ヤマハ発動機、20以上の二輪車をフルモデルチェンジへ…新中期経営計画を発表

アセアンでのプレミアム戦略が奏功し人気となっているヤマハ AEROX ALPHA “TURBO” Ultimate(インドネシア)
アセアンでのプレミアム戦略が奏功し人気となっているヤマハ AEROX ALPHA “TURBO” Ultimate(インドネシア)全 17 枚

ヤマハ発動機は12日、2025年から2027年までの3か年における新中期経営計画を策定した。

ヤマハは2018年に、2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を発表。2025年からの新中期経営計画は、この長期ビジョンの後半6年間のスタートとなる。基本方針は、「コア事業の競争力を高め、人の可能性を拡げる新技術を獲得し、人の悦びと環境が共存する社会をヤマハ発動機らしい挑戦で実現する」としている。

ヤマハ発動機の新中期経営計画概要ヤマハ発動機の新中期経営計画概要

この日発表された2024年12月期の連結業績では、売上収益は2兆5762億円(6.7%増)で過去最高に、営業利益は1815億円(25.6%減)で4年ぶりの減益となった。コア事業における二輪車で、ブラジル、インドでの販売台数の増加や台当たり単価が向上し増収となったものの、物価高騰に伴う人件費等販管費の増加、在庫評価減など事業構造の見直しに伴う費用やSPV事業(電動アシスト自転車など)やRV事業(四輪バギーなど)の一部固定資産の減損損失などを計上した結果、減益となっている。

新中計では「ポートフォリオ経営をさらに進化させ、事業セグメントをコア事業、戦略事業、新規事業に変更する。将来的に、当社が保持する全ての事業がROIC 12.5%を上回る経営を目指す」と渡部克明社長は語る。2027年に売上高3.1兆円以上、営業利益率は9%以上をめざすことになる。

◆二輪は20以上のフルモデルチェンジを計画

インドでのヤマハのプレミアムモデル『MT-15』インドでのヤマハのプレミアムモデル『MT-15』

新中計の柱となるのはコア事業の再強化だ。モーターサイクル(二輪車)事業とマリン事業へ重点的な投資を行い、魅力ある商品、サービスにより成長と収益性を両立させ競争力を高める。二輪ではアセアン、新興国で推進しているプレミアム戦略をさらに強化。マーケティング力を強化し、デジタル技術の活用とユーザーに寄り添った体験を提供することで、顧客エンゲージメントを高めるとしている。電動バイクなどの電動領域については、ヤマハでのプラットフォーム開発と外部との連携の両輪で推進していくとした。

二輪車事業では「移動に喜びを、週末に楽しさを、人々と共に創る」ことを目指す。投資は前中期比で研究開発費を1.2倍、設備投資を1.4倍とし、20以上のフルモデルチェンジを計画する。アセアン、振興国ではプレミアム戦略をさらに強化、コロナ禍の混乱で下がったシェア回復に向け、新しいプラットフォームやコンセプトを盛り込んだモデルを順次市場投入していくとした。

ヤマハ発動機の新中期経営計画・モーターサイクル事業ヤマハ発動機の新中期経営計画・モーターサイクル事業

マリン事業では「信頼性と豊かなマリンライフ 海の価値を更に高める」ことを目指し、船外機大型モデルのラインアップ拡充、統合ボートビジネスの推進により、顧客価値の向上を追求する。統合ボートビジネスでは、これまで進めてきたマリン版CASE戦略を発展させ、次世代操船システムの導入、コネクテッド技術の活用、シェアリングシステムの提供、電動船外機の拡大など、多彩なボート体験を可能にしていくとした。

事業投資は研究開発費を1.7倍、設備投資を1.8倍とし、機能拡大にともない北米拠点では人員を1.3倍、日本でも1.1倍に増やす。統合ボートビジネスの強化に向けては最大市場である米国でのR&D機能を強化、日本と米国の両輪で開発スピードを加速させる。

ヤマハ発動機の新中期経営計画・マリン事業ヤマハ発動機の新中期経営計画・マリン事業

◆3つの「戦略事業領域」

戦略事業領域では、ロボティクス事業、SPV事業、OLV事業の3つに再編。

ロボティクス事業では、加速するデジタル社会と変革するモビリティを、ワンストップスマートソリューションで支えていくことで、成長と収益性を両立させる、とする。成長する領域に経営資源を集中し、強みであるワンストップスマートソリューションを進化させることで、シェア向上と事業活動の効率化を実現する。

SPV事業では、電動アシスト自転車を通じ「人々の挑戦を後押しすることで事業の成長を実現」する。海外完成車ビジネス事業を見直し、中長期的な成長が見込めるe-Kitビジネス(電動アシストユニット単体での販売など)と国内での完成車ビジネスに注力する。e-Kitビジネスでは、「徹底したお客さま視点でOEM顧客の信頼を獲得するため、ダイレクトサービス機能の強化や供給リードタイムの短縮、開発スピードの迅速化に取り組む」とする。

ヤマハ発動機のeバイクとROV(ヤマハコミュニケーションプラザ)ヤマハ発動機のeバイクとROV(ヤマハコミュニケーションプラザ)

RV事業とゴルフカー事業を統合したOLV事業では、陸から海までワンブランドで楽しめるアウトドア商材を持つヤマハの強みが生きる北米市場でのシナジーを創出していく。OLV事業の製品の市場規模は、付加価値化が進み、長期的に拡大すると見込んでおり、新中計では2030年に向けた次世代プラットフォームの開発に注力する。

また、新規事業領域についてはこれまで、モビリティサービス、低速自動走行、農業・医療省人化の領域で事業化に取り組んできたが、今後は、事業拡大の可能性を見極めながら、モビリティサービス、低速自動走行、農業の3領域に注力していくとした。

ヤマハはこの日、3月25日付で代表取締役社長に現副社長の設楽元文氏が就任すると発表した。設楽氏は「変化に強い骨太な会社をめざす」と意気込みを語っている。今年、創立70周年を迎えるヤマハ発動機。その新たな挑戦が始まる。

《レスポンス編集部》

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