アイシンは業界の垣根を超えたアフターパーツサプライヤーに、メーカーに留まらない未来予想図とは…IAAE 2025

アイシン…IAAE2025
アイシン…IAAE2025全 26 枚

2月26日から28日まで、東京ビッグサイトで開催された「第22回国際オートアフターマーケットEXPO 2025」にアイシンが出展した。ブースでは整備工場で使用するプロ機器からタイヤ、ホイール、オイルなどのパーツ類まで幅広い製品を展示した。

◆アイシンのタイヤブランド「AITERRA」が発売、コスパに優れたスタンダードタイヤ

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まず注目したアイテムはタイヤだ。アイシンが新たにオリジナルのタイヤブランドである「アイテラ(AITERRA)」を2025年2月より発売した。狙ったのは、コスパ重視のスタンダードタイヤだ。品質への信頼感の低い価格重視の廉価モデルではなく、あくまでもアイシンブランドの持つ信頼感をタイヤ設計にフィードバック。それでいて価格は抑えた、スタンダードなモデルとしているのが特徴。

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グローバルでの販売が予定されるこちらのタイヤ、日本国内ではこれまでアイシンとの取引があった整備工場などで2025年から取り扱いが始まっている。現在はパッセンジャーカー向けのAIECO EC50シリーズ(13インチ~18インチ)、SUV向けのAICROSS CR60(17インチ~20インチ)、デリバリーバン向けのAIWAGON WA70(15インチ)の3シリーズを展開。今後はスポーツ系、さらにはスタッドレスタイヤのラインアップ追加も視野に入れてモデル拡充を進めていく予定だ。手軽に高品質なタイヤを手に入れたいなら、アイシンの「アイテラ」は新たな選択肢となりそうだ。

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タイヤに合わせて、アルミホイールも参考出品された。現在はあくまで試作品とのことだったが、鍛造製法でつくられた製品群はインパクトも抜群。今後はユーザーの反応もみながら、デザインの好みやサイズ展開、カラー展開などの仕様をまとめたうえで、商品化するのかどうか検討されていくという。

◆ジャンプスターターは小型~大容量のモデルまで一挙にラインナップ!様々なアフターマーケット対応の製品を展示

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アイシンブースの中央に、大きなスペースを設けて展示されていたのはジャンプスターターだ。容量の異なるモデルを8機種をズラリと揃えた展示となり、その力の入れようが伝わって来る。ただし、今回の展示はユーザーのニーズをリサーチすることが目的のひとつ。実際にジャンプスターターを使用する現場では、どの程度の容量・サイズが必要とされているのを分析することが主眼となった。

アイシンが作るジャンプスターターの特徴はその容量にある。近年一般的に流通しているジャンプスターターは小型のものが多く、たいていの場合は応急用に1回から数回のジャンプスタートに対応するものがほとんど。しかしアイシンが手がけたジャンプスターターは、複数回のジャンプスタートを可能にする容量を備えているのが特徴。プライベートユースのみならず整備工場や中古車ショップなどでのプロユースとしての活用までを考えた仕様となっている。

このように大容量である点に加えて、本体が小型&軽量である点やバッテリーの低温下での出力低下を防ぐためにバッテリーを温める機能を搭載するなど、アイシンブランドらしいクオリティの高い設計が施されているのも魅力となった。

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第1段として発売が決まっているのが42,000mAhのモデルだ。バッテリーには三元系リチウムイオンバッテリーを使用して12V/24Vに対応する。重量は2275gと軽量なのも魅力だろう、本体サイズも248mm×248mm×96mmとコンパクトで持ち運びにも便利。内蔵バッテリーへの充電にはtype-C/急速充電器付属を用いる。

これまでは整備工場や中古車店でガレージに駐車したクルマのバッテリーが上がってしまうと、100V電源に接続して用いるジャンプスターターを使用するケースや、他車のバッテリーとブースターケーブルを使って接続してエンジンを始動する方法を採っていた。新たにアイシンが開発した複数回使えるポータブルタイプのジャンプスターターがあれば、ガレージ内の車両に簡単に持って行ってジャンピングが可能になるのもメリットとなる。

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その他にも、アライメントテスターの新作もブースに登場。こちらはグローバルで部品などを調達することで、既存モデルに対してリーズナブルな設定で発売されるのが魅力。しかしアイシン・クオリティはしっかり守り、価格を超える性能を備えているのも安心。リズナブルなアライメントテスターを求めているユーザーにはぴったりの選択になるモデルだろう。

◆目指す姿は「トータルパーツ&サービスプロバイダー」サービスも含めてコミュニケーションを強めていく

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アイシンは、自動車のアフターマーケット領域において、パワートレインやシャシー部品といった従来のコアコンポーネント供給にとどまらず、整備機器、メンテナンスパーツ、ケミカル製品、さらにはタイヤ・バッテリーまで網羅する「トータルパーツ&サービスプロバイダー」への転換を加速させている。

エンドユーザーの実需データを蓄積・分析することで、車両のライフサイクル全体を見据えた製品・サービス設計へとシフト。特に、故障予防や性能維持に直結する消耗品やメンテナンス商材において、純正品質に加えコストパフォーマンスを重視した「良品廉価」な商品展開を強化している。

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また、補修部品市場における選択肢拡充が、整備現場や部品商の競争力強化につながるという視点から、特定ブランドへの依存度を下げる提案も積極化。信頼性・価格・供給安定性をバランスした商材の拡充を通じて、業界全体の持続的な発展に貢献する方針を打ち出している。

メーカー系サプライヤーとしての技術力と、実需に基づく商品企画力を融合したアイシンの取り組みは、次世代アフターマーケットの方向性を示す好例として展開されていくだろう。

《土田康弘》

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