硬質なのにどこか心地よい、走りの常識を覆す「セレナ AUTECH SPORTS SPEC&オーラ AUTECH SPORTS SPEC」に感動

“プレミアムスポーティ”を極めたAUTECHのフラッグシップ「SPORTS SPEC」シリーズが登場

チューンドミニバンの進化系が『セレナ AUTECH SPORTS SPEC』

類稀なる爽快なドライブコンパクトの『オーラ AUTECH SPORTS SPEC』

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セレナ AUTECH SPORTS SPEC(左)オーラ AUTECH SPORTS SPEC(右)
セレナ AUTECH SPORTS SPEC(左)オーラ AUTECH SPORTS SPEC(右)全 82 枚

海闊天空をそこはかとなく感じる、AUTECHの青の美学とは…?

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

AUTECH」ほど、見るものの気持ちをことさら爽やかにしてくれるクルマも少ないかもしれない。AUTECHブルーの深みのある色合いは、ブランドの発祥の地である神奈川県・湘南の鮮やかな海の色を思い浮かべさせてくれる。

眺めてみるとフロントからリアに至るまで、サイドシルを含めてぐるりと取り囲むメタル調の装飾が、辻堂や茅ヶ崎のビーチに打ち寄せる波を連想させる。日産の上質なスポーティサブブランドとしての地位を確立したAUTECHは、兎にも角にも爽やかな雰囲気に包まれているのだ。

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

匠の技術によって刻まれたキラリと光るブルーのLEDシグネチャーは、さしずめクルーザーが水面に示す引き波の紋様だろうか。外観から眺めるだけで、AUTECHは心安らぐ爽快な世界に引き込まれるのだ。ただし、AUTECH SPORTS SPECを走らせてみると、イメージだけが先行したドレスアップモデルではないことに感心させられる。

オーラ AUTECH SPORTS SPECオーラ AUTECH SPORTS SPEC

今回は横浜みなとみらいから箱根まで、湘南ビーチを左に眺めながらのドライブルートを設定し、『セレナ AUTECH SPORTS SPEC』『オーラ AUTECH SPORTS SPEC』2台の走り味が変更されたスペシャルなAUTECHモデルとの1日を過ごした。すると、ハッとするような意外性に驚かされたのである。

“静寂と躍動が融合”走りの新境地を味わえるのが『SPORTS SPEC』の真骨頂

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

走りの性能を際立たせた「SPORTS SPEC」(スポーツスペック)だったこともあり、予期せぬ走りの質の高さに腰を抜かしかけたのだ。SPORTS SPECとは、内外装のグレードアップをさせたAUTECHのラインナップの中でも、走りの性能を磨き込んだAUTECHのフラッグシップモデル。ただし加速タイムを競うようなデジタルな速さを求めているのではなく、タイヤが悲鳴を上げるような過激なコーナリングステップに挑んでいるわけでもない。

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

実際に競争をさせれば、鼻息の荒い激辛スポーツモデルに後塵を浴びせることも可能かもしれないが、そうすることが不粋であるかのように過激なパフォーマンスにはシラっとしている。もっと奥深い走りの領域を磨き込んでいるのだ。

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

これを走りの“質感”というのだろう。SPORTS SPECの走りのキャラクターを表現すると、こんな言葉が浮かんでくる。誤解を覚悟で言うならば、サスペンション系は“硬い”。ただ、世間一般でイメージする硬さとは全く異なる。

発進した瞬間にグラリとすることがなく、不快なロール感がまったく感じないことで、足回りが高剛性感であることはわかるのだが、それを“硬い”と表現するのはチープだ。それが証拠に「硬い=乗り心地が悪い」とされていたこれまでの常識をことごとく裏切る。高剛性だからこそ、結果乗り心地がいいのである。この人間の感覚を欺くような、あるいは物理の法則を裏切るような乗り味こそ、AUTECH SPORTS SPECの真骨頂だろう。

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

不快なロールを抑えたことで、頭の位置が不自然に揺れることがなくなった。特に重心点の高いセレナでは顕著だった。路面の突き上げが来ても上下動が一発で収束する。印象的だったのは、旋回特性が整っていることだ。フロントの切れ味はいい。発進した瞬間にすでにぐらりとしないのがその証拠だ。

