乗り心地もアップ? ピロボールブッシュ化がもたらす意外なメリットとは~カスタムHOW TO~

乗り心地もアップ? ピロボールブッシュ化がもたらす意外なメリットとは~カスタムHOW TO~
乗り心地もアップ? ピロボールブッシュ化がもたらす意外なメリットとは~カスタムHOW TO~全 4 枚

サスペンションアームなどのブッシュをピロボールブッシュ化するチューニングがある。レーシングカーやチューニングカーではフルピロ化と呼ばれ、すべてのサスペンションアームブッシュをピロボール化することが多い。そのビロボール化のメリットとデメリットを解説する。

【画像全4枚】

◆ゴムブッシュで得られない効果を発揮するのがピロボール

サスペンションはゴムブッシュを介してボディに取り付けられ、ゴムブッシュを介してナックルに取り付けられてホイールとタイヤを支えている。このゴムブッシュが振動などを吸収しているが、走りを極めて行くとその柔らかさが問題になってくる。

サーキット走行になるとタイヤのグリップが高く、速度も高い。路面からの強大な入力によってゴムブッシュが潰れてしまう。そうするとホイールアライメントが勝手に変化してしまう。

キャンバー角が立ってしまって曲がりにくくなったり、ハンドルを切ってタイヤの向きが変わっても、それがブッシュのヨレによって変わってしまい、理想的なハンドリングでなくなってしまう。

そこで登場するのがピロボールである。ゴムブッシュの代わりに金属製のボールで作られたブッシュにすることで、強い入力があってもホイールアライメントの変化がなくなる。潰れる部分がないのでアライメント変化が起きず、理想的なホイールアライメントで走ることができる。

ハンドリングを考えればピロボールが圧倒的に良い。実際市販車でも一部スポーツカーには使われることもある。レーシングカーはレギュレーションで禁止されていない限りほとんどの場合がピロボールでアームが支持されている。

◆効果の高いピロボールでも問題点があることを認識しよう

問題点はその寿命とメンテナンスが必要になること。金属同士が接触しているのである程度摩耗しやすい。数万kmは使用できるが、10万kmとなるとかなり高い確率でガタが出るだろう。金属同士が接触して徐々に痩せてきてしまい、ガタが出るとアライメント変化は起きてしまうし、異音も発生する。ピロボールブッシュを交換する必要が出てくる。

また、その原因としてゴミの噛み込みがある。砂や砂利などがピロボールに噛んで、その状態で使うことで摩擦剤のようになってピロボールの摩耗を促進してしまうのだ。

レーシングカーでは走行のたびにコンプレッサーの圧縮エアで各ピロボールを清掃している姿がよく見られる。ピロボールに噛んだゴミを飛ばすことで傷が付かないようにしているのだ。

レーシングカーではそういったメンテナンスもできるが、ユーザーカーとなるとハードルが高い。そのためアフターパーツメーカーではゴミが入らないようにピロボールの周囲にゴムカバーが付いたサスペンションアームも販売されている。そういったものでゴミによるトラブルを回避しておきたい。

また、金属同士が接触するピロボールだけにそこに注油する場合もあるが、実はNGな場合もある。注油禁止で設計されたピロボールもあり、そういったものに注油するとその油分に砂や砂利が噛み込み、むしろピロボールを消耗させてしまうこともある。

だが、ピロボールによるハンドリングは唯一無二なシャープさが生まれる。ハンドルを切ればその瞬間から切った分だけクルマは反応してくれる。その洗練されたフィーリングは気持ち良ささえ感じられる。

また、ゴムブッシュによって吸収されていた振動などの入力がすべてダンパーに入るようになるので、ダンパーへの仕事量が増える。ダンパーは入力が増えるので乗り心地が悪くなりがちな抵抗が気にならなくなる。つまり、ピロボール化することで乗り心地も良くなるのだ。

車検上ではピロボールブッシュ化はとくに問題はない。しかし、サスペンションアームを社外品に交換すると強度検討書を元に申請が必要になる。これはプロの手による申請が望ましく、車検前に事前に申請しなくてはならないので手間はかかる。

そんな人には一部メーカーから純正サスペンションアームをピロボールブッシュ化した商品も売られている。スバル車用パーツのSTI、トヨタ車用パーツのTRDなどから純正アームをピロボール化したものが販売されている。こちらにおいては申請が必要なく、取り付けてそのまま使うことができる。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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