特徴は、グローバルに拠点を持つ点にもある。現在、60を超える拠点を世界中に展開しており、今年も新たに8拠点を立ち上げた。

「このネットワークを活かして、日本企業の情報を収集するだけでなく、各地の企業やスタートアップとも密接につながっています。」

「そして自動車産業だけでなく、モビリティ全体の枠組みをカバーするネット―ワークを日本で構築することを目指しています。グローバルでの実績を生かしながら、日本発の新しいモビリティの形を作っていきたいと考えています。」

毎年30件を超えるパイロットプロジェクト

岡本氏は、スタートアップと大企業が協力してイノベーションを創出する新しいモデルとして「スタートアップオートバーン」というプログラムを挙げた。この取り組みは、8年前にメルセデス・ベンツが新規事業を立ち上げたいという相談から始まったものだ。

「スタートアップオートバーンは、まさにスタートアップが高速道路に乗って加速していくような取り組みです」と岡本氏は説明する。彼自身が自動車業界出身であり、初めてこのプログラムを見たときの驚きを次のように語った。「競合企業同士が協力しているという点が非常に驚きでした。例えば、メルセデス・ベンツとポルシェ、BoschとZF、さらにはSTマイクロやNXPといった企業が一堂に会しているのです。」

この取り組みは、ドイツのシュトゥットガルトで行われている。「プログラムの成果報告会であるExpoには、1日に約2000名が会場に集まり、投資家やスタートアップも参加して最新の技術や大企業との協業事例を披露します。そして、その技術が投資家や来場した関係者の目に留まれば実証や投資に向けた話し合いが始まる仕組みです。」

「スタートアップオートバーンは、単にメルセデス・ベンツがスタートアップを探すためのイベントではありません。メルセデス・ベンツが私たちのもとを訪れ、『コンソーシアムを開きたい』と相談を持ちかけてきました。彼らは、シュトゥットガルト大学やARENA2036などの研究施設と連携しながら、新しい技術や事業を生み出したいと考えていたのです。」


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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