モータージャーナリスト 木下隆之氏モータージャーナリスト 木下隆之氏

だが切れすぎることはない。ドライバーが思い描いたラインに忠実に反応し、それ以上でも以下でもない。リアのスタビリティもことさら高いから、切れるのに不安ではない。「アンダーステア=安定」といった過去のイメージが誤解であったことを証明してくれるのだ。

AUTECH SPORTS SPECから感じる剛性感と静粛性、相反する美学を高次元で両立

セレナ AUTECH SPORTS SPEC(左)オーラ AUTECH SPORTS SPEC(右)セレナ AUTECH SPORTS SPEC(左)オーラ AUTECH SPORTS SPEC(右)

実はそこにはカラクリがある。SPORTS SPECは足回りだけではなく、ボディも徹底したチューニングが施されている。ボディ各部の剛性を高めているだけではなく、パフォーマンスダンパーを組み込むことで、剛性を高めながらも適度に“いなす”のである。

例えて言うならば、ハードなトレーニングで鍛え上げたアスリートの筋肉が実はしなやかであるかのような印象だ。体操の金メダリストの着地のように、あるいはモーグルスキーヤーがギャップを吸収するように、そんなアスリートの動きを想像した。実は僕は過去に何度も現在のSPORTS SPECに繋がる、オーテックジャパンの時代に発売された高性能モデルをドライブしている。そのどれにも共通の操縦安定性が備わっている。これはもう、歴代車種から脈々と受け継がれるアイデンティティだと断言してもいいと思う。

セレナ AUTECH SPORTS SPECセレナ AUTECH SPORTS SPEC

セレナではミニバンの走りのネガを解消するために、まずは専用タイヤとして「ミシュラン・パイロットスポーツ5」を装着、タイヤの特性に合わせてサスペンション、パワステの専用チューン、ボディ補剛によって走行性能が引き上げられた。専用チューニングコンピューターにより、扱いやすくもパワフルなe-POWERの力強さも気持ち良い。

オーラ AUTECH SPORTS SPECオーラ AUTECH SPORTS SPEC

一方オーラでも同様に、足回りとボディ、そして加速感にチューニングが施されていて、具体的にはリヤのダンパーをモノチューブ式に変更、加えてリヤエンドにパフォーマンスダンパーを採用して絶妙な硬さに仕上げられ、さらに専用の大型リアスポイラーを組み合わせることで、類稀なるハンドリング性能を実現したのだ。

オーラ AUTECH SPORTS SPECオーラ AUTECH SPORTS SPEC

そしてセレナと同様にオーラのコンピューターにも専用チューニングが施されており、意のままに操れるレスポンスの高さと伸びのある加速力でスポーツスペックならではの上質な加速フィールが愉しめる。日産オーラ』はコンパクトなハッチバックモデルだが、『オーラ AUTECH SPORTS SPEC』として強化されるとそれはハンドリングスペシャルマシンへと変貌する。

オーラ AUTECH SPORTS SPECオーラ AUTECH SPORTS SPEC

これほど気持ちよく旋回するコンパクトカーは、世界でも数少ない。もしその代表格が欧州のスポーツハッチバックとするならば、それに唯一対峙することができるのはこのオーラ AUTECH SPORTS SPECであろうとも思えてしまう仕上がりだ。

いやはや、さらに感心するのは、それほど操縦性を極めているのに、静粛性にも強いこだわりがある。剛性感が高いのに乗り心地がいい。ステアリングレスポンスが切れるというのに安心していられる。走りの性能が高いのに静粛性が高い。特にセレナではフロントドアガラスの板厚アップに加えて、ダッシュロアインシュレーターの追加によって静粛性も極限まで磨き上げられているのだ。

セレナ AUTECH SPORTS SPEC(左)オーラ AUTECH SPORTS SPEC(右)セレナ AUTECH SPORTS SPEC(左)オーラ AUTECH SPORTS SPEC(右)

雰囲気は湘南の海のように爽やかなのに、その内にはメダリストのような鍛えられた走りが備わっている。『AUTECH SPORTS SPEC』はこれまでの誤った常識を、ことごとく覆してくれた。静寂と躍動が融合する、新しい走りをぜひ味わってみてほしい。

AUTECH SPORTS SPECシリーズ
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《木下隆之》

木下隆之

学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。海外レース経験も豊富で、ライフワークとしているニュルブルクリンク24時間レースにおいては、日本人最高位(総合5位)と最多出場記録を更新中。

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