B向けに強いホンダの第2世代 燃料電池モジュール、「本格的に使ってもらう技術として推していく」…水素・燃料電池展 2025

ホンダの第2世代FCユニット(次世代燃料電池モジュール/モックアップ):出力は全モデル約2倍の150kW
ホンダの第2世代FCユニット(次世代燃料電池モジュール/モックアップ):出力は全モデル約2倍の150kW全 14 枚

「H2 & FC EXPO 水素・燃料電池展」(会期:2月19日~21日)では、ホンダとトヨタが水素関連の技術を展示をしていた。製品や戦略に重なるところが多いが、詳しく話を聞くとホンダならではの市場ポジションや技術的な強みが見えてきた。

ホンダが展示していた第2世代のFCユニット(次世代燃料電池モジュール)は、従来ユニットと比較して小型化を実現しつつ出力約2倍、耐久性2倍、コスト半減との説明だ。トヨタも新しいユニットで同様な性能向上をアピールしているが、こちらは第3世代という。また、開発中ということもあり、トヨタはポリシーの違いからか、出力については公開していない。ホンダは従来78kWに対して第2世代は150kWと数値を公表している。

ブースにて、本田技術研究所 先進パワーユニット・エネルギー研究所 水素パワーユニット開発室の遊作昇 室長に話を聞くことができた。第2世代FCの特徴や課題、今後の展開についてどのように考えているのだろうか。

ホンダがコスト削減、耐久性、出力向上にこだわったのは、ユニットの外販、とくに商用車や建機への利用を強く意識したからだ。出力を約2倍の150kWとしたのは、大型トラックでの要件を満たすためだ。この出力があれば日本国内で走っている大型トラックの要求はクリアできるとのことだが、必要なら2基をつなげるECU(コントローラ)も開発しているので、海外の大型建機、大型トレーラーなどにも対応する。

また、配管や補器類のレイアウトも見直し外観も現行ユニットよりすっきりさせた。展示品はカバーや塗装なども施しているが、パイプや補器類の突出・突起を極力抑え立方体に収まるようにデザインされている。

突起が少なく変形でないため、ユニットを複数台ならべて出力や容量をスケールさせやすい特徴も持つ。これは、定置型発電機の設計に有利だ。海外からはデータセンターなどのディーゼル発電機置き換えで、問い合わせを受けているという。

ユニット本体が従来型より小型になっているのに出力を2倍近くにできたのは、FCスタックの改良が大きい。セルの枚数も2倍近くになっているそうだが、セルの形状やサイズを工夫した。セルのサイズは従来品より少し横長になっている。こすると水素と酸素が通るラインの距離が延びる。変換されるエネルギー(電気)は増えるが、水素酸素の流れの制御は難しくなる。触媒の温度管理、湿度管理を改善し出力向上を実現したという。


《中尾真二》

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