中国製400cc・4気筒が「第3の選択肢」に? カワサキZX4RとホンダCB400を睨む「QJモーター」の脅威…東京モーターサイクルショー2025

400cc・4気筒エンジンを搭載するQJモーター SRK400RS(東京モーターサイクルショー2025)
400cc・4気筒エンジンを搭載するQJモーター SRK400RS(東京モーターサイクルショー2025)全 28 枚

◆ヨンヒャク第3の選択肢にありかも

中国勢の躍進が「東京モーターサイクルショー2025」でも感じられた。大きく構えたQJMOTOR JAPAN(QJモータージャパン/福岡県福岡市)のブースにて、バイクファンが熱視線を送っているのは、並列4気筒400ccエンジンを搭載したスーパースポーツ『SRK400RS』だ。

中国メーカーというとEV(電動車)のイメージだが、QJモーターの武器は内燃機関=エンジンだ。『Ninja ZX-4R』や今後登場するであろう新型『CB400』といった、ヨンヒャク4気筒モデル市場におけるカワサキvsホンダの対決に割って入る“台風の目”になるかもしれない。

というのも、まずその価格設定だ。日本市場への投入を発表したQJモータージャパンの西浩二取締役は、公式には明かしていないものの、筆者の取材に対し「ニンジャZX-4Rや、これから出てくるであろうホンダのニューモデルより低価格になります」と、ハッキリと言い切った。

QJモーター SRK400RSに搭載される400cc・4気筒エンジン(東京モーターサイクルショー2025)QJモーター SRK400RSに搭載される400cc・4気筒エンジン(東京モーターサイクルショー2025)

フルカウルモデルであるZX-4Rの2025年式は118万8000円であり、新型「CB400」はそれよりもコストが抑えられるはずのネイキッドスタイルで登場することが予想される。

西取締役は「どちらにも価格で負けない」とし、「もしや100万円切り?」の筆者の問いかけについては「その前後に近いかもしれない」と、価格差での勝負を強く意識している様子。100万円切りはないかもしれないが、「その少し上の価格帯を狙っていますかね」と、しつこく食い下がると、否定はしなかった。

◆「性能面で劣れば勝てない」

QJモータージャパンの西浩二取締役(東京モーターサイクルショー2025)QJモータージャパンの西浩二取締役(東京モーターサイクルショー2025)

しかし、値段だけでライダーらが納得できないのは、QJモータージャパンも承知している。展示車両の足まわりは、倒立式フロントフォークに「QJMOTOR」と刻印の入ったラジアルマウントキャリパーに300mmフローティングディスクローターがセットされているが、日本市場導入にあたっては「ブレンボを装着して、より製品価値を高める」と、西取締役は明かした。

「SRK400RS」の水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブは、ボア×ストロークを57.0mm×39.1mmとし、総排気量は399.1cc。最高出力57kW(77.6ps)/14,000rpm、最大トルク39Nm(3.9kg-m)/13,200rpmを発揮。6速トランスミッションが組み合わされる。

QJモーター SRK400RS(東京モーターサイクルショー2025)QJモーター SRK400RS(東京モーターサイクルショー2025)

車両重量は176kgに抑えられ、シート高は808mm。タイヤサイズはフロント120/70ZR17、リヤR160/60ZR17としている。

すでにQJモーターでは、125ccクラスから大型モデルまで(欧米では900ccのアドベンチャーも存在する)多彩なラインナップがされ、東京モーターサイクルショーでもさまざまなモデルが展示されているが、注目の集まる新型のヨンヒャクは壇上に置かれて、ひときわ目立つ。

QJモーター SRK400RSのカラーTFTメーターを本邦初公開(東京モーターサイクルショー2025)QJモーター SRK400RSのカラーTFTメーターを本邦初公開(東京モーターサイクルショー2025)

興味津々の筆者が車両を隅々までチェックしていると、西取締役はメインキーを裏から持ってきて、なんとイグニッションをON。メーターディスプレイを見せてくれるのだった。

フルカラーの大型ディスプレイにはトラクションコントロールのインジケーターも表示されているから、電子制御も先進的であることがわかる。

◆400ccで存在感を示すか

QJモータージャパンの南昌吾代表取締役社長(左)と西浩二取締役(右)QJモータージャパンの南昌吾代表取締役社長(左)と西浩二取締役(右)

スーパースポーツだけじゃない。400ccクラスのVツインクルーザー『SRV400VS』をQJモータージャパンは国内導入する。

シルバーとブラックを基調にトーンを抑えたボバースタイルの車体に、排気量384.5ccの水冷DOHC4バルブV型2気筒を積む。ファイナルドライブはハーレーダビッドソンのように、静粛性や乗り心地に優れるベルトドライブを採用している。

QJモーターは上海から約480kmの場所にある67万平方メートルの敷地を有するファクトリーにて、年間120万台の完成車と200万台以上のエンジンを生産する能力を持つ。世界最高峰のロードレースMoto3やMoto2をはじめ、市販車ベースのスーパースポーツ世界選手権にも出場している。

正規ディーラーはまだ11店舗(2025年3月現在)だが、400ccモデルの販売が始まれば存在感を強く示すブランドになってくる違いない。

東京モーターサイクルショー2025で大きく展開されたQJモーターのブース東京モーターサイクルショー2025で大きく展開されたQJモーターのブース

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る